これってホラー映画? 安里麻里監督『バイロケーション』(ちょいネタバレあり):ブログ改訂
- 2016/02/06
- 15:00
『残穢 ─ 住んではいけない部屋 ─』を観た感想のつながりと言ってはなんですが──、滝藤賢一を見てふと思い出したこの印象に残っている作品について書きたいと思いました。
たぶん私が初めて滝藤賢一を知った最初の映画作品『バイロケーション』


バイロケーション[→Prime Video]
主演は水川あさみ。
そして劇中に登場する刑事の役で滝藤賢一が出演しています。
この作品で見てから、脇役においても強い存在感のある俳優だなと思いました(彼が主演を演じている作品は知らないのですが、あれば観てみたいです)。
ホラーの枠で置かれているこの作品ですが、怖さの度合いというとあまりにソフトです。
そしてシックス・センスを越える衝撃というキャッチフレーズはやや大げさな気がします。
そういう意味でこの作品はホラーとは別の視点でとらえることができる、私の個人的に思う見方があります。
まずバイロケーションというのは調べて頂いたらわかる通り超常現象の一種で、同一の人間が別の場所で目撃される現象です。
離脱したもう1人の人物はオリジナルの人物の知識や記憶を共有しています。
(少なくとも本作品の設定では)オリジナルの人物の性質のある一面が姿として現れているので、オリジナルより濃い性質で中には凶暴な者もいます。
と、聞くとやっぱりホラーのカテゴライズで不思議ではないです。
ただ、この作品の主人公の忍をはじめとして、バイロケーションの存在に苦しめられている人物たちの姿を見ていると、超常現象とは無縁の現実にいる我々にも思い当たる節はあるのではないでしょうか。
あのときああいう選択をした場合の自分。
いけないとわかっていてもあんな風に考え行動しようとしてしまう自分の中のもう1人の自分。
あいつが憎らしくてたまらない、どこか暴力的な思考の自分。
そんな人間が抱く思いや葛藤を、もう1人の自分が姿として現れ厄介ごとを起こすという形で具現化している、シュールな作品として見ることもできるかと思います。
それぞれ別の道を生きるオリジナルの忍ともう1人の忍。
画家として描く同じ構図の絵もそれぞれの生きている環境のによって作風が違う。
見たあなたはどちらの忍に共感を抱くでしょうか。
そしてなぜシックス・センスを引き合いにしたキャッチフレーズなのかがラストでわかるのですが、ここまで言うともうネタバレになってしまうのでこれ以上は言わないでおきます。
いや、作品の内容からして既にこのキャッチフレーズがネタバレになってしまうかもしれません。
恐いのはバイロケーションのもう1つの特徴。
バイロケーションは自分がバイロケーションである自覚がない。
そしてオリジナルがいつも正しい選択をしているとは限らないということ。
ところで監督・脚本の安里麻里は『零~ゼロ~』や『リアル鬼ごっこ』3~5作目、そして『呪怨 黒い少女』でも監督していました。
作品の内容が怖いかどうかは別にして、ホラー映画を多く手掛けている監督です。
怖さよりも、『零~ゼロ~』でも感じるのは繊細で美しい世界観です。
たぶん私が初めて滝藤賢一を知った最初の映画作品『バイロケーション』

主演は水川あさみ。
そして劇中に登場する刑事の役で滝藤賢一が出演しています。
この作品で見てから、脇役においても強い存在感のある俳優だなと思いました(彼が主演を演じている作品は知らないのですが、あれば観てみたいです)。
ホラーの枠で置かれているこの作品ですが、怖さの度合いというとあまりにソフトです。
そしてシックス・センスを越える衝撃というキャッチフレーズはやや大げさな気がします。
そういう意味でこの作品はホラーとは別の視点でとらえることができる、私の個人的に思う見方があります。
まずバイロケーションというのは調べて頂いたらわかる通り超常現象の一種で、同一の人間が別の場所で目撃される現象です。
離脱したもう1人の人物はオリジナルの人物の知識や記憶を共有しています。
(少なくとも本作品の設定では)オリジナルの人物の性質のある一面が姿として現れているので、オリジナルより濃い性質で中には凶暴な者もいます。
と、聞くとやっぱりホラーのカテゴライズで不思議ではないです。
ただ、この作品の主人公の忍をはじめとして、バイロケーションの存在に苦しめられている人物たちの姿を見ていると、超常現象とは無縁の現実にいる我々にも思い当たる節はあるのではないでしょうか。
あのときああいう選択をした場合の自分。
いけないとわかっていてもあんな風に考え行動しようとしてしまう自分の中のもう1人の自分。
あいつが憎らしくてたまらない、どこか暴力的な思考の自分。
そんな人間が抱く思いや葛藤を、もう1人の自分が姿として現れ厄介ごとを起こすという形で具現化している、シュールな作品として見ることもできるかと思います。
それぞれ別の道を生きるオリジナルの忍ともう1人の忍。
画家として描く同じ構図の絵もそれぞれの生きている環境のによって作風が違う。
見たあなたはどちらの忍に共感を抱くでしょうか。
そしてなぜシックス・センスを引き合いにしたキャッチフレーズなのかがラストでわかるのですが、ここまで言うともうネタバレになってしまうのでこれ以上は言わないでおきます。
いや、作品の内容からして既にこのキャッチフレーズがネタバレになってしまうかもしれません。
恐いのはバイロケーションのもう1つの特徴。
バイロケーションは自分がバイロケーションである自覚がない。
そしてオリジナルがいつも正しい選択をしているとは限らないということ。
ところで監督・脚本の安里麻里は『零~ゼロ~』や『リアル鬼ごっこ』3~5作目、そして『呪怨 黒い少女』でも監督していました。
作品の内容が怖いかどうかは別にして、ホラー映画を多く手掛けている監督です。
怖さよりも、『零~ゼロ~』でも感じるのは繊細で美しい世界観です。
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- テーマ:映画感想
- ジャンル:映画
- カテゴリ:ホラー映画
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