『妖星ゴラス』──怪獣映画にはじまり、それ以外の東宝特撮も好きになる!③
- 2020/06/20
- 20:12
『地球防衛軍』『海底軍艦』に続き、私が好きになった"怪獣以外の東宝特撮作品"について語るシリーズ。
その3回目は、宇宙人でも悪の帝国でもなく、星という巨大な物体が地球に迫るこちらの作品について語ります。
『妖星ゴラス』(1962年 監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二 出演:池部良、久保明、白川由美、水野久美、上原謙、志村喬、平田昭彦、田崎潤 他)


妖星ゴラス[→Prime Video]
【あらすじ】──土星探査の任務中の宇宙船JX-1 隼号に、地球の6,000倍の質量の黒色矮星が発見されたとの情報が入る。
「ゴラス」と命名されたその星に最も近い位置にいるのが自分たちの宇宙船であると知った艇長の園田(田崎潤)は急遽、任務をゴラスの探査に変更する。
しかしゴラスの引力から脱出できなくなった隼号の乗組員たちは、観測データを地球に送った後に犠牲となる。
隼号からの観測データにより導き出された結論は、ゴラスがこのままの進路を保てば地球に衝突するというものだった。
日本宇宙物理学会の田沢博士(池部良)と河野博士(上原謙)は国連科学会議で、重水素と三重水素を燃料とする核融合を利用したロケット推進装置を南極に設置し、地球の公転軌道を変えることでゴラスの衝突を回避することを提案する。
そして隼号に続いてゴラスの再観測を行うべく、若き乗組員たちを乗せたJX-2 鳳号が宇宙へ飛び立つ。──
☆地球そのものを動かす大胆すぎるアイデア!
特撮ではなくディザスターフィルムという視点で見れば、地球に衝突しようとする星の恐怖を描いた映画で真っ先に思い浮かぶのは洋画の作品ではないでしょうか。
そしてその中でもこれまた真っ先に思い浮かぶ作品といえば、私はやはり『ディープ・インパクト』や『アルマゲドン』です。
あれらはいずれも彗星や小惑星が地球に向かってくるというもので、それを回避する手段として、その星を破壊する描写があります。
しかし本作『妖星ゴラス』に登場するゴラスという星は黒色矮星で、扱いとしては太陽と同じ恒星です。
大きさは地球の4分の3にも満たないものの、質量は地球の6,000倍!!

実に怪物的に描かれた星です。
そんな怪物級の恒星の衝突から回避するべく、主人公・田沢博士が提案したのは、地球の公転軌道を変えること。
南極に巨大な推進装置を建造し、ロケットの原理で地球を動かしてしまうということなんです!
そのために必要なエネルギーは660億メガトン!
……そう言われてもですね!
とにかくすごい数字というのはわかっても、想像がつかないエネルギーです。
660億と聞いただけでもすごい数字に思えますが、そこからさらに掛ける10の6乗となるわけです。
ちなみに1961年に旧ソ連が実験を行った水素爆弾「ツァーリ・ボンバ」は人類史上最大の威力を誇った兵器で、その威力は100メガトン(実験では50メガトンに抑えられた)だそうです。
それを踏まえたうえでの660億メガトンという数値は、もはやこんなド素人にはさっぱりなわけです。
同じ重水素や三重水素を使った核融合と言っても、爆弾とロケットエンジン──
つまりは爆発を起こすか噴流を起こすかという違いがあるので単純に比較するべきものではないのかもしれませんが、人類史上最大の威力を誇った水素爆弾の6億6千万倍というエネルギーなんて発生させれば、地球そのものがぶっ壊れないか…

そんな疑問も浮かんできます。
そこはフィクションなんでいちいち突っ込むものじゃないのでしょうけど、とにかくそんな膨大なエネルギーで地球の方を動かすアイデアは大胆すぎます!
★ロマン溢れる宇宙時代ムード
本作が公開された前年の1961年4月にガガーリンが人類初の有人宇宙飛行を行った話は有名です。
そんなガガーリンの搭乗していた宇宙船ボストークに続いて1961年5月にアメリカのマーキュリー・レッドストーン3号が有人宇宙飛行に成功しました。
このように、具体的な宇宙船や人物たちの名前までは知らずとも、ソ連とアメリカが宇宙開発で競っていた話はどこかで聞いたことがあるかと思います。
本作が公開された60年代はちょうど宇宙開発に沸いた時代だったんですね。
日本では現在のところ、国家レベルで有人宇宙飛行を行った例がありません(日本人が宇宙飛行を行った例はありますが)。
しかしこの頃の時代(60年代から70年代)に制作された東宝特撮映画はゴジラなどの怪獣映画も含めて、宇宙に関連した舞台設定の作品が多く、当時は日本人もいかに宇宙ロマンを抱いていたかが垣間見えます。
中でもこの『妖星ゴラス』は(南極に現れるマグマを除いて)怪獣はもちろん、宇宙人も登場せず、人類が戦う相手は地球に迫る星という現実味ある内容ゆえに、ますます宇宙飛行そのものに焦点があてられた作品となっています。
土星探査の任務を遂行していたJX-1 隼号の乗組員に始まり、そこから正体不明の星の地球への接近がわかった後、後輩の宇宙飛行士たちが後に続けと言わんばかりに命懸けの宇宙飛行の任務に熱意を見せる。

JX-2 鳳号の乗組員たちが歌う劇中歌『俺ら宇宙のパイロット』の歌詞からも純真無垢な宇宙へのロマンが溢れています。
「1980年代は宇宙の時代だ」という久保明さんの台詞からは、当時の人々から見た20年後(=80年代)の未来社会への展望がよく表れています。
私などが、21世紀には自動車が宙を浮いて走っていると想像していたように、60年代の人々は80年代は宇宙で暮らすのが当たり前になっているくらいの想像までしていたのかもしれません。
実際のところは未だにそこまではなっていませんが、日本の映画界でこれだけ日本の宇宙船が人を乗せて宇宙を飛び回る様を描いた作品が作られていただけに、哀しくも夢が持てた時代だったことがうかがえます。
☆特撮そっちのけに魅せられる人間たちの描写
日本が宇宙開発や宇宙探査で国際社会と肩を並べているという夢のような世界を描いている本作。
真にすばらしいのは、決して他国に対抗心を見せるのではなく、各国と手を組んで困難に立ち向かう姿があることです。
大質量の恒星ゴラスが接近する全地球人の危機を前に、ゴラスを爆破するのは不可能であるとわかったところで、地球そのものの軌道を変えるという案に誰もが懐疑的になるのは当然です。

それを池部良さんが演じる田沢博士が物理学的理論を基に有効性を示し、各国が互いの技術を隠すことなく持ち寄って完成させていく、核融合エネルギーを駆使したジェットパイプ。
大戦から数十年たち、科学力を戦争のために使う時代を終わりにしようと言う主張を核エネルギーを通じて示しているところが興味深いですね。
同じ"核"を扱う作品でも『ゴジラ』や『地球防衛軍』が核兵器の恐怖を風刺しているのに対し、本作は世界が1つになり、核エネルギーを人類のために役立てるという新しい視点をもたらしています。
そして豪華なキャストによる個々の人物たちの描写の力の入れように感服です。
全人類のために重荷を背負う田沢博士と、彼に尊敬の眼差しを向けながら恋愛感情を抱くJX-1艇長の娘。



宇宙での任務に命を燃やすJX-2の乗組員たち。
私が特に好きなのはそのJX-2の艇長である遠藤です。
平田昭彦さんが演じる、ストイックでいながら部下たちの熱意を心の底では無視していない遠藤艇長がカッコ良すぎます!


カプセル1号に乗り込み、これからゴラスに接近して命懸けの観測を行う金井との直前のやりとり──
「了解!」
「まだ了解じゃない!」
「了解!」
「まだ了解じゃない!」
「了解!」
「まだ了解じゃない!」
私の場合はもうこのシーンのために本作を観ているようなものです。
★でもやっぱり無視できない!円谷氏の特撮
本作における円谷英二さんによる特撮シーンは、宇宙船や宇宙ステーションなどにはもちろん円谷カラーの美しさがあります。


しかし何よりも目を見張るのが南極のジェットパイプ基地建造のシーンです。
これだけのスケールのシーンを、どこかの敷地を使って本物の建設機械を用意して撮影するのは困難でしょう。
そして当時はCGもなかった頃です。
そういうシーンをやはりミニチュアで表現しているのですが、そのセットのスケールがまた凄まじい。
1枚の絵として見ても、遠くまで見渡せてしまうその細かさに驚かされます。
緻密な風景画を立体物で描いているとでも言えるでしょう。
南極の白い氷と土の部分、鉄筋などの建設材料や運搬用の乗り物と、普通に現実にありそうな物たちを特撮で表現しているところが目玉となっています。
すぐにミニチュアだとわかるシーンではありますが、斜め上から遠目で眺めるアングルでは本物に見えたりもして、その瞬間は芸術そのものです。

いや、ミニチュアだとわかっていても、そもそもこれだけのスケールのあるセットで撮影していることが芸術なのです!
こういう所はむしろ、今のVFXで作られた映画とは違う楽しさが溢れている部分です。
さりげなく、こんなところまで特撮で表現しているのか!と、ニヤリとさせられてしまうのが、白川由実さんと水野久美さんが台詞を交わすこのアパートの外の風景です!

さりげなさすぎて、当たり前のように見過ごしてしまいそうな特撮セットですね。
2機のロケット、JX-1とJX-2のカッコ良さが、『怪獣大戦争』や『怪獣総進撃』のロケットより際立っていると思うのですが、何せ本作の特撮シーンは南極の基地や普通の街のインパクトの方が強すぎるのです。


マグマなんて生物が現れたり、そのマグマを撃退するために出撃する国連VTOL機なんぞ超兵器も登場するんですけどね。
──というわけで、人でも怪獣でもなく"星"が地球を襲ってくる、特撮の中でもディザスターフィルムに近い本作についてざっと語りました。

しかしやっぱり日本の特撮らしい演出が前面に溢れていて、特撮映画を観ているな~という感覚が確実にあるのがこの『妖星ゴラス』です。
宇宙人や怪獣よりも地味と言えるかもしれませんが、やっぱり地球を動かすという発想はド派手です。
それに太陽みたいな星が接近して地球が滅亡するなんてことになれば、これはもうゴジラどころの騒ぎじゃないですね。


妖星ゴラス [東宝DVD名作セレクション][→Amazon]
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その3回目は、宇宙人でも悪の帝国でもなく、星という巨大な物体が地球に迫るこちらの作品について語ります。
『妖星ゴラス』(1962年 監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二 出演:池部良、久保明、白川由美、水野久美、上原謙、志村喬、平田昭彦、田崎潤 他)

【あらすじ】──土星探査の任務中の宇宙船JX-1 隼号に、地球の6,000倍の質量の黒色矮星が発見されたとの情報が入る。
「ゴラス」と命名されたその星に最も近い位置にいるのが自分たちの宇宙船であると知った艇長の園田(田崎潤)は急遽、任務をゴラスの探査に変更する。
しかしゴラスの引力から脱出できなくなった隼号の乗組員たちは、観測データを地球に送った後に犠牲となる。
隼号からの観測データにより導き出された結論は、ゴラスがこのままの進路を保てば地球に衝突するというものだった。
日本宇宙物理学会の田沢博士(池部良)と河野博士(上原謙)は国連科学会議で、重水素と三重水素を燃料とする核融合を利用したロケット推進装置を南極に設置し、地球の公転軌道を変えることでゴラスの衝突を回避することを提案する。
そして隼号に続いてゴラスの再観測を行うべく、若き乗組員たちを乗せたJX-2 鳳号が宇宙へ飛び立つ。──
☆地球そのものを動かす大胆すぎるアイデア!
特撮ではなくディザスターフィルムという視点で見れば、地球に衝突しようとする星の恐怖を描いた映画で真っ先に思い浮かぶのは洋画の作品ではないでしょうか。
そしてその中でもこれまた真っ先に思い浮かぶ作品といえば、私はやはり『ディープ・インパクト』や『アルマゲドン』です。
あれらはいずれも彗星や小惑星が地球に向かってくるというもので、それを回避する手段として、その星を破壊する描写があります。
しかし本作『妖星ゴラス』に登場するゴラスという星は黒色矮星で、扱いとしては太陽と同じ恒星です。
大きさは地球の4分の3にも満たないものの、質量は地球の6,000倍!!

実に怪物的に描かれた星です。
そんな怪物級の恒星の衝突から回避するべく、主人公・田沢博士が提案したのは、地球の公転軌道を変えること。
南極に巨大な推進装置を建造し、ロケットの原理で地球を動かしてしまうということなんです!
そのために必要なエネルギーは660億メガトン!
……そう言われてもですね!
とにかくすごい数字というのはわかっても、想像がつかないエネルギーです。
660億と聞いただけでもすごい数字に思えますが、そこからさらに掛ける10の6乗となるわけです。
ちなみに1961年に旧ソ連が実験を行った水素爆弾「ツァーリ・ボンバ」は人類史上最大の威力を誇った兵器で、その威力は100メガトン(実験では50メガトンに抑えられた)だそうです。
それを踏まえたうえでの660億メガトンという数値は、もはやこんなド素人にはさっぱりなわけです。
同じ重水素や三重水素を使った核融合と言っても、爆弾とロケットエンジン──
つまりは爆発を起こすか噴流を起こすかという違いがあるので単純に比較するべきものではないのかもしれませんが、人類史上最大の威力を誇った水素爆弾の6億6千万倍というエネルギーなんて発生させれば、地球そのものがぶっ壊れないか…

そんな疑問も浮かんできます。
そこはフィクションなんでいちいち突っ込むものじゃないのでしょうけど、とにかくそんな膨大なエネルギーで地球の方を動かすアイデアは大胆すぎます!
★ロマン溢れる宇宙時代ムード
本作が公開された前年の1961年4月にガガーリンが人類初の有人宇宙飛行を行った話は有名です。
そんなガガーリンの搭乗していた宇宙船ボストークに続いて1961年5月にアメリカのマーキュリー・レッドストーン3号が有人宇宙飛行に成功しました。
このように、具体的な宇宙船や人物たちの名前までは知らずとも、ソ連とアメリカが宇宙開発で競っていた話はどこかで聞いたことがあるかと思います。
本作が公開された60年代はちょうど宇宙開発に沸いた時代だったんですね。
日本では現在のところ、国家レベルで有人宇宙飛行を行った例がありません(日本人が宇宙飛行を行った例はありますが)。
しかしこの頃の時代(60年代から70年代)に制作された東宝特撮映画はゴジラなどの怪獣映画も含めて、宇宙に関連した舞台設定の作品が多く、当時は日本人もいかに宇宙ロマンを抱いていたかが垣間見えます。
中でもこの『妖星ゴラス』は(南極に現れるマグマを除いて)怪獣はもちろん、宇宙人も登場せず、人類が戦う相手は地球に迫る星という現実味ある内容ゆえに、ますます宇宙飛行そのものに焦点があてられた作品となっています。
土星探査の任務を遂行していたJX-1 隼号の乗組員に始まり、そこから正体不明の星の地球への接近がわかった後、後輩の宇宙飛行士たちが後に続けと言わんばかりに命懸けの宇宙飛行の任務に熱意を見せる。

JX-2 鳳号の乗組員たちが歌う劇中歌『俺ら宇宙のパイロット』の歌詞からも純真無垢な宇宙へのロマンが溢れています。
「1980年代は宇宙の時代だ」という久保明さんの台詞からは、当時の人々から見た20年後(=80年代)の未来社会への展望がよく表れています。
私などが、21世紀には自動車が宙を浮いて走っていると想像していたように、60年代の人々は80年代は宇宙で暮らすのが当たり前になっているくらいの想像までしていたのかもしれません。
実際のところは未だにそこまではなっていませんが、日本の映画界でこれだけ日本の宇宙船が人を乗せて宇宙を飛び回る様を描いた作品が作られていただけに、哀しくも夢が持てた時代だったことがうかがえます。
☆特撮そっちのけに魅せられる人間たちの描写
日本が宇宙開発や宇宙探査で国際社会と肩を並べているという夢のような世界を描いている本作。
真にすばらしいのは、決して他国に対抗心を見せるのではなく、各国と手を組んで困難に立ち向かう姿があることです。
大質量の恒星ゴラスが接近する全地球人の危機を前に、ゴラスを爆破するのは不可能であるとわかったところで、地球そのものの軌道を変えるという案に誰もが懐疑的になるのは当然です。

それを池部良さんが演じる田沢博士が物理学的理論を基に有効性を示し、各国が互いの技術を隠すことなく持ち寄って完成させていく、核融合エネルギーを駆使したジェットパイプ。
大戦から数十年たち、科学力を戦争のために使う時代を終わりにしようと言う主張を核エネルギーを通じて示しているところが興味深いですね。
同じ"核"を扱う作品でも『ゴジラ』や『地球防衛軍』が核兵器の恐怖を風刺しているのに対し、本作は世界が1つになり、核エネルギーを人類のために役立てるという新しい視点をもたらしています。
そして豪華なキャストによる個々の人物たちの描写の力の入れように感服です。
全人類のために重荷を背負う田沢博士と、彼に尊敬の眼差しを向けながら恋愛感情を抱くJX-1艇長の娘。



宇宙での任務に命を燃やすJX-2の乗組員たち。
私が特に好きなのはそのJX-2の艇長である遠藤です。
平田昭彦さんが演じる、ストイックでいながら部下たちの熱意を心の底では無視していない遠藤艇長がカッコ良すぎます!


カプセル1号に乗り込み、これからゴラスに接近して命懸けの観測を行う金井との直前のやりとり──
「了解!」
「まだ了解じゃない!」
「了解!」
「まだ了解じゃない!」
「了解!」
「まだ了解じゃない!」
私の場合はもうこのシーンのために本作を観ているようなものです。
★でもやっぱり無視できない!円谷氏の特撮
本作における円谷英二さんによる特撮シーンは、宇宙船や宇宙ステーションなどにはもちろん円谷カラーの美しさがあります。


しかし何よりも目を見張るのが南極のジェットパイプ基地建造のシーンです。
これだけのスケールのシーンを、どこかの敷地を使って本物の建設機械を用意して撮影するのは困難でしょう。
そして当時はCGもなかった頃です。
そういうシーンをやはりミニチュアで表現しているのですが、そのセットのスケールがまた凄まじい。
1枚の絵として見ても、遠くまで見渡せてしまうその細かさに驚かされます。
緻密な風景画を立体物で描いているとでも言えるでしょう。
南極の白い氷と土の部分、鉄筋などの建設材料や運搬用の乗り物と、普通に現実にありそうな物たちを特撮で表現しているところが目玉となっています。
すぐにミニチュアだとわかるシーンではありますが、斜め上から遠目で眺めるアングルでは本物に見えたりもして、その瞬間は芸術そのものです。

いや、ミニチュアだとわかっていても、そもそもこれだけのスケールのあるセットで撮影していることが芸術なのです!
こういう所はむしろ、今のVFXで作られた映画とは違う楽しさが溢れている部分です。
さりげなく、こんなところまで特撮で表現しているのか!と、ニヤリとさせられてしまうのが、白川由実さんと水野久美さんが台詞を交わすこのアパートの外の風景です!

さりげなさすぎて、当たり前のように見過ごしてしまいそうな特撮セットですね。
2機のロケット、JX-1とJX-2のカッコ良さが、『怪獣大戦争』や『怪獣総進撃』のロケットより際立っていると思うのですが、何せ本作の特撮シーンは南極の基地や普通の街のインパクトの方が強すぎるのです。


マグマなんて生物が現れたり、そのマグマを撃退するために出撃する国連VTOL機なんぞ超兵器も登場するんですけどね。
──というわけで、人でも怪獣でもなく"星"が地球を襲ってくる、特撮の中でもディザスターフィルムに近い本作についてざっと語りました。

しかしやっぱり日本の特撮らしい演出が前面に溢れていて、特撮映画を観ているな~という感覚が確実にあるのがこの『妖星ゴラス』です。
宇宙人や怪獣よりも地味と言えるかもしれませんが、やっぱり地球を動かすという発想はド派手です。
それに太陽みたいな星が接近して地球が滅亡するなんてことになれば、これはもうゴジラどころの騒ぎじゃないですね。

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- テーマ:特撮・SF・ファンタジー映画
- ジャンル:映画
- カテゴリ:映画
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