『渇き。』──2010年代前半の邦画がそろそろ懐かしい
- 2018/07/22
- 22:25
あれやこれやと言ってるうちにそろそろ2010年から2015年くらいの邦画作品が久々に観たいなんて思いながら、例えば2013年の作品『脳男』を再び観て、以前ブログにあげました。
そしてこの辺りの時期に公開されたり、ソフトがリリースされ始めたりした作品たちをきっかけに、私は邦画も好んで観るようになったことも述べました。
そしてそして、2010年代前半の間に公開された邦画でやっぱり触れないわけにはいかない、一際アクの強い作品がありました。
劇場で観て、ソフトリリースのときもレンタルして観て、更にまた最近思い出したように観たのですが──
正直、未だに私は内容を細部まで理解していません!
…でも好きなんです!
小松菜奈の演じる役が痛快なこの作品が。
『渇き。』(2014年 監督:中島哲也 出演:役所広司、小松菜奈、森川葵、妻夫木聡、清水尋也、橋本愛、二階堂ふみ、オダギリジョー、國村隼、中谷美紀 他)


渇き。 プレミアム・エディション(2枚組+サントラCD付)[数量限定] [Blu-ray][→Amazon]
【あらすじ】──元刑事の藤島(役所広司)は、元妻から娘の加奈子(小松菜奈)が姿を消したことを聞かされ、行方を追うことになる。
加奈子の交友関係や行動から、彼女の驚くべき素顔を知ることになる藤島は、捜索に躍起になるうちに思いもよらぬ犯罪組織の抗争に巻き込まれていく。──
☆憎らしくも愛しい小松菜奈の活躍
まずはこの作品の劇場公開当時に強い印象にあったのが、今や大物女優として様々な映画で活躍している小松菜奈の、すでに過激な役を演じていた姿でした。


その後メジャーになりはじめてしばらくは漫画原作のラブストーリーの出演が目立っていたので、とりわけこの『渇き。』での役が凄みを持って見えます。
表向きは品行方正な女子高生なのに、実は不良グループや裏社会とつながりを持ち、金と薬で少年少女を支配するという人物を演じきっている様は、すでにベテラン女優の風格を帯びていました。
小悪魔キャラで、中身は本当に悪魔のような女──
こんな女子高生が現実にいたら恐ろしいですが、あわせて小松菜奈の制服を着たときの清涼感に、観ているこちらは魅了されてしまいます。

この『渇き。』という作品以前にも映画出演はありましたが、やはり本作が本格的に女優として飛躍したきっかけとなったようですね!
★若手俳優とベテラン俳優の豪華共演
そして小松菜奈の他にも、本作は若手俳優たちの華々しい活躍が見受けられます。
まずは「ボク」役の清水尋也。

いじめられている生徒の役で、ある意味この一連の場面での主役になってしまっているために印象深い俳優です。
本作ではこんな弱々しい上に、小松菜奈が演じる加奈子に翻弄されるかわいそうな人物を演じているのですが、翌年2015年に公開された『ソロモンの偽証』では、うってかわっていじめっ子の不良生徒を演じていました。
あちらもインパクトありましたね!
そして以前に『脳男』の記事でも述べた二階堂ふみ。
やっぱ彼女はカメレオン女優です!

清水尋也が演じる「ボク」にカッターで耳を切られる痛々しいあの役が二階堂ふみであったことを、今改めて観て気づいてしまったわたくし…。
彼女もホント、本作に近い時期に飛躍的に多くの映画で活躍し始めた女優です。
で、本作に近い時期に活躍し始めた若手女優としてもう一人あげられるのが橋本愛ですね!
『さよならドビュッシー』や『寄生獣』でも私は魅了されましたが、台詞を発するときの、ちょっと腹話術の人形っぽい口の動きが本作『渇き。』でも見受けられます。
それよりも何よりも、彼女は本作ではかなり反抗的な不良の役で、でもかわいいんですよね!
そんな不良な彼女と共に登場するのがジャブ中の女の子を演じている森川葵。
もともとほっそりした顔であるせいか、髪を短く切ったジャブ中の役が妙に雰囲気出しています。
『劇場版 零~ゼロ~』で中条あやみと共演したときも比較的ショートの髪でしたが、ボーイッシュなかわいらしさがあります。
さあそんな若手俳優たちに対して、ベテランの俳優陣も豪華です。
そしてそれぞれ濃い人物を演じています。
まずは主演の役所広司。

本作では自身の行動によって家庭を崩壊させてしまった元刑事というなんとも痛ましい人物の役です。
痛ましい上に凄まじくて笑いが出ます。
こういう役をやる役所広司の姿に圧巻の一言!
もう暑苦しいのなんの!
このヤバさ全開の主人公によって、シーンを追ってくごとに次は何をやらかしてくれる?ってな期待感で楽しませてくれます。
その役所広司扮する藤島の味方のようでいて、最後には対立する後輩の刑事・浅井を妻夫木聡が演じています。
この人物もまたあまりにユニークです!
こんな刑事いたらあかんやろ!とツッコミたくなる人物像です。
ハッキリ言ってムカつくキャラですけど、ここまでやってくれるとまたニヤリとさせられますね!。

観ていてクセになるうえに、もうこういう映画なんだからもっとやれってな気持ちで見届けちゃいます。
そもそもこれを演じる妻夫木聡の俳優としての懐の深さに、ある意味で感服ですよ!


ここにオダギリジョーや中谷美紀、國村隼の劇中での壊れっぷりが作品を盛り上げています。
☆身をまかせて観てしまう狂気な世界観
本作は女子高生・藤島加奈子を筆頭に、高校生の不良グループから裏社会の人間たち、そして悪徳な刑事たちの入り乱れたバイオレンスを描いた内容です。

様々な人物たちの交錯に、途中でついていけなくなるという人もいるかと思います。
先にも述べましたが、実は私もまだ細部まで理解しないままこんなブログを書いています。
なんていいかげんな!
と言われそうですが、こうして内容を完璧に呑み込めていなくても、私はこの作品が好きなんだということを真に述べたいのです!
この泥沼のスッチャカメッチャカした世界を醜くも美しく、ところによってポップでカラフルに描写していることによって、純粋に目で楽しませてくれます。
この作品を好きという人なら特に、若者たちがクラブでパーティーをするシーンがお気に入りという人が多いのではないでしょうか。


このクラブのシーンのポップさとカラフルさ、そしてそこにこれまたポップで耳障りな音楽をもってして、コイツらの親はいったい何をしているんだ?と疑問を抱いてしまうような暴力的で乱れた世界を象徴的に表現しきっています。
だからこそ、この『渇き。』という映画は回数を重ねて観たくなる芸術性を帯びているのです!
もちろん、ストーリーをしっかりと追って理解できたほうがよりおもしろいでしょう。
しかしたとえそうでなくとも本作は、痛ましいまでに乱れた裏社会や若者文化を“ポップな色と音”で彩っている一つひとつのシーンに身をまかせて観ていたくなる、そんな作品なのです。


渇き。[→Prime Video]
こちらの記事もどうぞ↓
→染谷将太の演技力が地味にすばらしいと再確認!『脳男』
→『ストレイヤーズ・クロニクル』── あのアメコミ映画を思い浮かべたら負け!いや、だけど…
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そしてこの辺りの時期に公開されたり、ソフトがリリースされ始めたりした作品たちをきっかけに、私は邦画も好んで観るようになったことも述べました。
そしてそして、2010年代前半の間に公開された邦画でやっぱり触れないわけにはいかない、一際アクの強い作品がありました。
劇場で観て、ソフトリリースのときもレンタルして観て、更にまた最近思い出したように観たのですが──
正直、未だに私は内容を細部まで理解していません!
…でも好きなんです!
小松菜奈の演じる役が痛快なこの作品が。
『渇き。』(2014年 監督:中島哲也 出演:役所広司、小松菜奈、森川葵、妻夫木聡、清水尋也、橋本愛、二階堂ふみ、オダギリジョー、國村隼、中谷美紀 他)

【あらすじ】──元刑事の藤島(役所広司)は、元妻から娘の加奈子(小松菜奈)が姿を消したことを聞かされ、行方を追うことになる。
加奈子の交友関係や行動から、彼女の驚くべき素顔を知ることになる藤島は、捜索に躍起になるうちに思いもよらぬ犯罪組織の抗争に巻き込まれていく。──
☆憎らしくも愛しい小松菜奈の活躍
まずはこの作品の劇場公開当時に強い印象にあったのが、今や大物女優として様々な映画で活躍している小松菜奈の、すでに過激な役を演じていた姿でした。


その後メジャーになりはじめてしばらくは漫画原作のラブストーリーの出演が目立っていたので、とりわけこの『渇き。』での役が凄みを持って見えます。
表向きは品行方正な女子高生なのに、実は不良グループや裏社会とつながりを持ち、金と薬で少年少女を支配するという人物を演じきっている様は、すでにベテラン女優の風格を帯びていました。
小悪魔キャラで、中身は本当に悪魔のような女──
こんな女子高生が現実にいたら恐ろしいですが、あわせて小松菜奈の制服を着たときの清涼感に、観ているこちらは魅了されてしまいます。

この『渇き。』という作品以前にも映画出演はありましたが、やはり本作が本格的に女優として飛躍したきっかけとなったようですね!
★若手俳優とベテラン俳優の豪華共演
そして小松菜奈の他にも、本作は若手俳優たちの華々しい活躍が見受けられます。
まずは「ボク」役の清水尋也。

いじめられている生徒の役で、ある意味この一連の場面での主役になってしまっているために印象深い俳優です。
本作ではこんな弱々しい上に、小松菜奈が演じる加奈子に翻弄されるかわいそうな人物を演じているのですが、翌年2015年に公開された『ソロモンの偽証』では、うってかわっていじめっ子の不良生徒を演じていました。
あちらもインパクトありましたね!
そして以前に『脳男』の記事でも述べた二階堂ふみ。
やっぱ彼女はカメレオン女優です!

清水尋也が演じる「ボク」にカッターで耳を切られる痛々しいあの役が二階堂ふみであったことを、今改めて観て気づいてしまったわたくし…。
彼女もホント、本作に近い時期に飛躍的に多くの映画で活躍し始めた女優です。
で、本作に近い時期に活躍し始めた若手女優としてもう一人あげられるのが橋本愛ですね!
『さよならドビュッシー』や『寄生獣』でも私は魅了されましたが、台詞を発するときの、ちょっと腹話術の人形っぽい口の動きが本作『渇き。』でも見受けられます。
それよりも何よりも、彼女は本作ではかなり反抗的な不良の役で、でもかわいいんですよね!
そんな不良な彼女と共に登場するのがジャブ中の女の子を演じている森川葵。
もともとほっそりした顔であるせいか、髪を短く切ったジャブ中の役が妙に雰囲気出しています。
『劇場版 零~ゼロ~』で中条あやみと共演したときも比較的ショートの髪でしたが、ボーイッシュなかわいらしさがあります。
さあそんな若手俳優たちに対して、ベテランの俳優陣も豪華です。
そしてそれぞれ濃い人物を演じています。
まずは主演の役所広司。

本作では自身の行動によって家庭を崩壊させてしまった元刑事というなんとも痛ましい人物の役です。
痛ましい上に凄まじくて笑いが出ます。
こういう役をやる役所広司の姿に圧巻の一言!
もう暑苦しいのなんの!
このヤバさ全開の主人公によって、シーンを追ってくごとに次は何をやらかしてくれる?ってな期待感で楽しませてくれます。
その役所広司扮する藤島の味方のようでいて、最後には対立する後輩の刑事・浅井を妻夫木聡が演じています。
この人物もまたあまりにユニークです!
こんな刑事いたらあかんやろ!とツッコミたくなる人物像です。
ハッキリ言ってムカつくキャラですけど、ここまでやってくれるとまたニヤリとさせられますね!。

観ていてクセになるうえに、もうこういう映画なんだからもっとやれってな気持ちで見届けちゃいます。
そもそもこれを演じる妻夫木聡の俳優としての懐の深さに、ある意味で感服ですよ!


ここにオダギリジョーや中谷美紀、國村隼の劇中での壊れっぷりが作品を盛り上げています。
☆身をまかせて観てしまう狂気な世界観
本作は女子高生・藤島加奈子を筆頭に、高校生の不良グループから裏社会の人間たち、そして悪徳な刑事たちの入り乱れたバイオレンスを描いた内容です。

様々な人物たちの交錯に、途中でついていけなくなるという人もいるかと思います。
先にも述べましたが、実は私もまだ細部まで理解しないままこんなブログを書いています。
なんていいかげんな!
と言われそうですが、こうして内容を完璧に呑み込めていなくても、私はこの作品が好きなんだということを真に述べたいのです!
この泥沼のスッチャカメッチャカした世界を醜くも美しく、ところによってポップでカラフルに描写していることによって、純粋に目で楽しませてくれます。
この作品を好きという人なら特に、若者たちがクラブでパーティーをするシーンがお気に入りという人が多いのではないでしょうか。


このクラブのシーンのポップさとカラフルさ、そしてそこにこれまたポップで耳障りな音楽をもってして、コイツらの親はいったい何をしているんだ?と疑問を抱いてしまうような暴力的で乱れた世界を象徴的に表現しきっています。
だからこそ、この『渇き。』という映画は回数を重ねて観たくなる芸術性を帯びているのです!
もちろん、ストーリーをしっかりと追って理解できたほうがよりおもしろいでしょう。
しかしたとえそうでなくとも本作は、痛ましいまでに乱れた裏社会や若者文化を“ポップな色と音”で彩っている一つひとつのシーンに身をまかせて観ていたくなる、そんな作品なのです。

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→『ストレイヤーズ・クロニクル』── あのアメコミ映画を思い浮かべたら負け!いや、だけど…
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