存在感薄くない?! スティーヴン・キング原作映画の悪くない続編『キャリー2』
- 2018/02/08
- 00:25
スティーヴン・キング原作の映画って数えあげたらどれくらいあるのだろう?
そんな作品の1つで名作の『キャリー』は、私はリメイク版から先に知りました。
そう、シシー・スペイセクではなくクロエ・グレース・モレッツがキャリーを演じていた方です。
そしてその後になってからシシー・スペイセク主演の旧作を観ました。
そしてこれまた後になってから知ったのですが、旧作には続編があるではありませんか!
『キャリー2』(1999年 監督:カット・シア・ルーベン 出演:エミリー・バーグル、エイミー・アービング 他)

【あらすじ】──キャリー・ホワイトの惨劇から20年。
事件の生き残りであるスー(エイミー・アービング)がカウンセラーを務める高校で、女子生徒の飛び降り自殺が発生する。
自殺した女子生徒の親友レイチェル(エミリー・バーグル)に話を聞くうち、自殺の背後にはアメフト部の悪質な恋愛ゲームが関係していることが判明。
またレイチェルが、20年前に惨劇を起こしたキャリーと同じ念動力を持つことをスーは察する。──

さあ、いきなりこの続編のことを書きますが──
気になって手にしたとはいえ、そこまで内容に期待はしていませんでした。
なんせ、タイトルが『キャリー2』とあっても、主人公の名前はこっちはレイチェルですから。
そして1作目が1976年の作品であるのに対して、こちら続編は1999年と、またずいぶん後になってからの作品なんですね。
なんかそこが、中途半端なネタの使いまわしな気がしてなりません。
ところが実際に観てみるとこれが思いの外よくできています。
まず、しっかりと前作からのつながりを持たせていて、形だけの続編にはなっていません。
20年以上たってからの制作という開きをうまく使っているところにも、前作へのリスペクトがむしろより強く表れています。
ストーリーの鍵を握る人物が、高校のカウンセラーのスー。
過去を知る彼女の登場と、所々に使用されている前作のフラッシュバックの映像で──
おっ!正式な続編という示しが色濃く表れている!
と、実感します。
それでいて、前作とは違う新鮮な魅力を醸しているのが念動力を持つ主人公レイチェル。

一方的ないじめられっ子だったキャリーと違い、たくましさがあります。
黒髪でロックテイストなファッション。
親友とおそろいのタトゥー。
それであの念動力を持っているとか、なんなんだ!このヒロインな感じ!
しかし、そんなカッコよい悲劇のヒロインを描いたストーリーというわけにはいきません。
ただ悲劇なんですね!
自分でコントロールできてるのかどうかわからない、彼女自身でもよくわからない能力ゆえに、悪い奴らもそうでない人も犠牲になっていくお粗末さ。
ここは前作のラストを受け継いでいます。
中には主人公の側に寄り添ういい人たちもいるんですけどね…。
この観る者の心を逆撫でするような皮肉な描写は、それぞれ制作者が違えど、多くのスティーヴン・キング原作の映画に共通している特徴といえます。
なのに…なのに…美しいしカッコいいよ、レイチェル!

あの能力が爆発するときに、顔や体にタトゥーが広がっていく様はまるでマンガのヒロインです。
かわいそカッコいい
なんておかしな造語が勝手に頭の中に思い浮かびます。
更に前作と本作ともに言えるのは、シンデレラストーリーのような微笑ましさもある作品であるということ。
周囲からいじめられたり、どこか孤独な少女が主人公。
そんな中でも彼女を理解する人がいて、とあるきっかけに善き男子生徒と距離が近づき、輝きを持ち始める。

そうしていいムードになって……
ハイ!そこからいっきに暗転!
だからここヒドいよ↑
スティーヴン!
って、スティーヴン・キングの原作は1度も読んだことないのでエラそうなことは言えないのですが。
とにかく、これが彼の作品における一種のホラー要素なのでしょう。
ところでですが、この映画。
先ほども述べたように1999年の作品とあって、前作からかなり後の作品ながら、今からすればそれでも古い作品になりますね。
そらもう90年代ですから。
そのせいか、私は最近になって初めて本作を観て、懐かしさを感じました。
舞台はアメリカのハイスクール。


このシチュエーションが余計にそう感じさせます。
90年代後半というこの時期は、こういったアメリカの高校を舞台にした映画が、けっこうあったような気がします。
パッと思い浮かぶのは『ラストサマー』に『スクリーム』
あるいはそういった映画をパロディにした“なんとか絶叫計画”なる映画。
それからイライジャ・ウッドが出演していた『パラサイト』なんぞも。
やんちゃなアメフト部員がいて、廊下にあるロッカーの前でカップルや友人どうしが談笑していて。
そう、そんな図ですね。
この『キャリー2』もそんな時期に制作された映画であるせいか、“ハイスクール青春もの”の匂いが少なからずある作品です。
言い出せば前作も高校が舞台なんですが。
やはり続編のこちらは90年代だけに、そういう時期の映画にあった映像の雰囲気が表れているんですね。
おかげで観たあとに、思った以上の好感を私は抱いてしまいました。
いろんな名作映画に続編はあったりしますが、とりわけこの『キャリー2』は、なんとなく存在感の薄い続編に思えてきます。
その意味では制作された時期が悪かったのかなぁ。
作品としては良いのですが。


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そんな作品の1つで名作の『キャリー』は、私はリメイク版から先に知りました。
そう、シシー・スペイセクではなくクロエ・グレース・モレッツがキャリーを演じていた方です。
そしてその後になってからシシー・スペイセク主演の旧作を観ました。
そしてこれまた後になってから知ったのですが、旧作には続編があるではありませんか!
『キャリー2』(1999年 監督:カット・シア・ルーベン 出演:エミリー・バーグル、エイミー・アービング 他)

【あらすじ】──キャリー・ホワイトの惨劇から20年。
事件の生き残りであるスー(エイミー・アービング)がカウンセラーを務める高校で、女子生徒の飛び降り自殺が発生する。
自殺した女子生徒の親友レイチェル(エミリー・バーグル)に話を聞くうち、自殺の背後にはアメフト部の悪質な恋愛ゲームが関係していることが判明。
またレイチェルが、20年前に惨劇を起こしたキャリーと同じ念動力を持つことをスーは察する。──

さあ、いきなりこの続編のことを書きますが──
気になって手にしたとはいえ、そこまで内容に期待はしていませんでした。
なんせ、タイトルが『キャリー2』とあっても、主人公の名前はこっちはレイチェルですから。
そして1作目が1976年の作品であるのに対して、こちら続編は1999年と、またずいぶん後になってからの作品なんですね。
なんかそこが、中途半端なネタの使いまわしな気がしてなりません。
ところが実際に観てみるとこれが思いの外よくできています。
まず、しっかりと前作からのつながりを持たせていて、形だけの続編にはなっていません。
20年以上たってからの制作という開きをうまく使っているところにも、前作へのリスペクトがむしろより強く表れています。
ストーリーの鍵を握る人物が、高校のカウンセラーのスー。
過去を知る彼女の登場と、所々に使用されている前作のフラッシュバックの映像で──
おっ!正式な続編という示しが色濃く表れている!
と、実感します。
それでいて、前作とは違う新鮮な魅力を醸しているのが念動力を持つ主人公レイチェル。

一方的ないじめられっ子だったキャリーと違い、たくましさがあります。
黒髪でロックテイストなファッション。
親友とおそろいのタトゥー。
それであの念動力を持っているとか、なんなんだ!このヒロインな感じ!
しかし、そんなカッコよい悲劇のヒロインを描いたストーリーというわけにはいきません。
ただ悲劇なんですね!
自分でコントロールできてるのかどうかわからない、彼女自身でもよくわからない能力ゆえに、悪い奴らもそうでない人も犠牲になっていくお粗末さ。
ここは前作のラストを受け継いでいます。
中には主人公の側に寄り添ういい人たちもいるんですけどね…。
この観る者の心を逆撫でするような皮肉な描写は、それぞれ制作者が違えど、多くのスティーヴン・キング原作の映画に共通している特徴といえます。
なのに…なのに…美しいしカッコいいよ、レイチェル!

あの能力が爆発するときに、顔や体にタトゥーが広がっていく様はまるでマンガのヒロインです。
かわいそカッコいい
なんておかしな造語が勝手に頭の中に思い浮かびます。
更に前作と本作ともに言えるのは、シンデレラストーリーのような微笑ましさもある作品であるということ。
周囲からいじめられたり、どこか孤独な少女が主人公。
そんな中でも彼女を理解する人がいて、とあるきっかけに善き男子生徒と距離が近づき、輝きを持ち始める。

そうしていいムードになって……
ハイ!そこからいっきに暗転!
だからここヒドいよ↑
スティーヴン!
って、スティーヴン・キングの原作は1度も読んだことないのでエラそうなことは言えないのですが。
とにかく、これが彼の作品における一種のホラー要素なのでしょう。
ところでですが、この映画。
先ほども述べたように1999年の作品とあって、前作からかなり後の作品ながら、今からすればそれでも古い作品になりますね。
そらもう90年代ですから。
そのせいか、私は最近になって初めて本作を観て、懐かしさを感じました。
舞台はアメリカのハイスクール。


このシチュエーションが余計にそう感じさせます。
90年代後半というこの時期は、こういったアメリカの高校を舞台にした映画が、けっこうあったような気がします。
パッと思い浮かぶのは『ラストサマー』に『スクリーム』
あるいはそういった映画をパロディにした“なんとか絶叫計画”なる映画。
それからイライジャ・ウッドが出演していた『パラサイト』なんぞも。
やんちゃなアメフト部員がいて、廊下にあるロッカーの前でカップルや友人どうしが談笑していて。
そう、そんな図ですね。
この『キャリー2』もそんな時期に制作された映画であるせいか、“ハイスクール青春もの”の匂いが少なからずある作品です。
言い出せば前作も高校が舞台なんですが。
やはり続編のこちらは90年代だけに、そういう時期の映画にあった映像の雰囲気が表れているんですね。
おかげで観たあとに、思った以上の好感を私は抱いてしまいました。
いろんな名作映画に続編はあったりしますが、とりわけこの『キャリー2』は、なんとなく存在感の薄い続編に思えてきます。
その意味では制作された時期が悪かったのかなぁ。
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- テーマ:映画感想
- ジャンル:映画
- カテゴリ:ホラー映画
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