久しぶりに中国の武侠映画──『英雄 ~HERO~』
- 2018/02/17
- 21:57
なんだか最近になってまた90年代後半から2000年代入って間もない頃の外国映画に懐かしさを感じている私。
例えば2003年に日本で公開された外国映画で、私の印象に残っている作品は『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ターミネーター3』
そしてもう1つ、同じ年の夏に公開され、私の記憶に残っている作品があります。
それがこちら──
『英雄 ~HERO~』(2002年 監督:チャン・イーモウ 出演:ジェット・リー、ドニー・イェン、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、チェン・ダオミン 他)


英雄 ~HERO~ Blu-ray[→Amazon]
【あらすじ】──紀元前200年の中国。
後の始皇帝となる秦王(チェン・ダオミン)は、最強と言われる3人の刺客に狙われていた。
そんな彼の宮殿に、無名(=ウーミン)という名無しの男(ジェット・リー)がやってくる。
その男は、3人の刺客を倒したと告げ、その経緯を秦王の前で語り始める。
家臣たちを除き、誰も百歩以内には近づけさせない秦王であったが、彼は刺客を倒した褒美として無名を側まで近づけさせることにする。
しかし、無名にはとある思惑があった。──
☆今も色褪せない映像美!
久しぶりに観てまず最初に思うのは、やはり映像世界が美しく描かれた作品だということです。


公開当時に観たときからそれはわかっていましたが、今改めて見ると、芸術的な世界観であることをますます実感します。
「東洋のマトリックス」と称されたワイヤーアクションは、さすがに今の目線では不自然に思ってしまいます。
しかし、色彩を駆使した場面ごとの衣装や背景の設定、中国ならではの広大な景色の中で、限られた人物たちだけが動く“絵”の様がなんとも幻想的です。
冒頭のテロップではこれが、秦の時代について語られているいくつかの話の1つと示されています。
そんな歴史上で語られる話を全体的にファンタジックに描写することで、
なるほど!
ワイヤーアクションによる、現実的にありえない動きも、そしてその他のツッコミどころなアクションも飲み込んでしまえるわけですね!
剣や槍で戦うのに、いちいち大げさな水や顔のアップを映しているのもここまでくれば、「もうそういう映画なんだから」と納得できます。

そうした演出の中でもやはり、一際目を惹くのは色の表現です。

とにかくここだけでも、それぞれのシーンを見応えある“動く絵”に仕立てあげることに成功しています。
★今でもそう思える!豪華な俳優陣!
この作品を公開当時に観たとき、私はやはり主演のジェット・リーに注目していました。

この頃からすでに『リーサル・ウェポン4』『ロミオ・マスト・ダイ』『ブラック・ダイヤモンド』など、ハリウッド映画で活躍していたジェット・リー。
こちら『─HERO』では、素手の武術でキレキレのアクションを見せるわけではなく、しなやかな剣術を見せている意味で他の多くの作品とはちょっと違う雰囲気の彼が見受けられます。
しかしながら、こうして本国中国の映画で古い時代の中国の衣装で演じている様は、ハリウッド映画で観るより魅力に映ります。
何せ他の色んな作品で見ても硬派な人物を演じている姿ばかりがイメージとして浮かびますが、そのイメージがこの中国の時代劇にますますハマってしまっていますね!
スピード感ある武術アクションでなくても、静かながらに“強者”な雰囲気を帯びています。
そして如月(=ルーユエ)役のチャン・ツィイー。

彼女も日本で有名な女優であることは言うまでもないのですが、私はたぶんこの映画がきっかけで彼女を知りました。
それ以前に、同じく武侠映画で『グリーン・デスティニー』にも出演していましたが、こちら『─HERO』の頃にいっきに日本で有名になったような気がします。
翌年に公開された同監督の『LOVERS』にも出演していて、おかげで古い時代の中国の衣装を着て剣で戦う姿のイメージがこの当時、私の中で定着してしまっていました。
これらと近い時期に他にも多くの中国・香港映画に出演していましたけどね!
更にこの映画がきっかけで私が知った俳優に残剣(=ツァンジェン)役のトニー・レオンがいます。

『恋する惑星』『ブエノスアイレス』と、ウォン・カーウァイ監督の映画が好きな人ならもっと以前から知っていたでしょう。
しかし私はというと印象に残っている作品は『インファナル・アフェア』シリーズですね。
彼もジェット・リーと並んで、中国・香港の俳優の中で私が好きな俳優の1人です。
硬派なイメージのジェット・リーとは対照的に、どこか弱さもあるクタクタな人物像を演じさせたら最高です!
ここで飛雪(=フェイシエ)役のマギー・チャンや秦王役のチェン・ダオミンのこともふれたいのですが、すみませんm(__)m


この2人に関してはホントによく知りません。
マギー・チャンに関しては2004年に公開された『2046』で特別出演していたので、知らないうちに目にしているはずなのですが、同じウォン・カーウァイ監督の『花様年華』もあわせて改めて観てみないといけませんね。
チェン・ダオミンは『インファナル・アフェアⅢ 終極無間』でラストに向けて活躍する刑事の役で記憶にあるくらいです。
本作『─HERO』では何度もアップで映るのですが、渋い顔つきです。
重要な役であるのにポスターやジャケットに彼の顔がないのは少し酷な気が…
主役じゃないとはいえ、この物語、彼が演じる秦王の存在がないと成り立たないではないですか!
さあ、残る1人は長空(=チャンコン)役のドニー・イェン。

この作品を思い立ったように久しぶりに観て、私が一番おっ!となったのは彼ですね。
“ドニー・イェン”
そうだ!
この映画に出演していたんだ!
と、今ごろ感心してどうするんだと、自分でおかしくなりましたが──
この作品の公開当時は、少なくとも日本ではそこまで有名ではなかったかと思います。
本作の劇中では、最初のほうで倒される役で、その後はあまり…というよりほとんど出番のない役です。
ジェット・リーやチェン・ツィイーのような花形感がなかった気がしますが、この彼が今では『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』という大作で活躍するまでになりました。
中国や香港ではおそらく昔からスター俳優だとは思われますし、アクションにおいてかなりの実力派の俳優とのことですが、今まで気づかなくてすみませんでしたm(__)m
それにしても髪が長いと、パッと見てもわかりにくいですね。
この長空のときの雰囲気がまた最近のとかけ離れていますが、アップで映るシーンでピンときました。
──さて、最近は日本の映画市場ではあまり目立ったプロモーションがされなくなったように思える中国・香港映画も、2000年代入りたての頃はもっと勢いがありましたね。
アジア映画と言えば、今は韓国映画が目立った形で日本に流通していますが、久しぶりに中国や香港の映画も見直してみるとおもしろい発見がありそうです。
私に関してはこの『英雄 ~HERO~』を改めて観たのをきっかけに、『グリーン・デスティニー』や『LOVERS』もチェックしなおしてみようかなと、思っているところです。


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例えば2003年に日本で公開された外国映画で、私の印象に残っている作品は『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ターミネーター3』
そしてもう1つ、同じ年の夏に公開され、私の記憶に残っている作品があります。
それがこちら──
『英雄 ~HERO~』(2002年 監督:チャン・イーモウ 出演:ジェット・リー、ドニー・イェン、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、チェン・ダオミン 他)

【あらすじ】──紀元前200年の中国。
後の始皇帝となる秦王(チェン・ダオミン)は、最強と言われる3人の刺客に狙われていた。
そんな彼の宮殿に、無名(=ウーミン)という名無しの男(ジェット・リー)がやってくる。
その男は、3人の刺客を倒したと告げ、その経緯を秦王の前で語り始める。
家臣たちを除き、誰も百歩以内には近づけさせない秦王であったが、彼は刺客を倒した褒美として無名を側まで近づけさせることにする。
しかし、無名にはとある思惑があった。──
☆今も色褪せない映像美!
久しぶりに観てまず最初に思うのは、やはり映像世界が美しく描かれた作品だということです。


公開当時に観たときからそれはわかっていましたが、今改めて見ると、芸術的な世界観であることをますます実感します。
「東洋のマトリックス」と称されたワイヤーアクションは、さすがに今の目線では不自然に思ってしまいます。
しかし、色彩を駆使した場面ごとの衣装や背景の設定、中国ならではの広大な景色の中で、限られた人物たちだけが動く“絵”の様がなんとも幻想的です。
冒頭のテロップではこれが、秦の時代について語られているいくつかの話の1つと示されています。
そんな歴史上で語られる話を全体的にファンタジックに描写することで、
なるほど!
ワイヤーアクションによる、現実的にありえない動きも、そしてその他のツッコミどころなアクションも飲み込んでしまえるわけですね!
剣や槍で戦うのに、いちいち大げさな水や顔のアップを映しているのもここまでくれば、「もうそういう映画なんだから」と納得できます。

そうした演出の中でもやはり、一際目を惹くのは色の表現です。

とにかくここだけでも、それぞれのシーンを見応えある“動く絵”に仕立てあげることに成功しています。
★今でもそう思える!豪華な俳優陣!
この作品を公開当時に観たとき、私はやはり主演のジェット・リーに注目していました。

この頃からすでに『リーサル・ウェポン4』『ロミオ・マスト・ダイ』『ブラック・ダイヤモンド』など、ハリウッド映画で活躍していたジェット・リー。
こちら『─HERO』では、素手の武術でキレキレのアクションを見せるわけではなく、しなやかな剣術を見せている意味で他の多くの作品とはちょっと違う雰囲気の彼が見受けられます。
しかしながら、こうして本国中国の映画で古い時代の中国の衣装で演じている様は、ハリウッド映画で観るより魅力に映ります。
何せ他の色んな作品で見ても硬派な人物を演じている姿ばかりがイメージとして浮かびますが、そのイメージがこの中国の時代劇にますますハマってしまっていますね!
スピード感ある武術アクションでなくても、静かながらに“強者”な雰囲気を帯びています。
そして如月(=ルーユエ)役のチャン・ツィイー。

彼女も日本で有名な女優であることは言うまでもないのですが、私はたぶんこの映画がきっかけで彼女を知りました。
それ以前に、同じく武侠映画で『グリーン・デスティニー』にも出演していましたが、こちら『─HERO』の頃にいっきに日本で有名になったような気がします。
翌年に公開された同監督の『LOVERS』にも出演していて、おかげで古い時代の中国の衣装を着て剣で戦う姿のイメージがこの当時、私の中で定着してしまっていました。
これらと近い時期に他にも多くの中国・香港映画に出演していましたけどね!
更にこの映画がきっかけで私が知った俳優に残剣(=ツァンジェン)役のトニー・レオンがいます。

『恋する惑星』『ブエノスアイレス』と、ウォン・カーウァイ監督の映画が好きな人ならもっと以前から知っていたでしょう。
しかし私はというと印象に残っている作品は『インファナル・アフェア』シリーズですね。
彼もジェット・リーと並んで、中国・香港の俳優の中で私が好きな俳優の1人です。
硬派なイメージのジェット・リーとは対照的に、どこか弱さもあるクタクタな人物像を演じさせたら最高です!
ここで飛雪(=フェイシエ)役のマギー・チャンや秦王役のチェン・ダオミンのこともふれたいのですが、すみませんm(__)m


この2人に関してはホントによく知りません。
マギー・チャンに関しては2004年に公開された『2046』で特別出演していたので、知らないうちに目にしているはずなのですが、同じウォン・カーウァイ監督の『花様年華』もあわせて改めて観てみないといけませんね。
チェン・ダオミンは『インファナル・アフェアⅢ 終極無間』でラストに向けて活躍する刑事の役で記憶にあるくらいです。
本作『─HERO』では何度もアップで映るのですが、渋い顔つきです。
重要な役であるのにポスターやジャケットに彼の顔がないのは少し酷な気が…
主役じゃないとはいえ、この物語、彼が演じる秦王の存在がないと成り立たないではないですか!
さあ、残る1人は長空(=チャンコン)役のドニー・イェン。

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“ドニー・イェン”
そうだ!
この映画に出演していたんだ!
と、今ごろ感心してどうするんだと、自分でおかしくなりましたが──
この作品の公開当時は、少なくとも日本ではそこまで有名ではなかったかと思います。
本作の劇中では、最初のほうで倒される役で、その後はあまり…というよりほとんど出番のない役です。
ジェット・リーやチェン・ツィイーのような花形感がなかった気がしますが、この彼が今では『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』という大作で活躍するまでになりました。
中国や香港ではおそらく昔からスター俳優だとは思われますし、アクションにおいてかなりの実力派の俳優とのことですが、今まで気づかなくてすみませんでしたm(__)m
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この長空のときの雰囲気がまた最近のとかけ離れていますが、アップで映るシーンでピンときました。
──さて、最近は日本の映画市場ではあまり目立ったプロモーションがされなくなったように思える中国・香港映画も、2000年代入りたての頃はもっと勢いがありましたね。
アジア映画と言えば、今は韓国映画が目立った形で日本に流通していますが、久しぶりに中国や香港の映画も見直してみるとおもしろい発見がありそうです。
私に関してはこの『英雄 ~HERO~』を改めて観たのをきっかけに、『グリーン・デスティニー』や『LOVERS』もチェックしなおしてみようかなと、思っているところです。

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