レオンのアクションがカッコいい『バイオハザード:ヴェンデッタ』
- 2023/03/25
- 18:27
ホラーゲーム『バイオハザード』シリーズ屈指の名作と言われる『バイオハザード4』のリメイク『バイオハザード RE:4』が発売ということで、その主人公・レオンが活躍しまくる映画について語りたいです。
以前に実写映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』のあえて良いと思うところを語りましたが、あちらはやはり各キャラクターの描写が不評で、レオンのファンも観て残念な気持ちになったことだろうと思います。
作品としては個人的に好きなんだが!
『バイオハザード4』をプレイしてレオンのカッコよさを知った方には、ゲームを映画化するならレオンをしっかりカッコよく描いた作品が観たいところでしょう。
となれば、やはり実写よりもアニメのほうがムリなく確実と言えます。
実写で風貌やら格好を似させても、得てしてコスプレまつりになりかねないからです。
そして実写じゃないバイオハザードの映画化作品でレオンが活躍する作品と言えばこちらです。
『バイオハザード:ヴェンデッタ』(2017年 監督:辻本貴則 声の出演:東地宏樹、森川智之、小清水亜美 他)


バイオハザード:ヴェンデッタ[→Prime Video]
【あらすじ】──対バイオテロ組織BSAA北米支部隊長・クリス・レッドフィールドは、生物兵器を扱う武器商人・グレン・アリアスを追っていた。
一方、S.T.A.R.S時代のクリスの同僚でシカゴ大学でウィルスの研究を行っているレベッカ・チェンバースがバイオテロ組織による襲撃を受ける。
クリスにより救出されたレベッカが感染したウィルスの特性は、欧州でカルト教団ロス・イルミナドスが使用した寄生体・プラーガに酷似していた。
クリスとレベッカは、ロス・イルミナドスと戦ったレオン・S・ケネディに捜査の協力を要請する。──
☆過去2作品を越えるホラー要素とアクションとレオンの活躍
本作以前に、CGアニメのバイオハザードは『バイオハザード ディジェネレーション』と『バイオハザード ダムネーション』の2作品が製作されています。
そしてその2作品ともレオンが主人公として活躍します。
ここでいきなり3作目について語るのは、本作のホラー要素とアクション、そしてレオンの活躍が最高だからです。
ホラー要素に関しては、まずクリス率いる部隊が侵入する洋館のデザインが初代のゲームを意識した不気味さで、そこで襲いかかるゾンビたちの演出もまた、サバイバルホラーに始まったバイオの原点回帰とも言えるものとなっています。
惜しいのは、もっとこういう演出に尺を割いてほしかったことです。
そしてクライマックスではアクションの演出がこれでもかと言わんばかりにエンタメ路線に振りきっていて、ちょっと人間離れしたクリスとレオンが見られます。
ありえんだろ!という動きもありますが、ちょうどアクションゲームに路線変更した『バイオハザード4』からの持ち味を活かしています。
なんせあちらのゲームから、レオンはすごい高さから飛び降りたり、凄まじい怪力の体術を披露してましたからね。
★呑んべえレオン、だけどカッコいい!
クリスとレベッカは休暇中のレオンのいるバーに入ってくるのですが、そこですっかり酒浸りなレオンが登場します。
レオンは先の爆破テロ事件の任務で仲間を失っており、終わりなき戦いに疲弊して自暴自棄に陥っていたのです。
こんな呑んべえレオンもたまには良いものです。
もともとニヒルな性格がバイオ4から発揮されていたレオンですが、その延長線を見せてもらっているようです。
傷心での休暇中に二人に呼ばれてかわいそうにも思えますが、酒の追加注文をクリスに止められたら今度は持参しているポケットボトルの酒を取り出そうとする呑んべえぶりには苦笑ものです。
こんなズタボロ、クタクタなレオンもなんだか色気がありますね。
☆クリスとのタッグで見せるレオンの人間離れしたアクション
その酒浸りなレオンがクリスとレベッカに説得されて協力することになります。
休暇が台無しになってやはりかわいそうだが、みんな彼の活躍が観たいし、本作はそのための作品だと私は思っています。

配属先の街で1日目から惨劇を目の当たりにした新人警官が、今や合衆国直属の組織でエージェントになっているという異例な経歴のキャラクターをとことんまでヒーローとして描いています。
ニューヨークの街中でバイクに乗りながらケルベロスを蹴散らす人間離れしたレオンよ!
そしてゾンビの群れでなんでクリスとレオンの二人だけがこうも噛まれずに戦えるのかという突っ込みどころには目をつむりましょう。
ハンドガンの使い方など、もはや見せることを重視した演出ですが、ここまでやってくれればもっとやってくれ!となります。
どちらもラクーンシティの惨劇を潜り抜けてきた男二人のタッグを存分に味わえるクライマックスです。
ビルの屋上で巨体を持つディエゴと戦うレオンは何気に銃をデザートイーグルに持ちかえていて、ゲームのファンを喜ばす演出です。
普通だったら死んでるだろと思うほどの勢いで壁に叩きつけられてもなんともないし、このシーンのレオンはもはやB.O.W.顔負けの超人ぶりを発揮してくれています。
ある意味バイオ4のゲーム内から見せていた身体能力を映画でもやっているんです。
★ちょっと惜しい悪役の設定
ホラー要素、アクション、レオンの活躍という観点では申し分ない本作ですが、登場する悪役がちょっと物足りない気がします。
バイオハザードと言えば、巨大組織の陰謀が絡んだストーリーで描かれてきました。
アンブレラやロス・イルミナドス教団、そしてアンブレラ崩壊後のストーリーで登場するトライセルです。
しかしこの『バイオハザード:ヴェンデッタ』においては、悪として立ちはだかる武器商人・グレン・アリアスやその仲間によって構成された組織のスケール感が小さいです。
このアリアスという人物が犯行に及んだ動機からしてスケール感が小さいです。
この男は生物兵器も含む武器を売りさばく、国際指名手配された武器商人ということで、その設定は良いのです。
問題はそこからで、某国との武器の闇取引での縺れから命を狙われ、自らの結婚式の途中で襲撃された際に友人や家族、そして妻を失います。
それ以来、彼は復讐のために生物兵器化した仲間を率いてバイオテロを起こすのです。
なんだ、一個人の恨みかよ!
と拍子抜けさせられます。
アンブレラという巨大製薬企業の陰謀を白日の下に晒して崩壊へ追い込み、ロス・イルミナドスというならず者宗教団体をぶちのめしたあの世界観、あのカタルシスはどこへやら。
しかも彼の仲間はというとさほど悪そうな連中ではなく、むしろちょっと哀れんで見てしまう部分すらあります。
何しろ彼の結婚式に参列していた友人やその家族ですから!
その1人、巨体と怪力を持つディエゴは爆撃で声を失い、醜く損傷した顔を仮面で隠しています。
そしてその娘・マリアは見た目はけっこうセクシーなんですが、爆撃で右目を失っており、前髪でそれを隠しています。
ああ、二人は親子なんだなぁ…
そしてその二人が普通の人間だった頃の写真が劇中に映りますが、あんなの見せられたらたまったもんじゃないです。
黒幕であるアリアス自身は武器商人ということで、戦争や紛争を利用して金儲けするような奴なので確かに感心しない人物です。
しかしレベッカの容姿を自分の花嫁と重ね合わせて幻想を抱いたりと、彼の感情的な部分に焦点が当てられすぎていて、バイオハザードのストーリーにあるホラーやSFの世界観での悪役としてはやはり少し物足りない気がします。
せっかくホラー要素とアクションがしっかりしている作品なのに、悪役だけは何かのサイドストーリーに登場するような設定で、そこが惜しいところです。
これだけ二人の主人公がカッコよく描写されてるのですから、もっと大物な敵を倒すストーリーであれば、観る者としては最高のカタルシスが得られたと思います。


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以前に実写映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』のあえて良いと思うところを語りましたが、あちらはやはり各キャラクターの描写が不評で、レオンのファンも観て残念な気持ちになったことだろうと思います。
作品としては個人的に好きなんだが!
『バイオハザード4』をプレイしてレオンのカッコよさを知った方には、ゲームを映画化するならレオンをしっかりカッコよく描いた作品が観たいところでしょう。
となれば、やはり実写よりもアニメのほうがムリなく確実と言えます。
実写で風貌やら格好を似させても、得てしてコスプレまつりになりかねないからです。
そして実写じゃないバイオハザードの映画化作品でレオンが活躍する作品と言えばこちらです。
『バイオハザード:ヴェンデッタ』(2017年 監督:辻本貴則 声の出演:東地宏樹、森川智之、小清水亜美 他)

【あらすじ】──対バイオテロ組織BSAA北米支部隊長・クリス・レッドフィールドは、生物兵器を扱う武器商人・グレン・アリアスを追っていた。
一方、S.T.A.R.S時代のクリスの同僚でシカゴ大学でウィルスの研究を行っているレベッカ・チェンバースがバイオテロ組織による襲撃を受ける。
クリスにより救出されたレベッカが感染したウィルスの特性は、欧州でカルト教団ロス・イルミナドスが使用した寄生体・プラーガに酷似していた。
クリスとレベッカは、ロス・イルミナドスと戦ったレオン・S・ケネディに捜査の協力を要請する。──
☆過去2作品を越えるホラー要素とアクションとレオンの活躍
本作以前に、CGアニメのバイオハザードは『バイオハザード ディジェネレーション』と『バイオハザード ダムネーション』の2作品が製作されています。
そしてその2作品ともレオンが主人公として活躍します。
ここでいきなり3作目について語るのは、本作のホラー要素とアクション、そしてレオンの活躍が最高だからです。
ホラー要素に関しては、まずクリス率いる部隊が侵入する洋館のデザインが初代のゲームを意識した不気味さで、そこで襲いかかるゾンビたちの演出もまた、サバイバルホラーに始まったバイオの原点回帰とも言えるものとなっています。
惜しいのは、もっとこういう演出に尺を割いてほしかったことです。
そしてクライマックスではアクションの演出がこれでもかと言わんばかりにエンタメ路線に振りきっていて、ちょっと人間離れしたクリスとレオンが見られます。
ありえんだろ!という動きもありますが、ちょうどアクションゲームに路線変更した『バイオハザード4』からの持ち味を活かしています。
なんせあちらのゲームから、レオンはすごい高さから飛び降りたり、凄まじい怪力の体術を披露してましたからね。
★呑んべえレオン、だけどカッコいい!
クリスとレベッカは休暇中のレオンのいるバーに入ってくるのですが、そこですっかり酒浸りなレオンが登場します。
レオンは先の爆破テロ事件の任務で仲間を失っており、終わりなき戦いに疲弊して自暴自棄に陥っていたのです。
こんな呑んべえレオンもたまには良いものです。
もともとニヒルな性格がバイオ4から発揮されていたレオンですが、その延長線を見せてもらっているようです。
傷心での休暇中に二人に呼ばれてかわいそうにも思えますが、酒の追加注文をクリスに止められたら今度は持参しているポケットボトルの酒を取り出そうとする呑んべえぶりには苦笑ものです。
こんなズタボロ、クタクタなレオンもなんだか色気がありますね。
☆クリスとのタッグで見せるレオンの人間離れしたアクション
その酒浸りなレオンがクリスとレベッカに説得されて協力することになります。
休暇が台無しになってやはりかわいそうだが、みんな彼の活躍が観たいし、本作はそのための作品だと私は思っています。

配属先の街で1日目から惨劇を目の当たりにした新人警官が、今や合衆国直属の組織でエージェントになっているという異例な経歴のキャラクターをとことんまでヒーローとして描いています。
ニューヨークの街中でバイクに乗りながらケルベロスを蹴散らす人間離れしたレオンよ!
そしてゾンビの群れでなんでクリスとレオンの二人だけがこうも噛まれずに戦えるのかという突っ込みどころには目をつむりましょう。
ハンドガンの使い方など、もはや見せることを重視した演出ですが、ここまでやってくれればもっとやってくれ!となります。
どちらもラクーンシティの惨劇を潜り抜けてきた男二人のタッグを存分に味わえるクライマックスです。
ビルの屋上で巨体を持つディエゴと戦うレオンは何気に銃をデザートイーグルに持ちかえていて、ゲームのファンを喜ばす演出です。
普通だったら死んでるだろと思うほどの勢いで壁に叩きつけられてもなんともないし、このシーンのレオンはもはやB.O.W.顔負けの超人ぶりを発揮してくれています。
ある意味バイオ4のゲーム内から見せていた身体能力を映画でもやっているんです。
★ちょっと惜しい悪役の設定
ホラー要素、アクション、レオンの活躍という観点では申し分ない本作ですが、登場する悪役がちょっと物足りない気がします。
バイオハザードと言えば、巨大組織の陰謀が絡んだストーリーで描かれてきました。
アンブレラやロス・イルミナドス教団、そしてアンブレラ崩壊後のストーリーで登場するトライセルです。
しかしこの『バイオハザード:ヴェンデッタ』においては、悪として立ちはだかる武器商人・グレン・アリアスやその仲間によって構成された組織のスケール感が小さいです。
このアリアスという人物が犯行に及んだ動機からしてスケール感が小さいです。
この男は生物兵器も含む武器を売りさばく、国際指名手配された武器商人ということで、その設定は良いのです。
問題はそこからで、某国との武器の闇取引での縺れから命を狙われ、自らの結婚式の途中で襲撃された際に友人や家族、そして妻を失います。
それ以来、彼は復讐のために生物兵器化した仲間を率いてバイオテロを起こすのです。
なんだ、一個人の恨みかよ!
と拍子抜けさせられます。
アンブレラという巨大製薬企業の陰謀を白日の下に晒して崩壊へ追い込み、ロス・イルミナドスというならず者宗教団体をぶちのめしたあの世界観、あのカタルシスはどこへやら。
しかも彼の仲間はというとさほど悪そうな連中ではなく、むしろちょっと哀れんで見てしまう部分すらあります。
何しろ彼の結婚式に参列していた友人やその家族ですから!
その1人、巨体と怪力を持つディエゴは爆撃で声を失い、醜く損傷した顔を仮面で隠しています。
そしてその娘・マリアは見た目はけっこうセクシーなんですが、爆撃で右目を失っており、前髪でそれを隠しています。
ああ、二人は親子なんだなぁ…
そしてその二人が普通の人間だった頃の写真が劇中に映りますが、あんなの見せられたらたまったもんじゃないです。
黒幕であるアリアス自身は武器商人ということで、戦争や紛争を利用して金儲けするような奴なので確かに感心しない人物です。
しかしレベッカの容姿を自分の花嫁と重ね合わせて幻想を抱いたりと、彼の感情的な部分に焦点が当てられすぎていて、バイオハザードのストーリーにあるホラーやSFの世界観での悪役としてはやはり少し物足りない気がします。
せっかくホラー要素とアクションがしっかりしている作品なのに、悪役だけは何かのサイドストーリーに登場するような設定で、そこが惜しいところです。
これだけ二人の主人公がカッコよく描写されてるのですから、もっと大物な敵を倒すストーリーであれば、観る者としては最高のカタルシスが得られたと思います。

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