太陽の滅亡から地球を救う!真田広之が船長役の宇宙SF映画『サンシャイン 2057』
- 2017/07/30
- 03:38

最近観に行った宇宙SFホラー映画『ライフ』で真田広之が出演していた影響で無性に気になっていたこちらの作品──
『サンシャイン 2057』(2007年 監督:ダニー・ボイル 出演:キリアン・マーフィー、真田広之、ミシェル・ヨー 他)

【あらすじ】──西暦2057年。
太陽の活動が弱まり、地球は氷河期をむかえていた。
船長のカネダ(真田広之)をはじめとした8人は、マンハッタン島ほどの大きさの核爆弾を積んだ宇宙船「イカロス2号」に乗り込み、核爆発によって太陽を復活させる任務を担っていた。
宇宙船がスイングバイのために水星に接近したそのとき、別の宇宙船からの救助信号を受けとる。
それは7年前に任務に失敗し、消息を断っていた「イカロス1号」からの信号であった。
クルーたちは議論の末、軌道を修正して「イカロス1号」に接近する。──
公開が2007年とのことで、かれこれ10年前の作品ですね。
公開当時、テレビコマーシャルの予告も流れていましたが、あまり大きな話題にならなかった記憶があります。(少なくとも私の記憶ですが)
私も公開当時に劇場で観たわけではなく、今ごろになって初めて観ました。
2003年のトム・クルーズ主演映画『ラストサムライ』をきっかけに、ハリウッド映画界においてそれまで以上に日本人俳優への光が当てられ始めた頃。
その『ラストサムライ』に出演していた真田広之が本作では宇宙船の船長という役で出演していますが、やはり公開当時の素通り感は否めませんでした。
SFというジャンルだとどうしてもこうなってしまうのでしょう。
とはいえこの作品、実際に内容を観てみると、決して安っぽくはないし、ましてやB級映画などではありません!
宇宙を舞台にしたSFの中でも、「太陽の活動の減衰」という硬派でありつつ、他にないテーマなところも興味を惹きつけられます。
エイリアンとの遭遇や、ファンタジックな戦争の物語を描いたスペースオペラではない。
それでいて小惑星の接近という、よくあるテーマとも違う切り口である点で、もっと評価されて良い作品です。
VFXだって、今観ても全然古さは感じません。
そして肝心のストーリーはというと──
これがまたよくできているんですね!
太陽の活動が弱まる恐れというのが現実にあるのかはわかりません。
しかし、太陽の活動を復活させるために核爆発を利用するという発想は、そもそも太陽が核融合によって熱を発生させてる意味で理にかなっています。
そのためにマンハッタン島ほどの大きさの核爆弾というのは、相手が太陽だけに「なるほど」と納得はいきます。
マンハッタン島の面積だけで言えば、おおよそ東京ドームの1260倍!
更に実際は立体的な物体ですから、とんでもない大きさの物を積んだ宇宙船です。
さすがにこの大きさに関してはやや強引な気がしますが、やはり相手は太陽!
さあ、そんな核爆弾を積んだ宇宙船イカロス2号が8人のクルーを乗せて太陽に向かっているというところから始まります。
基本的にクルーたちの仲は悪くないのですが、ひょんな理由でケンカもあったり。
まあ命がけで真っ暗な宇宙を航行しながら、宇宙船という限られた空間(といってもめちゃくちゃデカいはず)にずっと一緒なわけですから、その中で平常心を保つのは大変でしょう。
息がつまりそうなシチュエーションにこちらも感情移入させられます。
そんな、それぞれの専門分野のクルーをまとめる日本人の船長・カネダを真田広之が演じています。
日本人らしい物静かでどっしりとした人物像がいいですね!
やはりこんなSF映画には日本人も含めた東洋人の姿があると絵になります。
宇宙が舞台なだけにコスモポリタンな配置です。
残念ながらこれを言ってしまうとネタバレになってしまうのですが、この真田広之が演じる船長は思わぬタイミングで死にます!
ビデオテープのときも助からなかったのに、真田さん!
…って、いつのホラー映画のことを言ってるんじゃい!
で、ストーリーの面で語りたい本題はそこなんです。
この作品、始めは宇宙SFなんですが、後半に向けてSFホラーへと暗転していきます。
こういう場合、どちらかというとスリラーともとれますが、とにかくそういう方向転換からの緊張感に観ていてハラハラさせられます。
7年前に消息をたった宇宙船イカロス1号とドッキングし、船内に入るクルーたち。
おそらく生存者がいるなどとは思えないその内部。
真っ暗で不気味です!
そこからすでに緊張感ある展開なのですが、その宇宙船の船長・ピンバッカー(マーク・ストロング)が残した映像には彼自身が、皮膚がただれた姿で映っています。
いったい何があったんだ?!
そんな謎の映像の中で、これまた謎な言葉をいい放っているピンバッカー。
よくわからないが、何やらただならぬ雰囲気の船内。
そこから思わぬ事態になっていきます。
得体の知れないモノによる恐怖がクルーたちを襲います。
システムの故障により、酸素が残り少なくなった自分達の宇宙船イカロス2号で、また別の危険が彼らを追いつめます。
なんだこれ!
『ライフ』に負けず劣らずSFホラーではないですか、真田さん!
──というわけで、真田広之も魅力的ですが、もう1人私が惹きつけられたのは物理学者キャパを演じているキリアン・マーフィー。
実質、作品全体を通しての主演俳優と言える彼なんですが、これではずいぶん美形な物理学者ですね。
マッチョな人物像ではないながら、最後まで命がけの任務をこなそうと奔走する姿が勇ましいですよ!
それだけに、彼が地球にいる家族に向けて宇宙船から送ったメッセージが心に響きます。
冒頭でのこのメッセージが、ラストシーンに感動を増幅させて伝わってきます。
SF映画としての興味深い物語の設定で始まり、後半に向けて目を離せないハラハラ感、そして気になる謎を残しながらも後味の良いラスト。
これはまだ観ていないという人は見逃したままではもったいないSFの良作です!

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