ロボット犬との友情を描いたSF映画『A-X-L/アクセル』──この感覚、どこか懐かしい!
- 2019/10/05
- 23:24
動物を型どったロボットなんて発想が今さら子どもじみているように思える人もいるだろうけど、まずは食わず嫌いなくこの作品を観ました。
やっぱり映画でメカニカルなものが登場するとなれば、本能的に飛びついてしまうんでしょうな~。
『A-X-L/アクセル』(2018年 監督・脚色:オリヴァー・デイリー 出演:アレックス・ニューステッター、ベッキー・G、アレックス・マクニコル、ドミニク・レインズ、トーマス・ジェーン 他)


A-X-L アクセル [DVD][→Amazon]
【あらすじ】──オフロードバイクレースに勤しむマイルズ(アレックス・ニューステッター)はある日、犬型のロボットと出会う。
故障していたロボット犬はマイルズによって再起動し、彼をパートナーと認識して信頼を深める。
しかしそのロボット犬はアメリカ軍が開発した、最先端の人工知能を搭載した殺戮マシーン「A-X-L」だった。──


☆ロボット好きなら楽しめるこのルックス
生き物を型どったロボットというと何かしら日本のアニメにあったような感覚がありますが…
いかん!
具体例が出てこない!
ただ、この映画に登場するロボット犬はなんだかんだ言ってワクワクさせられる造形です。
その感覚というのが、なんとなくロボットが登場するようなアニメを観ていた頃のワクワク感と似ているんですね!
ゾイド…ビーストウォーズ…
見た目は全然違うけど、そういったところでしょうか。

さて本作のロボット犬ですが、こちらのデザインそのものは滑らかな形状とピカピカの金属ボディという、単純にSF映画が好きな人の目を楽しませてくれるものとなっています。
そこに青く光ったり赤く光ったりする目。
この辺りはターミネーターのエンドスケルトンにちょっと似ています。

そして動きや仕草がしっかり犬っぽい。
ロボットなのに生き物の愛嬌があります。
本物の犬もいいけど、こんなロボット犬と仲良くなれるのは1つのロマンですね!
人工知能の発展と、実際に犬型のロボットが開発されている昨今を見れば、現実的な技術に思えてきます。
往年のSF映画やロボットアニメの世界に留まらず、実現できそうな気がするところにもまたワクワクさせられます。
★懐かしさが香る爽快なストーリー
これと言って脚本に深みがあるわけではない本作。
そのせいか批評家たちによる評価は決して良くないようです。
ただ、そのぶん最近のダークな世界観で描かれる数々のSF映画に比べると、本作は爽快感あるストーリーとスピード感ある展開です。
ジュブナイルと言うには登場人物は大人ですが、そういう映画に近いピュアな気持ちにさせられる作品でもあります。

小難しい哲学的な描写がないぶん、『ターミネーター』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような80年代の名作を観ているような懐かしさともとれます。
軍用兵器として開発されたロボットに、主人公との出会いで友情が芽生えるなんて流れが単純に微笑ましいですね。
近年のハリウッドで製作されている『トランスフォーマー』シリーズも彷彿とさせられますが、あちらも80年代に登場した玩具が始まりです。
たまにはこういうわかりやすさが新鮮に思えてくるときもあります。
舞台設定はディストピアな未来でもなく、冒頭のオフロードバイクのサーキットが目に入ってくるシーンの安心感。
ドローンや人工知能という最近のネタは入ってくるのですが、なんてことない昔ながらの世界観にこういうハイテクな物が描かれる感覚もやはり捨てがたいですね。
だからこれが80年代にあったハリウッドSF映画の感覚に通じるんです。
先ほど例に出した『ターミネーター』も80年代の街中に未来から来たサイボーグが現れるという対比があったからこその、人間味ある雰囲気ですから!
未来で水爆が投下されるという暗い話しであっても、例えば90年代後期の『マトリックス』のような、とことんまでダークな世界とは違います。
同じ"マシンと人間"が織り成すストーリーと言ってもそこが違うんですね!
(『ブレードランナー』みたいなサイバーパンクはここでは置いておきます)
本作から感じるこのテイストはたぶん、砂ぼこりとマシンが放つ金属の色という組み合わせも要因の1つと言えます。


☆制作者の意欲が伝わるがゆえの惜しさ!
ロボット犬の名前をとって『A-X-L/アクセル』というタイトルの本作は監督・脚本のオリヴァー・デイリー自身が短編として製作した『Miles』を長編映画化した作品です。
原作である短編の方は主人公の青年の名前からタイトルをつけているようですが、内容が気になるところです。
オリヴァー・デイリー監督に関しては、現時点ではまだ情報が少ないのですが、この短編映画をKickstarterという民間営利企業で資金調達して製作したそうです。
同企業のことは詳しくないのですが、クラウドファンディングで資金を調達したようですね。
こうして短編映画『Miles』が公開されたのが2014年で、それから4年たった2018年に同作品の長編の公開まで持っていったところに、本作への熱意が感じられます。
短編では表現したくてもしきれない部分がおそらくあったのでしょう。
あるいはその短編を基に、さらなるアイデアが浮かんできたのかもしれません。
そんな長編の方である『A-X-L/アクセル』は、先ほど述べたように、とにかく犬型のロボットの造形にワクワクさせられます。
ただ、惜しいと感じる部分としてそのロボット犬の誕生の経緯をもっと掘り下げて欲しかったところがあります。
ロボット犬の造形も、それを表現しているVFXの面も、大作映画に遜色ない仕上がりです。
しかし、そのロボット犬の誕生の背景は、戦場の兵士を援護する目的で極秘に開発されたという意味合いの説明が冒頭などである程度です。



ストーリーが全体として、青年とロボットとの友情に焦点があてられているというのもあるのですが…
せっかくこんなカッコいいロボット犬を、軍が実験して開発していく様も描いてほしいと私は思います。

兵士たちと訓練を共にしているシーンもあっても良かったと思うのは、観る側の身勝手なのはわかっています。
こういう描写を個人的に求めてしまうのは、あの『ロボコップ』の影響か…。
またこれだけのハイテクなロボットがガソリンで動くという点や、極秘で開発されているにも関わらず、平凡な青年が修理できてしまうという点に対するツッコミは多くの人が感じる部分でしょう。
そういうツッコミどころなどを気にしなければ、ピュアな気持ちで楽しめる良作です。
あの後どうなったのかと気になるラストもあわせて、もしや続編を作れば世界観を深めていけそうな作品でもあります。


A-X-L アクセル(字幕版)[→Prime Video]
[→吹き替え版]
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→地球人よ、もっと賢くなれ! ロシアのSF映画『アトラクション 制圧』
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やっぱり映画でメカニカルなものが登場するとなれば、本能的に飛びついてしまうんでしょうな~。
『A-X-L/アクセル』(2018年 監督・脚色:オリヴァー・デイリー 出演:アレックス・ニューステッター、ベッキー・G、アレックス・マクニコル、ドミニク・レインズ、トーマス・ジェーン 他)

【あらすじ】──オフロードバイクレースに勤しむマイルズ(アレックス・ニューステッター)はある日、犬型のロボットと出会う。
故障していたロボット犬はマイルズによって再起動し、彼をパートナーと認識して信頼を深める。
しかしそのロボット犬はアメリカ軍が開発した、最先端の人工知能を搭載した殺戮マシーン「A-X-L」だった。──


☆ロボット好きなら楽しめるこのルックス
生き物を型どったロボットというと何かしら日本のアニメにあったような感覚がありますが…
いかん!
具体例が出てこない!
ただ、この映画に登場するロボット犬はなんだかんだ言ってワクワクさせられる造形です。
その感覚というのが、なんとなくロボットが登場するようなアニメを観ていた頃のワクワク感と似ているんですね!
ゾイド…ビーストウォーズ…
見た目は全然違うけど、そういったところでしょうか。

さて本作のロボット犬ですが、こちらのデザインそのものは滑らかな形状とピカピカの金属ボディという、単純にSF映画が好きな人の目を楽しませてくれるものとなっています。
そこに青く光ったり赤く光ったりする目。
この辺りはターミネーターのエンドスケルトンにちょっと似ています。

そして動きや仕草がしっかり犬っぽい。
ロボットなのに生き物の愛嬌があります。
本物の犬もいいけど、こんなロボット犬と仲良くなれるのは1つのロマンですね!
人工知能の発展と、実際に犬型のロボットが開発されている昨今を見れば、現実的な技術に思えてきます。
往年のSF映画やロボットアニメの世界に留まらず、実現できそうな気がするところにもまたワクワクさせられます。
★懐かしさが香る爽快なストーリー
これと言って脚本に深みがあるわけではない本作。
そのせいか批評家たちによる評価は決して良くないようです。
ただ、そのぶん最近のダークな世界観で描かれる数々のSF映画に比べると、本作は爽快感あるストーリーとスピード感ある展開です。
ジュブナイルと言うには登場人物は大人ですが、そういう映画に近いピュアな気持ちにさせられる作品でもあります。

小難しい哲学的な描写がないぶん、『ターミネーター』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような80年代の名作を観ているような懐かしさともとれます。
軍用兵器として開発されたロボットに、主人公との出会いで友情が芽生えるなんて流れが単純に微笑ましいですね。
近年のハリウッドで製作されている『トランスフォーマー』シリーズも彷彿とさせられますが、あちらも80年代に登場した玩具が始まりです。
たまにはこういうわかりやすさが新鮮に思えてくるときもあります。
舞台設定はディストピアな未来でもなく、冒頭のオフロードバイクのサーキットが目に入ってくるシーンの安心感。
ドローンや人工知能という最近のネタは入ってくるのですが、なんてことない昔ながらの世界観にこういうハイテクな物が描かれる感覚もやはり捨てがたいですね。
だからこれが80年代にあったハリウッドSF映画の感覚に通じるんです。
先ほど例に出した『ターミネーター』も80年代の街中に未来から来たサイボーグが現れるという対比があったからこその、人間味ある雰囲気ですから!
未来で水爆が投下されるという暗い話しであっても、例えば90年代後期の『マトリックス』のような、とことんまでダークな世界とは違います。
同じ"マシンと人間"が織り成すストーリーと言ってもそこが違うんですね!
(『ブレードランナー』みたいなサイバーパンクはここでは置いておきます)
本作から感じるこのテイストはたぶん、砂ぼこりとマシンが放つ金属の色という組み合わせも要因の1つと言えます。


☆制作者の意欲が伝わるがゆえの惜しさ!
ロボット犬の名前をとって『A-X-L/アクセル』というタイトルの本作は監督・脚本のオリヴァー・デイリー自身が短編として製作した『Miles』を長編映画化した作品です。
原作である短編の方は主人公の青年の名前からタイトルをつけているようですが、内容が気になるところです。
オリヴァー・デイリー監督に関しては、現時点ではまだ情報が少ないのですが、この短編映画をKickstarterという民間営利企業で資金調達して製作したそうです。
同企業のことは詳しくないのですが、クラウドファンディングで資金を調達したようですね。
こうして短編映画『Miles』が公開されたのが2014年で、それから4年たった2018年に同作品の長編の公開まで持っていったところに、本作への熱意が感じられます。
短編では表現したくてもしきれない部分がおそらくあったのでしょう。
あるいはその短編を基に、さらなるアイデアが浮かんできたのかもしれません。
そんな長編の方である『A-X-L/アクセル』は、先ほど述べたように、とにかく犬型のロボットの造形にワクワクさせられます。
ただ、惜しいと感じる部分としてそのロボット犬の誕生の経緯をもっと掘り下げて欲しかったところがあります。
ロボット犬の造形も、それを表現しているVFXの面も、大作映画に遜色ない仕上がりです。
しかし、そのロボット犬の誕生の背景は、戦場の兵士を援護する目的で極秘に開発されたという意味合いの説明が冒頭などである程度です。



ストーリーが全体として、青年とロボットとの友情に焦点があてられているというのもあるのですが…
せっかくこんなカッコいいロボット犬を、軍が実験して開発していく様も描いてほしいと私は思います。

兵士たちと訓練を共にしているシーンもあっても良かったと思うのは、観る側の身勝手なのはわかっています。
こういう描写を個人的に求めてしまうのは、あの『ロボコップ』の影響か…。
またこれだけのハイテクなロボットがガソリンで動くという点や、極秘で開発されているにも関わらず、平凡な青年が修理できてしまうという点に対するツッコミは多くの人が感じる部分でしょう。
そういうツッコミどころなどを気にしなければ、ピュアな気持ちで楽しめる良作です。
あの後どうなったのかと気になるラストもあわせて、もしや続編を作れば世界観を深めていけそうな作品でもあります。

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