『トンネル 闇に鎖された男』──やっぱおもしろい韓国映画&なんだかんだで良質なアルバトロス配給作品
- 2018/06/28
- 22:33
車で移動することが多い人なら、この映画を観た後に距離が長いトンネルを通るのが恐くなるかもしれないですね。
そんな韓国映画です。
『トンネル 闇に鎖された男』(2016年 監督:キム・ソンフン 出演:ハ・ジョンウ、ぺ・ドゥナ、オ・ダルス 他)


トンネル 闇に鎖された男 [DVD][→Amazon]
【あらすじ】──自動車ディーラーのイ・ジョンス(ハ・ジョンウ)は、大きな契約に成功し、妻と娘が待つ家へ車を走らせていた。
しかしその途中で通ったトンネルが崩れはじめ、彼は生き埋め状態となる。
完全に闇の中に閉じ込められた中で手元にあるのは、バッテリーの残量が78%の携帯電話とペットボトルの水、そして娘の誕生日のために用意していたケーキだった。
救助隊と通信できたが、救助活動は困難な方向に向かっていく。──
☆日常空間が人間に牙をむく韓国のシチュエーションスリラー
本作は一言でいえばシチュエーションスリラーと言って良いでしょう。
車を運転し、トンネルを通る。
ドライバーにとって特別でもない日常の行動。

しかしそのトンネル内の照明が突然暗転しだし、何事?と戸惑い始める主人公。

他に走っている車は見あたらない中でのこのシチュエーション。
日常の空間とはいえ、場所がトンネルだけに恐い!
まずは何が起きたのかわからないという状況が余計にコワいんですよね~。
正常に機能していればただの通り抜ける道でしかないのに、それが人間に牙をむく巨大な構造物と化するわけです。
そう、巨大な構造物やら建造物というのは実は恐怖を演出する格好の材料となることを再認識させられます。
地下鉄のトンネルだってそうだし、下水道や水路、ダムだってそう。
そしてこの映画の主人公はトンネルの中で、誰かが一緒に乗ってるわけでもなく1人で車を走られているのですから、そら焦ります。
さあ、トンネルがついに崩れ、真っ暗な中でなんとか一命はとりとめたところからが長い戦いです。
先にも述べたように、見渡す限りでは他に車は走っていなかったのですから、孤独と絶望感が襲いかかるシチュエーションです。
★ウォシャウスキー作品に出演していたぺ・ドゥナ
ぺ・ドゥナという女優さん。

知ってる人にはたぶん、何を今さらと思うでしょう。
ただ、正直私は今まで知りませんでした。
本作では、ハ・ジョンウが演じる主人公の妻を演じているのですが、映画を観ながら「この可愛らしい顔の女優さんは誰だろう」なんて思っていました。
そしてその後、『グエムル -漢江の怪物-』などというずいぶん前の映画を初めて観たときに「アレ?あのアーチェリーのお姉さん、前に観た映画の…」と、ピンときたわけです。
そしてさらにそれにあわせて、「いや、待てよ!あの女優さん知ってる」と記憶がふと過りました。
そうだ!ウォシャウスキー姉妹が監督したあの映画に出演していた女優さんじゃないか!
(我ながらやっと気づいたか!)
そう、『クラウド アトラス』というあの上映時間の長い、壮大なSF映画です。
劇場で観たときにはまだ内容をうまく呑み込めなくて、またレンタルでもして観たいなと思いつつ、未だに2回以上は観ていない作品です。
やたらスケールがデカくて、それでも『マトリックス』のときのようなインパクトはなかったのですが、あの東洋人女性のクローン人間はずっと印象にありました。
そんな美人とかではないけどなんかエロティックという印象でした。
あのときは、そういう役作りもあったのか、ややお太りで風貌が違って見えてたから、こうして今になって違う作品で見ても気づけなかったのでしょう。

『クラウド アトラス』のときより本作のときのほうが美人でカワイイですよね!
日本映画『リンダ リンダ リンダ』にも出演したほか、『リング』の韓国版リメイク『リング・ウィルス』で貞子を演じていたんですね。
全く知りませんでした。
『空気人形』も含めて、ここら辺りも観ておきたいと思いました。
☆なんだかんだで良い作品もあるアルバトロス
本作の日本での配給はアルバトロス・フィルムですが、韓国映画でアルバトロス配給の作品を観たのは、私はこれが初めてです。
アルバトロスというと、あまり評判が良くない印象がありますが、本作を観て改めて「決してゲテモノ映画の配給会社ではない!」ということを実感しました。
確かにB級なスリラー映画などのイメージが私の中にもありますが、基本的には良質なアート系映画を多く取り扱っている会社です。
『アメリ』や『善き人のためのソナタ』もアルバトロスですから!
この『トンネル──』に関しても、韓国映画の良さを見せてくれる作品ですが、しっかりとこんな良作を配給しているんだなと感心させられました(上から目線でスイマセン)。
先にも述べたように、この作品は一言でいえばシチュエーションスリラーでしょう。
異論はあるかもしれませんが、崩落したトンネルの中というシチュエーションで展開されるストーリーなので、やはり一種のシチュエーションスリラーです。
そうでありながら、人間ドラマの描写もしっかりとしていて、むしろそちらを見せるための映画といっても良いくらいなんです!
(ここは配給会社うんぬんというよりは、作品を作った制作陣の力として語るべきでしょうけど…)
夫の生還を信じて見守り続ける妻の心の葛藤。


軽薄な報道陣を払いのけて、最後まで主人公に献身的な姿勢を見せるレスキュー隊の隊長。
手抜き工事が原因の事故という、社会的な問題を反映したような描写。

あの『新感染 ファイナル・エクスプレス』がただのゾンビ映画にはならなかったように、本作もただのシチュエーションスリラーにはならない要素があります。
だからやっぱり韓国映画には演出のレベルが高い作品がまだまだほかにもたくさんありそうで、探求したくなるんですね!
というわけで、韓国映画っておもしろい作品はやっぱりとことんおもしろい!と思えるのと同時にアルバトロス・フィルムはやはりB級なゲテモノ映画ばかりではない!ということを改めて実感できる作品です。


トンネル 闇に鎖された男(字幕版)[→Prime Video]
[→吹き替え版]
こちらの記事もどうぞ↓
→韓流ファンではないですが…上流家庭を描いたドロドロな韓国映画『ハウスメイド』
→地雷を踏んでしまったら…というスリラー映画②──実話をもとにした作品『アフガン・レポート』
→ラストの台詞で沸き上がる感動! 『善き人のためのソナタ』
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そんな韓国映画です。
『トンネル 闇に鎖された男』(2016年 監督:キム・ソンフン 出演:ハ・ジョンウ、ぺ・ドゥナ、オ・ダルス 他)

【あらすじ】──自動車ディーラーのイ・ジョンス(ハ・ジョンウ)は、大きな契約に成功し、妻と娘が待つ家へ車を走らせていた。
しかしその途中で通ったトンネルが崩れはじめ、彼は生き埋め状態となる。
完全に闇の中に閉じ込められた中で手元にあるのは、バッテリーの残量が78%の携帯電話とペットボトルの水、そして娘の誕生日のために用意していたケーキだった。
救助隊と通信できたが、救助活動は困難な方向に向かっていく。──
☆日常空間が人間に牙をむく韓国のシチュエーションスリラー
本作は一言でいえばシチュエーションスリラーと言って良いでしょう。
車を運転し、トンネルを通る。
ドライバーにとって特別でもない日常の行動。

しかしそのトンネル内の照明が突然暗転しだし、何事?と戸惑い始める主人公。

他に走っている車は見あたらない中でのこのシチュエーション。
日常の空間とはいえ、場所がトンネルだけに恐い!
まずは何が起きたのかわからないという状況が余計にコワいんですよね~。
正常に機能していればただの通り抜ける道でしかないのに、それが人間に牙をむく巨大な構造物と化するわけです。
そう、巨大な構造物やら建造物というのは実は恐怖を演出する格好の材料となることを再認識させられます。
地下鉄のトンネルだってそうだし、下水道や水路、ダムだってそう。
そしてこの映画の主人公はトンネルの中で、誰かが一緒に乗ってるわけでもなく1人で車を走られているのですから、そら焦ります。
さあ、トンネルがついに崩れ、真っ暗な中でなんとか一命はとりとめたところからが長い戦いです。
先にも述べたように、見渡す限りでは他に車は走っていなかったのですから、孤独と絶望感が襲いかかるシチュエーションです。
★ウォシャウスキー作品に出演していたぺ・ドゥナ
ぺ・ドゥナという女優さん。

知ってる人にはたぶん、何を今さらと思うでしょう。
ただ、正直私は今まで知りませんでした。
本作では、ハ・ジョンウが演じる主人公の妻を演じているのですが、映画を観ながら「この可愛らしい顔の女優さんは誰だろう」なんて思っていました。
そしてその後、『グエムル -漢江の怪物-』などというずいぶん前の映画を初めて観たときに「アレ?あのアーチェリーのお姉さん、前に観た映画の…」と、ピンときたわけです。
そしてさらにそれにあわせて、「いや、待てよ!あの女優さん知ってる」と記憶がふと過りました。
そうだ!ウォシャウスキー姉妹が監督したあの映画に出演していた女優さんじゃないか!
(我ながらやっと気づいたか!)
そう、『クラウド アトラス』というあの上映時間の長い、壮大なSF映画です。
劇場で観たときにはまだ内容をうまく呑み込めなくて、またレンタルでもして観たいなと思いつつ、未だに2回以上は観ていない作品です。
やたらスケールがデカくて、それでも『マトリックス』のときのようなインパクトはなかったのですが、あの東洋人女性のクローン人間はずっと印象にありました。
そんな美人とかではないけどなんかエロティックという印象でした。
あのときは、そういう役作りもあったのか、ややお太りで風貌が違って見えてたから、こうして今になって違う作品で見ても気づけなかったのでしょう。

『クラウド アトラス』のときより本作のときのほうが美人でカワイイですよね!
日本映画『リンダ リンダ リンダ』にも出演したほか、『リング』の韓国版リメイク『リング・ウィルス』で貞子を演じていたんですね。
全く知りませんでした。
『空気人形』も含めて、ここら辺りも観ておきたいと思いました。
☆なんだかんだで良い作品もあるアルバトロス
本作の日本での配給はアルバトロス・フィルムですが、韓国映画でアルバトロス配給の作品を観たのは、私はこれが初めてです。
アルバトロスというと、あまり評判が良くない印象がありますが、本作を観て改めて「決してゲテモノ映画の配給会社ではない!」ということを実感しました。
確かにB級なスリラー映画などのイメージが私の中にもありますが、基本的には良質なアート系映画を多く取り扱っている会社です。
『アメリ』や『善き人のためのソナタ』もアルバトロスですから!
この『トンネル──』に関しても、韓国映画の良さを見せてくれる作品ですが、しっかりとこんな良作を配給しているんだなと感心させられました(上から目線でスイマセン)。
先にも述べたように、この作品は一言でいえばシチュエーションスリラーでしょう。
異論はあるかもしれませんが、崩落したトンネルの中というシチュエーションで展開されるストーリーなので、やはり一種のシチュエーションスリラーです。
そうでありながら、人間ドラマの描写もしっかりとしていて、むしろそちらを見せるための映画といっても良いくらいなんです!
(ここは配給会社うんぬんというよりは、作品を作った制作陣の力として語るべきでしょうけど…)
夫の生還を信じて見守り続ける妻の心の葛藤。


軽薄な報道陣を払いのけて、最後まで主人公に献身的な姿勢を見せるレスキュー隊の隊長。
手抜き工事が原因の事故という、社会的な問題を反映したような描写。

あの『新感染 ファイナル・エクスプレス』がただのゾンビ映画にはならなかったように、本作もただのシチュエーションスリラーにはならない要素があります。
だからやっぱり韓国映画には演出のレベルが高い作品がまだまだほかにもたくさんありそうで、探求したくなるんですね!
というわけで、韓国映画っておもしろい作品はやっぱりとことんおもしろい!と思えるのと同時にアルバトロス・フィルムはやはりB級なゲテモノ映画ばかりではない!ということを改めて実感できる作品です。

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