原作小説もスゴいぞ!──マイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』
- 2017/08/11
- 22:25
1993年に公開された『ジュラシック・パーク』の新たなる続編として2015年に公開された『ジュラシック・ワールド』
そして更なる続編の製作が決まっているようですが、そこでは『ジュラシック・パーク』に登場したあのイアン・マルコム博士が再び登場するようです。
ジェフ・ゴールドブラム扮する風変わりなカオス理論学者。
何かと哲学的な発言が多く、サム・ニール扮する主人公グラント博士に並ぶ存在感がありました。
ところでこの『ジュラシック・パーク』という作品。
当時の先進的なVFXとテンポの良いストーリーで、スティーブン・スピルバーグ監督による映画作品としてのインパクトが強いかと思います。

しかし小説をよく読む人、とりわけSF小説を好む人なら、マイケル・クライトンの原作を話しから外すわけにはいかないのではないでしょうか。
私はあまり小説を読む習慣がなく、最近になって少しずつ読むようになりました。
そしてたぶん初めてしっかりと読んだ「映画の原作小説」はこのマイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』です。


ジュラシック・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)[→Amazon]


ジュラシック・パーク〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)[→Amazon]
既に映画の世界観ができあがっている私は、これを文章で読むのはどんなものか疑問でした。
しかし、映画の世界観の要素はありつつ、その内容は映画よりもホラー色が強い印象でした。
コスタリカ西海岸の診療所に、エド・リージスという男とともに搬送されてきた重症患者。
掘削機による事故だと言うエドだが、怪我の状態からしてそれはおかしい。
一方、サンホセへ旅行にやってきたとある一家。
そこで娘は二足で立つトカゲのような生き物に襲われる。
コスタリカの島で起こる不穏な異変に始まる展開。
終盤まで読み進めるにつれて思うのは、
「なんて死人の数が多いんだ!」
ということでした。
映画では生きていた人物も、こちらでは恐竜に襲われ、臓物をさらしながら食われてしまう描写は、文章ゆえの想像力が刺激されます。
ラプトルやTレックスというクライマックスを飾る肉食恐竜との戦いは映画以上に長く険しいものになっています。
それでいて映画にもある、当時から盛んになっていた遺伝子研究の問題提起がしっかりと主軸に置かれています。
いかにして恐竜を現代に甦らせたか。
そしてメスだけで管理されていたはずのパークの恐竜たちは自ら繁殖していた。
それは恐竜を造り出すべく、DNAの繋ぎに使っていた生物に原因があった。
それらの背景をより深く掘り下げた内容にSF小説の醍醐味を感じさせられます。
そして先にも述べたマルコム博士(小説ではマルカムと表記)の存在感がやはり際立っています。
人間では管理しきれない物事を、カオス理論という一般には理解し難い理論を駆使して語る様は、映画以上の"主役感"を発揮しています。
そう、本当に意味がわからないような説明が所々あります!
しかしご安心ください。
その説明を聞いてる弁護士のジェナーロも「わからない」と言っていますから。
重要なのは、そんな一般には理解されにくいカオス理論を持ち出して、「このテーマパークには問題がある」と自信満々に語るマルコム博士の言葉が、物語が進むにつれて意味を持ってくるということです。
そういった痛快さが、難解に思える理論が気にならなくなるほど心地よいテンポを作り出しています。
マルコム博士の変わり者な人物像と相まって、やはりグラント博士以上の存在感を、言葉という形で感じとることができます。
原作小説なら当然ながら、人物1人ひとりの経歴や背景、パークが設立されるまでの経緯、恐竜を誕生させるための理論的な話しもじっくりと堪能できるわけです。
それらの要素によって、映画を越える壮大な世界が想像の中で広がります。
映画は観たけど小説は初めてという人なら、この『ジュラシック・パーク』という作品に新しい視点を持つことができるようになるかと思います。
とりわけこの90年代前半に劇場公開された作品に対する見方が変わったなら、この原作の小説を読む意義は大きいと言えるでしょう。
休日に家でお気に入りのスペクタクルな大作映画もいいですが、休日にこんな"恐竜が襲いかかる"スペクタクルな文学を手に、その世界にどっぷりと浸かり込むのはいかがでしょうか。
それにしても──
フラクタル曲線…線形方程式と非線形方程式…位相空間…
私にはまだまだ勉強が必要そうだ。
そんなことをブログでぼそぼそ言っているうちに突然ひとりぼっちにされる…
「これぞカオス理論」
大塚芳忠の吹き替えでマネしてみました。


ジュラシック・パーク(上)[→Kindleでダウンロード]


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そして更なる続編の製作が決まっているようですが、そこでは『ジュラシック・パーク』に登場したあのイアン・マルコム博士が再び登場するようです。
ジェフ・ゴールドブラム扮する風変わりなカオス理論学者。
何かと哲学的な発言が多く、サム・ニール扮する主人公グラント博士に並ぶ存在感がありました。
ところでこの『ジュラシック・パーク』という作品。
当時の先進的なVFXとテンポの良いストーリーで、スティーブン・スピルバーグ監督による映画作品としてのインパクトが強いかと思います。

しかし小説をよく読む人、とりわけSF小説を好む人なら、マイケル・クライトンの原作を話しから外すわけにはいかないのではないでしょうか。
私はあまり小説を読む習慣がなく、最近になって少しずつ読むようになりました。
そしてたぶん初めてしっかりと読んだ「映画の原作小説」はこのマイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』です。


既に映画の世界観ができあがっている私は、これを文章で読むのはどんなものか疑問でした。
しかし、映画の世界観の要素はありつつ、その内容は映画よりもホラー色が強い印象でした。
コスタリカ西海岸の診療所に、エド・リージスという男とともに搬送されてきた重症患者。
掘削機による事故だと言うエドだが、怪我の状態からしてそれはおかしい。
一方、サンホセへ旅行にやってきたとある一家。
そこで娘は二足で立つトカゲのような生き物に襲われる。
コスタリカの島で起こる不穏な異変に始まる展開。
終盤まで読み進めるにつれて思うのは、
「なんて死人の数が多いんだ!」
ということでした。
映画では生きていた人物も、こちらでは恐竜に襲われ、臓物をさらしながら食われてしまう描写は、文章ゆえの想像力が刺激されます。
ラプトルやTレックスというクライマックスを飾る肉食恐竜との戦いは映画以上に長く険しいものになっています。
それでいて映画にもある、当時から盛んになっていた遺伝子研究の問題提起がしっかりと主軸に置かれています。
いかにして恐竜を現代に甦らせたか。
そしてメスだけで管理されていたはずのパークの恐竜たちは自ら繁殖していた。
それは恐竜を造り出すべく、DNAの繋ぎに使っていた生物に原因があった。
それらの背景をより深く掘り下げた内容にSF小説の醍醐味を感じさせられます。
そして先にも述べたマルコム博士(小説ではマルカムと表記)の存在感がやはり際立っています。
人間では管理しきれない物事を、カオス理論という一般には理解し難い理論を駆使して語る様は、映画以上の"主役感"を発揮しています。
そう、本当に意味がわからないような説明が所々あります!
しかしご安心ください。
その説明を聞いてる弁護士のジェナーロも「わからない」と言っていますから。
重要なのは、そんな一般には理解されにくいカオス理論を持ち出して、「このテーマパークには問題がある」と自信満々に語るマルコム博士の言葉が、物語が進むにつれて意味を持ってくるということです。
そういった痛快さが、難解に思える理論が気にならなくなるほど心地よいテンポを作り出しています。
マルコム博士の変わり者な人物像と相まって、やはりグラント博士以上の存在感を、言葉という形で感じとることができます。
原作小説なら当然ながら、人物1人ひとりの経歴や背景、パークが設立されるまでの経緯、恐竜を誕生させるための理論的な話しもじっくりと堪能できるわけです。
それらの要素によって、映画を越える壮大な世界が想像の中で広がります。
映画は観たけど小説は初めてという人なら、この『ジュラシック・パーク』という作品に新しい視点を持つことができるようになるかと思います。
とりわけこの90年代前半に劇場公開された作品に対する見方が変わったなら、この原作の小説を読む意義は大きいと言えるでしょう。
休日に家でお気に入りのスペクタクルな大作映画もいいですが、休日にこんな"恐竜が襲いかかる"スペクタクルな文学を手に、その世界にどっぷりと浸かり込むのはいかがでしょうか。
それにしても──
フラクタル曲線…線形方程式と非線形方程式…位相空間…
私にはまだまだ勉強が必要そうだ。
そんなことをブログでぼそぼそ言っているうちに突然ひとりぼっちにされる…
「これぞカオス理論」
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