『かしこい狗は、吠えずに笑う』──良質な邦画が観たいならこれ!
- 2017/05/20
- 02:07
最近なんだか邦画サプリメントが足りていない気がするなと、TSUTAYAであれこれ棚を見ていたら──。
とりあえずは「ミステリー」※の棚に置かれていたこの作品。
以前から気にはなっていたので、ついに手にして観ました。
『かしこい狗は、吠えずに笑う』(2013年 監督・脚本・製作:渡部亮平 出演:mimpi*β、岡村いずみ、石田剛太 他)


かしこい狗は、吠えずに笑う [DVD][→Amazon]
【あらすじ】──容姿のせいでクラスメートに蔑まされていた熊田美沙(mimpi*β)。
一方、彼女のもとへ近づいてきた清瀬イズミ(岡村いずみ)は可愛さゆえに妬まれていた。
二人は互いに親密な関係を築き、幸せな学校生活が続いていたが、清瀬イズミにはある恐ろしい秘密があった。──

今に始まったことではないのかもしれないのですが、日本の映画というと何かと小説や漫画が原作になっている作品が多いように思われます。
特にメジャーなプロモーションが行われる邦画は、もうほとんどがそんな作品だったりします。
もちろん、そういう映画にも良い作品はあるのでしょうけど、たまには何も原作にない映画というのも観たいものです。
本作は監督の渡部亮平による自作脚本です。
これが彼の初監督作品なのですが、更に凄いのは、資金やスタッフ集めといった製作も本人によるものだということです。
全くもって頭が上がりませんね!
そして肝心の内容はというと、女子高生たちを主人公にした青春映画にして、ラストはなかなかにホラーなサスペンスへ暗転していく鋭さ!
初めて観る人には余計な事前情報なしに観ていただきたいので、あまり多くは語るつもりはありません。
ただ、"青春もの"というのを頭に入れたうえで始めから中盤辺りまでを見届けていたら、ラストの展開は予想がつかないでしょう。
いや、このタイトルとジャケットを見たら、何やらヤバそうな雰囲気になっていく内容なのだろうと思うでしょう。
しかし、ホントに中盤辺りまではそれを感じさせないゆえに、妙に極端な展開にも感じます。
そこがやや強引とも思えてくるのは否めないですが、同時に痛快さもあって、私は好きです。
この、いっきにゾーッと冷まされていくような、そしてゲンナリさせられるような感覚は、先ほどもいったようにホラーなんです!
これらを無邪気な女子高生を使ってやっているという対比も相まって、余計にコワいんです。
そして対比といえば、主役の2人。
イカつい容姿のために蔑まされている女子高生・熊田美沙をmimpi*βが演じています。
失礼ながら美人ではない顔つきだからこそ、この人物の役が成り立っています。
だいたい、学園を舞台にした青春映画やドラマで描かれるいじめというと──
いじめっ子を演じる役者もいじめられっ子を演じる役者もなんだか可愛かったりカッコよかったりです。
その点、この映画は本物らしさがあります。
そして可愛さゆえに妬まれている女子高生・清瀬イズミを演じているのは岡村いずみ。
そうそう!相手役がブス(失礼)だからこそ彼女の可愛さが映えるんですね!
いや、ホント失礼!
で、ここは真面目にいうと、こうして並ぶ二人に優劣なく、それぞれの役柄としてしっかりと魅力が"絵"として表れているんです。

要するに何が言いたいかというと、mimpi*βのほうが魅力的に映っているんですね!
こういう役を演じる姿がもうカッコいいんです。
私は彼女のことは詳しく知らないのですが、女優の傍らミュージシャンでもあり、本作の主題歌も彼女によるものです。
本作での演技からも、アーティストとしての懐の深さを感じさせられます。
実はこの作品の主役の二人とも私は詳しく知らず、ただそのタイトルに惹きつけられて観たわけですが。
いい映画は、それこそたとえ全く無名な役者が演じていたとしても、いい映画なんだろうなと、つくづく思います。
漫画が原作でキャストは言わずと知れた有名俳優(どちらかといえばテレビ向け)、そしてムリヤリ実写で表現した不自然な衣装と役作りな上にダサい宣伝のしかた──。
そんなメジャー作品よりも厚みのある映画を、ひっそりと楽しめました。


かしこい狗は、吠えずに笑う[→Prime Video]
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※正確には「ミステリー」ではなく「ドラマ」の棚でした。
とりあえずは「ミステリー」※の棚に置かれていたこの作品。
以前から気にはなっていたので、ついに手にして観ました。
『かしこい狗は、吠えずに笑う』(2013年 監督・脚本・製作:渡部亮平 出演:mimpi*β、岡村いずみ、石田剛太 他)

【あらすじ】──容姿のせいでクラスメートに蔑まされていた熊田美沙(mimpi*β)。
一方、彼女のもとへ近づいてきた清瀬イズミ(岡村いずみ)は可愛さゆえに妬まれていた。
二人は互いに親密な関係を築き、幸せな学校生活が続いていたが、清瀬イズミにはある恐ろしい秘密があった。──

今に始まったことではないのかもしれないのですが、日本の映画というと何かと小説や漫画が原作になっている作品が多いように思われます。
特にメジャーなプロモーションが行われる邦画は、もうほとんどがそんな作品だったりします。
もちろん、そういう映画にも良い作品はあるのでしょうけど、たまには何も原作にない映画というのも観たいものです。
本作は監督の渡部亮平による自作脚本です。
これが彼の初監督作品なのですが、更に凄いのは、資金やスタッフ集めといった製作も本人によるものだということです。
全くもって頭が上がりませんね!
そして肝心の内容はというと、女子高生たちを主人公にした青春映画にして、ラストはなかなかにホラーなサスペンスへ暗転していく鋭さ!
初めて観る人には余計な事前情報なしに観ていただきたいので、あまり多くは語るつもりはありません。
ただ、"青春もの"というのを頭に入れたうえで始めから中盤辺りまでを見届けていたら、ラストの展開は予想がつかないでしょう。
いや、このタイトルとジャケットを見たら、何やらヤバそうな雰囲気になっていく内容なのだろうと思うでしょう。
しかし、ホントに中盤辺りまではそれを感じさせないゆえに、妙に極端な展開にも感じます。
そこがやや強引とも思えてくるのは否めないですが、同時に痛快さもあって、私は好きです。
この、いっきにゾーッと冷まされていくような、そしてゲンナリさせられるような感覚は、先ほどもいったようにホラーなんです!
これらを無邪気な女子高生を使ってやっているという対比も相まって、余計にコワいんです。
そして対比といえば、主役の2人。
イカつい容姿のために蔑まされている女子高生・熊田美沙をmimpi*βが演じています。
失礼ながら美人ではない顔つきだからこそ、この人物の役が成り立っています。
だいたい、学園を舞台にした青春映画やドラマで描かれるいじめというと──
いじめっ子を演じる役者もいじめられっ子を演じる役者もなんだか可愛かったりカッコよかったりです。
その点、この映画は本物らしさがあります。
そして可愛さゆえに妬まれている女子高生・清瀬イズミを演じているのは岡村いずみ。
そうそう!相手役がブス(失礼)だからこそ彼女の可愛さが映えるんですね!
いや、ホント失礼!
で、ここは真面目にいうと、こうして並ぶ二人に優劣なく、それぞれの役柄としてしっかりと魅力が"絵"として表れているんです。

要するに何が言いたいかというと、mimpi*βのほうが魅力的に映っているんですね!
こういう役を演じる姿がもうカッコいいんです。
私は彼女のことは詳しく知らないのですが、女優の傍らミュージシャンでもあり、本作の主題歌も彼女によるものです。
本作での演技からも、アーティストとしての懐の深さを感じさせられます。
実はこの作品の主役の二人とも私は詳しく知らず、ただそのタイトルに惹きつけられて観たわけですが。
いい映画は、それこそたとえ全く無名な役者が演じていたとしても、いい映画なんだろうなと、つくづく思います。
漫画が原作でキャストは言わずと知れた有名俳優(どちらかといえばテレビ向け)、そしてムリヤリ実写で表現した不自然な衣装と役作りな上にダサい宣伝のしかた──。
そんなメジャー作品よりも厚みのある映画を、ひっそりと楽しめました。

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※正確には「ミステリー」ではなく「ドラマ」の棚でした。
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