観たら小説読みたくなるマイケル・クライトン原作映画
- 2021/11/06
- 21:47
本来は原作小説を知ってから、映画化されたときに観るという順番が格好としては良いかもしれません。
しかし先に映画を観てから原作があることを知って読んでみたくなるということもありませんか?
私はスピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』に原作小説があることを知ったのは映画を観てからずっと後のことです。
そのときにマイケル・クライトンというSF作家のことも知ったのですが、そこからさらにずっと後になってから原作の『ジュラシック・パーク』を読みました。
これがおもしろいんですね!
あの迫力ある映像がなくても、文字を通して緊張感あふれるシーンが目に浮かんできます。
そして当時盛んに行われていたという遺伝子工学の研究についての話も深く掘り下げたストーリーで興味を惹きつける力があります。
その『ジュラシック・パーク』の著者・マイケル・クライトンの作品には他にもいくつか映画化されているものがあります。
そんなマイケル・クライトンの小説が原作の映画で私が最近観た3作品を取り上げてみました。
必ずしも心底おもしろいとは言いきれない作品もありますが、たぶん原作小説はもっとおもしろいのではと思う作品です。
ではまずはこちらから──
『アンドロメダ…』(1971年 監督:ロバート・ワイズ 出演:アーサー・ヒル、デヴィッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・レイド 他)


アンドロメダ・・・ [Blu-ray][→Amazon]
──血液が凝固する謎の病原体の正体をつきとめる4人の学者たちの戦い!──
1969年に出版された小説『アンドロメダ病原体』を映画化した作品です。

いきなりですが、ここで取り上げる3作品の中で私が一番好きな作品です。
オープニングから妙に緊張感漂う映像とほとんど効果音みたいな音楽。
70年代という古い時代の映画であるのもあって、決して派手さのない演出。
もっと言えばやたら硬派すぎる演出と言えるでしょう。
4人の学者たちが突然集められ、厳重な密閉空間の中でひたすら繰り広げられる病原体の分析のシーンが作品の大半を占めています。
退屈に思えてこれがまた観ていてクセになります。
それどころか、この余計なものを一切省きましたと言わんばかりの一直線なストーリーが、物語の軸を際立たせて集中して観ていられます。
正体がわからないという恐怖感と、それをいち早く紐解いていこうとする緊張感が終始劇中を覆っています。
そして更に目を惹くのは舞台となる隔離施設のインテリアです。
やはり70年代の作品であることもあり、昔の特撮映画に出てきそうな空間で、それがまた味わいがあります。
見ていていい具合にこちらも息苦しくなる密閉空間の映像です。
まあそれにしても学者たちが呼び出される様が実に強引だこと。
そら急にこんな息苦しい隔離施設に連れてこられたんじゃ、不機嫌になりますね。
それでは2つ目の作品にまいります!
『スフィア』(1998年 監督:バリー・レヴィンソン 出演:ダスティン・ホフマン、シャロン・ストーン、サミュエル・L・ジャクソン、リーヴ・シュレイバー 他)


スフィア [Blu-ray][→Amazon]
[→Prime Video]
──海底に沈む謎の宇宙船で見たものは、思考を現実化する球体だった!──
…と、自分でこんなあらすじを述べておきながら、私は観ていてなんじゃこりゃ?となりました。
こちらは1987年に出版された『スフィア -球体-』を映画化した作品ですが、科学的というより魔法じみた発想です。

確かに相対性理論や量子論の話は実際に魔法じみているところがありますが…
その魔法じみた設定を原作小説ではどんな科学的視点で描写しているか気になるところですが、少なくとも映画ではその辺りの掘り下げが浅い気がします。
そしてなんとなく展開が退屈な作品です。
ダスティン・ホフマンがヘリに乗って海上までやってくる冒頭のシーンはワクワクするのに、後は謎ばかりで起伏ある展開がありません。
となるとせめてあの球体がどのようにして思考を実現させてしまうのかという科学的な見解に触れる描写で観る者を唸らせてほしいところです。
興味深いのは、マイケル・クライトンの小説は意味もわからないまま複数人の各分野の学者が召集されるという始まりが多いということですね!
軍が発見した海底の宇宙船を調査すべく、学者たちが呼ばれるところから始まるのが本作『スフィア』です。
『ジュラシック・パーク』では古生物学者や古植物学者、数学者が招かれた場所が、まさかの本物の恐竜がいるテーマパークという始まりでした。
しかし3つ目に取りあげるこちらは少し違います。
『タイムライン』(2003年 監督:リチャード・ドナー 出演:ポール・ウォーカー、フランセス・オコナー、ジェラルド・バトラー、ビリー・コノリー、アンナ・フリエル 他)


タイムライン [DVD][→Amazon]
──物質転送装置の開発過程で発見されたタイムトラベル技術で中世に取り残された教授を救う!──
こちらは1999年の同名小説が原作の映画です。

マイケル・クライトンの作品の中では、科学だけでなく中世ヨーロッパの歴史の話も登場するところが新鮮です。
遺跡発掘チームのリーダー、エドワード・ジョンストン教授を救うため、考古学専攻の学生たちが14世紀のフランスにタイムトラベルします。
そのタイムトラベルの装置に関しては考古学者ではなく物理学者の出番です。
しかし、映画では量子論を交えた話が軽く登場するくらいで、あまりその辺りの科学的な概念を前面には出していません。
イングランドとの戦争真っ只中である14世紀のフランスを舞台に、危険をおかしながら目的を果たそうとする人物たちを描いたアクション作品です。
その時代の兵隊たちと交流し、ロマンスも描かれていて、これはこれでロマンチックで楽しいです。
ジェラルド・バトラー扮するアンドレが、レディ・クレアと恋に落ちる場面は、会話のやり取りからして可愛らしいです。
クレア役のアンナ・フリエルも可愛いです。
難しい理論よりエンターテイメントを重視している映画ですが、たぶん小説の方は物理学的な概念をもっと深く掘り下げているのだろうなと、原作を未読の私は興味が沸いてきます。
難解で理解できないかも知れませんが…
──というわけで各作品についてサラッと述べましたが、3作品とも、現時点で原作を私はまだ読んでいません。
しかしちょっとずつ読んでいこうと思っています。
読むペースが遅いので時間がかかりそうですが…
しかもこの記事を書いている現在のところ、私は『ジュラシック・パーク』の続編である『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』の上巻をようやく完読しようとしているところなので余計に時間がかかりそうです。
こちらもおもしろいんです!
ちなみに『ジュラシック・ワールド 炎の王国』が公開される前に書いた古い記事ですが、マイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』を読んだ感想ブログです。→記事参照
ツイッターもよろしく!↓
https://twitter.com/ongaku_eiga
しかし先に映画を観てから原作があることを知って読んでみたくなるということもありませんか?
私はスピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』に原作小説があることを知ったのは映画を観てからずっと後のことです。
そのときにマイケル・クライトンというSF作家のことも知ったのですが、そこからさらにずっと後になってから原作の『ジュラシック・パーク』を読みました。
これがおもしろいんですね!
あの迫力ある映像がなくても、文字を通して緊張感あふれるシーンが目に浮かんできます。
そして当時盛んに行われていたという遺伝子工学の研究についての話も深く掘り下げたストーリーで興味を惹きつける力があります。
その『ジュラシック・パーク』の著者・マイケル・クライトンの作品には他にもいくつか映画化されているものがあります。
そんなマイケル・クライトンの小説が原作の映画で私が最近観た3作品を取り上げてみました。
必ずしも心底おもしろいとは言いきれない作品もありますが、たぶん原作小説はもっとおもしろいのではと思う作品です。
ではまずはこちらから──
『アンドロメダ…』(1971年 監督:ロバート・ワイズ 出演:アーサー・ヒル、デヴィッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・レイド 他)

──血液が凝固する謎の病原体の正体をつきとめる4人の学者たちの戦い!──
1969年に出版された小説『アンドロメダ病原体』を映画化した作品です。

いきなりですが、ここで取り上げる3作品の中で私が一番好きな作品です。
オープニングから妙に緊張感漂う映像とほとんど効果音みたいな音楽。
70年代という古い時代の映画であるのもあって、決して派手さのない演出。
もっと言えばやたら硬派すぎる演出と言えるでしょう。
4人の学者たちが突然集められ、厳重な密閉空間の中でひたすら繰り広げられる病原体の分析のシーンが作品の大半を占めています。
退屈に思えてこれがまた観ていてクセになります。
それどころか、この余計なものを一切省きましたと言わんばかりの一直線なストーリーが、物語の軸を際立たせて集中して観ていられます。
正体がわからないという恐怖感と、それをいち早く紐解いていこうとする緊張感が終始劇中を覆っています。
そして更に目を惹くのは舞台となる隔離施設のインテリアです。
やはり70年代の作品であることもあり、昔の特撮映画に出てきそうな空間で、それがまた味わいがあります。
見ていていい具合にこちらも息苦しくなる密閉空間の映像です。
まあそれにしても学者たちが呼び出される様が実に強引だこと。
そら急にこんな息苦しい隔離施設に連れてこられたんじゃ、不機嫌になりますね。
それでは2つ目の作品にまいります!
『スフィア』(1998年 監督:バリー・レヴィンソン 出演:ダスティン・ホフマン、シャロン・ストーン、サミュエル・L・ジャクソン、リーヴ・シュレイバー 他)

──海底に沈む謎の宇宙船で見たものは、思考を現実化する球体だった!──
…と、自分でこんなあらすじを述べておきながら、私は観ていてなんじゃこりゃ?となりました。
こちらは1987年に出版された『スフィア -球体-』を映画化した作品ですが、科学的というより魔法じみた発想です。

確かに相対性理論や量子論の話は実際に魔法じみているところがありますが…
その魔法じみた設定を原作小説ではどんな科学的視点で描写しているか気になるところですが、少なくとも映画ではその辺りの掘り下げが浅い気がします。
そしてなんとなく展開が退屈な作品です。
ダスティン・ホフマンがヘリに乗って海上までやってくる冒頭のシーンはワクワクするのに、後は謎ばかりで起伏ある展開がありません。
となるとせめてあの球体がどのようにして思考を実現させてしまうのかという科学的な見解に触れる描写で観る者を唸らせてほしいところです。
興味深いのは、マイケル・クライトンの小説は意味もわからないまま複数人の各分野の学者が召集されるという始まりが多いということですね!
軍が発見した海底の宇宙船を調査すべく、学者たちが呼ばれるところから始まるのが本作『スフィア』です。
『ジュラシック・パーク』では古生物学者や古植物学者、数学者が招かれた場所が、まさかの本物の恐竜がいるテーマパークという始まりでした。
しかし3つ目に取りあげるこちらは少し違います。
『タイムライン』(2003年 監督:リチャード・ドナー 出演:ポール・ウォーカー、フランセス・オコナー、ジェラルド・バトラー、ビリー・コノリー、アンナ・フリエル 他)

──物質転送装置の開発過程で発見されたタイムトラベル技術で中世に取り残された教授を救う!──
こちらは1999年の同名小説が原作の映画です。

マイケル・クライトンの作品の中では、科学だけでなく中世ヨーロッパの歴史の話も登場するところが新鮮です。
遺跡発掘チームのリーダー、エドワード・ジョンストン教授を救うため、考古学専攻の学生たちが14世紀のフランスにタイムトラベルします。
そのタイムトラベルの装置に関しては考古学者ではなく物理学者の出番です。
しかし、映画では量子論を交えた話が軽く登場するくらいで、あまりその辺りの科学的な概念を前面には出していません。
イングランドとの戦争真っ只中である14世紀のフランスを舞台に、危険をおかしながら目的を果たそうとする人物たちを描いたアクション作品です。
その時代の兵隊たちと交流し、ロマンスも描かれていて、これはこれでロマンチックで楽しいです。
ジェラルド・バトラー扮するアンドレが、レディ・クレアと恋に落ちる場面は、会話のやり取りからして可愛らしいです。
クレア役のアンナ・フリエルも可愛いです。
難しい理論よりエンターテイメントを重視している映画ですが、たぶん小説の方は物理学的な概念をもっと深く掘り下げているのだろうなと、原作を未読の私は興味が沸いてきます。
難解で理解できないかも知れませんが…
──というわけで各作品についてサラッと述べましたが、3作品とも、現時点で原作を私はまだ読んでいません。
しかしちょっとずつ読んでいこうと思っています。
読むペースが遅いので時間がかかりそうですが…
しかもこの記事を書いている現在のところ、私は『ジュラシック・パーク』の続編である『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』の上巻をようやく完読しようとしているところなので余計に時間がかかりそうです。
こちらもおもしろいんです!
ちなみに『ジュラシック・ワールド 炎の王国』が公開される前に書いた古い記事ですが、マイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』を読んだ感想ブログです。→記事参照
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