例えて言うとサンドイッチ!それがゴジラ映画
- 2019/05/29
- 22:10

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の公開を目前にして、私が2017年の始めに書いたゴジラシリーズについてのブログのアクセス数が増えてありがたいことです。
今度のハリウッドゴジラは2014年のギャレゴジを超越した壮大な作品になるだろうなと、予告映像を見てる限りでも感じさせられます。

こうしてハリウッドの技術で日本の怪獣映画が甦るのは申し分なくうれしいことです。
反面、オリジナルの側である日本の東宝が作ってきたゴジラ映画もやはり偉大であることには変わりありません。
ところで皆さんはプラットフォームフードという言葉をご存知でしょうか。
ある1つの食材に、好みでいろいろな食材を挟んだりトッピングしたりする食べ物のことで、例えばサンドイッチがその代表です。
ラーメンもこれにあてはめられているようです。
そこから何が言いたいかと申しますと、ゴジラ映画は食べ物に例えると正にこのサンドイッチのようであるということです。
1954年の1作目から昭和のシリーズを経て平成VSシリーズ、ミレニアムシリーズを見渡すと、ゴジラという1つのキャラクターを中心に、本当に様々な趣向の作品が作られてきています。
1作目での核兵器への風刺表現に始まり、2作目『ゴジラの逆襲』では1作目のシリアス要素を保ちつつ、初の敵怪獣を登場させながら一方で飛行機乗りたちの友情や勇姿を描いた人間ドラマを見せる作品となっています。

3作目『キングコング対ゴジラ』で本格的に怪獣どうしの対決を描いたエンターテインメントへと発展し、続く『モスラ対ゴジラ』までは一方的にゴジラは人間の敵として描かれましたが、1作目のシリアスさや放射能で生まれた生物としての恐怖感は少し薄らいでいきます。


『三大怪獣 地球最大の決戦』では、人間にとっての脅威であったゴジラが最後には人間側の味方としてキングギドラを撃退するという点で、初の"正義の怪獣"としての色が現れます。

その流れで描かれた『怪獣大戦争』ではX星人なる宇宙人を登場させ、宇宙SFの要素も取り入れたところでそれまでにも増して異彩を放っています。

怪獣たちが宇宙人に操られたり、ストーリーの軸が地球人と宇宙人との戦いである点で、怪獣がなんとなく脇役になっているのがまたユニークです。

以降の作品ではすっかり人間の敵となる別の怪獣を倒す、ヒーローとしてのゴジラが定着しています。
それにあわせて、子どもの視点を重視した作品も見受けられるようになります。
とりわけおもしろいのは『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』です。
こちらの作品はゴジラをはじめとした怪獣たちがフィクションの存在として位置付けられ、少年の夢の中で怪獣たちが登場するというこれまたユニークなゴジラ作品です。

70年代に入り公開された『ゴジラ対ヘドラ』では公害問題を風刺した表現で、1作目のコンセプトに近い要素は感じます。
しかし、オープニングで流れる麻里圭子さんの『かえせ!太陽を』を歌う映像やサイケデリックな世界観は、それまでの作品からかけ離れた仕上がりで観る者に強いインパクトを与えます。

以降、60年代とは違う70年代の雰囲気が醸されている作品においても変わらないのは、M宇宙ハンター星雲人やブラックホール第3惑星人といった、宇宙人が登場している作品があるところです。
こうして見るとゴジラ映画は怪獣と人間の戦いや怪獣どうしの戦いを描くだけではありません。
宇宙人といった、それだけをメインに映画が作れてしまいそうなキャラクターを周辺に配置することが多かったことがわかります。
そしてそういう作品のストーリーの軸は地球人と宇宙人の戦いだったりするわけです。

こういうことを堂々とやってのけた当時の制作者たちの創造性がいかに高かったことでしょうか!
そんな昭和のゴジラシリーズは15作目『メカゴジラの逆襲』で一度区切りがつきます。
そこから9年後、──まだ昭和のうちであるものの──1作目を除くそれまでのシリーズとはストーリーの関連性が一切ない、新しい世界観設定で『ゴジラ(1984)』が制作されました。
1作目の恐怖から30年後、再びゴジラが出現するという内容のこの作品は、正に人間にとっての恐怖となる初期のゴジラを登場させました。
特撮シーン以外の本編は硬派な人間ドラマで、そんな中にもスーパーXという超兵器を登場させるSF要素も入っているところが不思議な感覚です。


その硬派な人間ドラマとSF要素の組み合わせを保ちながら制作され、『ゴジラ(1984)』の続編にして平成VSシリーズの幕開けとなった作品が『ゴジラvsビオランテ』です。

こちらは怪獣どうしの戦いは描きつつ、ストーリーの軸はゴジラ細胞を巡る利害関係が絡んだ各組織の戦いです。
この『ゴジラvsビオランテ』から『ゴジラvsデストロイア』までの6作品には、一貫したストーリーのつながりを持ちつつ、やはり様々な演出がありました。
『ゴジラvsキングギドラ』では23世紀からきた未来人が登場し、人物たちが太平洋戦争の時代にタイムトリップするという離れ業演出です。

しかしそれによってゴジラ誕生の秘密が明かされるのだから、強引さの中にもしっかりしたシナリオの流れになります。(タイムパラドックスの批判もありますが…)
『ゴジラvsモスラ』は一転してファミリー向けのファンタジックな作品です。
小美人が登場し、歌でモスラを呼ぶシーンは前3作品とは全く別物の作品に思えてきますね!

しかしながらストーリーのつながりがあることを実感させてくれるのは、『ゴジラvsメカゴジラ』の中で、『──vsキングギドラ』に登場したメカキングギドラの技術を検証してメカゴジラを造るという説明があり、『ゴジラvsスペースゴジラ』ではそのメカゴジラの後継であるモゲラが登場するからです。

しかもスペースゴジラの誕生の経緯については、ゴジラとビオランテの戦い、あるいはゴジラとモスラの戦いのときの関連性を説明に入れています。
このようにラストの『──vsデストロイア』までの間にも多彩な要素の作品が生み出されたわけですが、忘れてはいけないのが6作品全てに登場していた超能力者・三枝未希の存在ですね!

昭和のゴジラシリーズに登場する宇宙人や架空の国の民族というのとはまた違った切り口での空想科学の見せ場として作品を彩っていました。
未来人も超能力者も、現実にいる普通の人間に特殊性を持たせて登場させるという手法です。
その後、制作された第3期ゴジラシリーズ(以下ミレニアムシリーズ)は、人間ドラマの描き方に平成VSシリーズとは違ったテイストがあります。
より一人称視点を強調した主人公の描写です。
これは例えば『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』で主人公・辻森桐子が過去の対ゴジラ作戦で上官を亡くしていて、そのときの復讐心を抱きながら遺志を継いでゴジラと戦うというものです。
『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』では、主人公・立花由里とその父親・泰三との絆を前面に出したラストで、ゴジラの主役感が後ろに持っていかれている気がします。
『ゴジラ×メカゴジラ』では特生自衛隊の隊員・家城茜が、自らのミスで仲間を死なせてしまったことへの自責の念を抱きながら機龍(メカゴジラ)のオペレーターとしてゴジラと戦うというものでした。
ここに上げた作品の人物描写は、いずれもゴジラ打倒という目的を、人類全体の視点とは別に、個々の強い思いも絡めて果たしていくという描写です。

平成VSシリーズでこういう人物描写が全くなかったというわけではありません。
しかしミレニアムシリーズの上記の作品は重点が人物の側に行きすぎて、ちょっとゴジラの主役感を食ってしまっている気がします(笑)
(三枝未希はあくまでゴジラの視点でしたよね!)
なのでゴジラという存在を通しながらも、一人の人間の乗り越える壁が強調されている部分がミレニアムシリーズの作品には多くあったと言えます。
そんな中、ミレニアムシリーズでひときわ並外れたインパクトのある作品が『ゴジラ FINAL WARS』です。

当時は東宝もこれでゴジラシリーズは最後にするつもりでいたようです。
そんな意気込みで登場怪獣の数が歴代シリーズ史上最多で、他にも轟天号や妖星ゴラス、地球防衛軍といった、怪獣映画以外の東宝特撮作品のネタも盛り込み、音楽にはキース・エマーソンが参加したという異例の規模です。
怪獣たちは動きにスピード感を持たせるために軽量化した着ぐるみを使い、CGで描かれたエメリッヒ版ゴジラを登場させるなど、動きの面でも世界観設定の面でも重量感がない、本当にネタに走った作品に思えるのは否めません。
(アンギラスがボールみたいにゴロゴロ転がっていきます!)
登場怪獣が多いことも、かえって怪獣1体あたりの価値が薄れるうえにゴジラの存在感がますます脇に追いやられてしまいます。
しかもこの作品のストーリーの軸はやはり地球人とX星人の戦いです。
キース・エマーソンという大物ミュージシャンが手掛けたレトロゲームミュージックみたいな曲も、伊福部昭の音楽に親しんだ人たちからすればなんだか重厚さが足りない…
とにかくいろいろ詰め込み過ぎて広く薄っぺらい作品になってしまったのではと思ってしまいます。
当時としての最終作にして最高の駄作…
ファイナルウォーズだけにはそこまで集中砲火を浴びせるのか!
…と、我ながら思ってしまうのですが、これがまた北村一輝X星人の多大な貢献によって、食わず嫌いなく観ればおもしろいですよね(個人的にそう思っています)。

それまでのゴジラシリーズからはあまりにもかけ離れた世界観に初めは戸惑うかもしれないけれど、ここまで振り切ってやってくれれば許せてしまいます。
思えば『怪獣大戦争』だって『ゴジラ対ヘドラ』だって、いや、その他の昭和のゴジラシリーズも各々でいろんな趣向があったわけです。
『ゴジラ FINAL WARS』は実はそんな昭和にあった自由さに還った作品という見方ができます。
平成になってからのシリーズには登場していなかった怪獣たちも含めてあれだけ多く登場するのは、それだけ過去の作品に対するリスペクトが込められているようにも見えます。
そして『ゴジラ FINAL WARS』から12年の時を経て制作された『シン・ゴジラ』は日本に迫った危機の対象をテロリストや災害から、そのままゴジラに置き換えたようなストーリーでした。
更にアニゴジ3部作は相対性理論などの物理学的思考を取り入れたハードSFで描いています。
全くもってゴジラの聖地である日本の東宝は、ゴジラで様々なことをやってきているなと感じます。
その中で好き嫌いも分かれてくるでしょうし、どれも好きという人もいるでしょう。
いずれにしてもハリウッド版のゴジラが盛り上がっている傍ら、オリジナルの側である日本の映画界の人たちの創造性の軌跡にも敬意を示したいところです。
VFX技術や投じられる予算の面ではハリウッドに太刀打ちできなくとも、やはりオリジナルの聖地だからこその広い視点でのアイデアという面では負けていないはずです。
今までにない新しい要素を取り入れたゴジラの映画がまた日本で作られてほしいと心のどこかでは思います。
ゴジラとサイバーパンクSF……ゴジラとスチームパンク……ゴジラと時代劇ファンタジー……
あまりにもイメージを崩してしまうような作品が現れたらさすがに戸惑うかもしれませんが…。
そうですね、サンドイッチにアボカドは許せても納豆は許せない!いや、許せるか!といったところでしょうか。
さて、そんなゴジラシリーズの第1作目からファイナルウォーズまでの29作品の廉価版Blu-rayが発売されています。
以前に8回に渡ってブログに書いた平成VSシリーズ(→記事参照)も含めた60周年記念版Blu-rayとは、特典映像などの内容は同じようです。
今は配信サービスが充実していて、映像ソフトを買う人はたぶん少ないですが、ゴジラシリーズに興味が沸いて今からコレクションしてみたいという方は、もちろん新しくリリースされた廉価版を買うのがお得です。
現在のところAmazonなどで「ゴジラ Blu-ray」とか「ゴジラvsビオランテ Blu-ray」などと検索すればその新版が上位に表示されます。

え?…4K Ultra HDですか?
実は私も疑問に思っています。
そのうちリリースされるのか?
実はそれについても私なりに考察したブログを以前にアップしているのですが(→記事参照)、今こうしてBlu-rayの廉価版という形で新しくリリースしたということはたぶん出ないかと思います。
リリースされるとしてもしばらくは…
ゴジラ映画に限らず、日本映画は4Kのラインナップが洋画ほどではないですからね。
アニメのほうは割りと充実しているようなのですが。
洋画ですらどれもこれも4K Ultra HDが出ているわけではありません。
やはり4Kでリリースするのはそう簡単なことではなさそうです。
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