マイケル・ベイとジェイソン・ブラムのタッグ! 『パージ』&『パージ:アナーキー』
- 2016/01/17
- 03:35
人間の醜い姿、そして格差社会やアメリカの銃社会の問題を鋭い発想で顕在化させた作品。
製作には『トランスフォーマー』のマイケル・ベイと『パラノーマル・アクティビティ』のジェイソン・ブラムが携わっています。
──1年に1度、12時間だけいかなる犯罪も許される──。
そんな未来のアメリカが舞台の作品、
『パージ』(2013年 監督・脚本:ジェームズ・デモナコ 製作:ジェイソン・ブラム、マイケル・ベイ 他 出演:イーサン・ホーク、レナ・ヘディ 他)


パージ [Blu-ray][→Amazon]
【あらすじ】──2022年。
経済が崩壊し、全体主義的な統治が行われるようになったアメリカ。
政府は、1年に1回、殺人も含めた全ての犯罪が合法化される政策「パージ」を設けていた。
政策の導入により犯罪と失業率が激減。
しかしそれは貧困層を標的にして数を減らすことにより、経済を改善するための民衆のコントロールであった。──
さあ、殺人も許されるわけで、ここが軸になっています。
人間の暴力的本能をあえて解き放つことで、犯罪を激減させるという、大統領による政策。
それを支持する国民たち。
富裕層は高額なセキュリティを設けることで身を守るなか、頑丈な守りがない家で身をひそめる貧困層や、外に放り出されっぱなしのホームレス。
いかなる犯罪も許されるならば、真っ先に犯罪に手を染めるのはお金が欲しい貧困層側?
しかしここは、銃が簡単に手に入ることに多くの国民が肯定的なアメリカという国。
ああ、なんて醜い!
オバマ大統領が泣くね。
しかし、劇中ではそれによって実際に犯罪や失業率が激減しているという皮肉さ。
これなら『マイノリティ・リポート』(スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演)の世界のほうが、まだ輝かしく思えます。
あちらは事前に犯罪を予測することで犯行に及ぶ前に逮捕するわけです。
よって殺人に至っては、実際に起きなくても犯人に殺意があったことがわかってしまう皮肉さはありますが…。
話は『パージ』のほうに戻します。
こんな醜い内容の映画ながら、いやこんな醜い映画だからこそなのか、ハラハラドキドキしながら観てしまう説得力があります。
余談ですが、主人公一家の妻の役、レナ・ヘディが美しい!
そして襲ってくる奴らに立ち向かう姿に、スカッとさせられる部分も。
おっと、こんな風に思ってしまうことがそもそも人間の暴力性なのかもしれないですね。
さてこの作品、続編もあります。
『パージ:アナーキー』(2014年 監督・脚本:ジェームズ・デモナコ 製作:ジェイソン・ブラム、マイケル・ベイ 他 出演:フランク・グリロ、カーメン・イジョゴ 他)


パージ:アナーキー [Blu-ray][→Amazon]
【あらすじ】──前作から1年後の2023年。
ロサンゼルスでは今年のパージに備えて、武装する者たちや自宅を厳重に施錠する者たちがいた。
政策に抵抗を呼びかける反パージ集団や、飲酒運転による事故で息子を失い、復讐を胸に誓う者。
そしてとある取り引きで自らの命を富裕層の者たちに差し出す貧困家庭の父。
それぞれの思いの中、緊張状態にある街で、いよいよパージの夜が始まる。──
実はこちらの作品こそ強く推したいんです。
大抵の映画は続編まであると、1作目より劣るということが多いですが、この作品は続編のほうがとにかく深みが増しています。
この2作でまとめて1つの作品と言ってもいいでしょう。
『パージ』ではまず作品の世界を提示され、『パージ:アナーキー』でより本質的なところまで見えてくるというながれです。
この政策の本当の目的が明らかになるのが『パージ:アナーキー』です。
人間の醜さと同時に──、人間の良心、強さが前面に押し出されるクライマックス。
心打たれるラストシーン──。
そしてやはりスカッとします!
Blu-lay、DVDの特典映像では、製作者たちが語る興味深い作品の世界観と、豪華に魅せてくれる未公開シーンがあり、これがまたおもしろいんです!
単純なストーリーと銃撃シーン満載のアクション映画という偏見を捨てて、是非観ていただきたい作品です。
ところで劇中、貧困層で前面に登場するのは1作目も2作目も黒人です。
昔のように人種差別はないように思えるし、実際、今は黒人が大統領です。
しかし、生活レベルの格差は別なのでしょうか?
一昨年のCNNの記事で気になるデータがあります。
とあるアメリカの大学の調査では、白人と黒人の資産額の格差が(2014年時点から)過去25年間で3倍に拡大しているとのことです。
昔より酷くなっていますね。
2014年の6月時点でのそれぞれの所得額の中間値は白人世帯で5万9754ドル、黒人世帯で3万5416ドルだそうです。
そして失業率にも差があるらしく、その年の7月時点での失業率は白人が5.3%に対して黒人は11.4%だったとのこと。
こういった黒人にとっての厳しい労働環境が高い貧困率の原因になっているそうです。
オバマさん!どうにかならないんでしょうか。
昔は殺人鬼が襲ってくるアメリカのホラー映画でよく最初に殺されるのが黒人だったと聞いたことがあります。
しかし、この『パージ』という映画はそんな昔ながらのハリウッド映画にあったような黒人差別表現を持ち出したわけではなく、現実に起きている状態をちゃんと反映させているようですね。


パージ (字幕版)[→Prime Video]


パージ:アナーキー (字幕版)[→Prime Video]
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製作には『トランスフォーマー』のマイケル・ベイと『パラノーマル・アクティビティ』のジェイソン・ブラムが携わっています。
──1年に1度、12時間だけいかなる犯罪も許される──。
そんな未来のアメリカが舞台の作品、
『パージ』(2013年 監督・脚本:ジェームズ・デモナコ 製作:ジェイソン・ブラム、マイケル・ベイ 他 出演:イーサン・ホーク、レナ・ヘディ 他)

【あらすじ】──2022年。
経済が崩壊し、全体主義的な統治が行われるようになったアメリカ。
政府は、1年に1回、殺人も含めた全ての犯罪が合法化される政策「パージ」を設けていた。
政策の導入により犯罪と失業率が激減。
しかしそれは貧困層を標的にして数を減らすことにより、経済を改善するための民衆のコントロールであった。──
さあ、殺人も許されるわけで、ここが軸になっています。
人間の暴力的本能をあえて解き放つことで、犯罪を激減させるという、大統領による政策。
それを支持する国民たち。
富裕層は高額なセキュリティを設けることで身を守るなか、頑丈な守りがない家で身をひそめる貧困層や、外に放り出されっぱなしのホームレス。
いかなる犯罪も許されるならば、真っ先に犯罪に手を染めるのはお金が欲しい貧困層側?
しかしここは、銃が簡単に手に入ることに多くの国民が肯定的なアメリカという国。
ああ、なんて醜い!
オバマ大統領が泣くね。
しかし、劇中ではそれによって実際に犯罪や失業率が激減しているという皮肉さ。
これなら『マイノリティ・リポート』(スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演)の世界のほうが、まだ輝かしく思えます。
あちらは事前に犯罪を予測することで犯行に及ぶ前に逮捕するわけです。
よって殺人に至っては、実際に起きなくても犯人に殺意があったことがわかってしまう皮肉さはありますが…。
話は『パージ』のほうに戻します。
こんな醜い内容の映画ながら、いやこんな醜い映画だからこそなのか、ハラハラドキドキしながら観てしまう説得力があります。
余談ですが、主人公一家の妻の役、レナ・ヘディが美しい!
そして襲ってくる奴らに立ち向かう姿に、スカッとさせられる部分も。
おっと、こんな風に思ってしまうことがそもそも人間の暴力性なのかもしれないですね。
さてこの作品、続編もあります。
『パージ:アナーキー』(2014年 監督・脚本:ジェームズ・デモナコ 製作:ジェイソン・ブラム、マイケル・ベイ 他 出演:フランク・グリロ、カーメン・イジョゴ 他)

【あらすじ】──前作から1年後の2023年。
ロサンゼルスでは今年のパージに備えて、武装する者たちや自宅を厳重に施錠する者たちがいた。
政策に抵抗を呼びかける反パージ集団や、飲酒運転による事故で息子を失い、復讐を胸に誓う者。
そしてとある取り引きで自らの命を富裕層の者たちに差し出す貧困家庭の父。
それぞれの思いの中、緊張状態にある街で、いよいよパージの夜が始まる。──
実はこちらの作品こそ強く推したいんです。
大抵の映画は続編まであると、1作目より劣るということが多いですが、この作品は続編のほうがとにかく深みが増しています。
この2作でまとめて1つの作品と言ってもいいでしょう。
『パージ』ではまず作品の世界を提示され、『パージ:アナーキー』でより本質的なところまで見えてくるというながれです。
この政策の本当の目的が明らかになるのが『パージ:アナーキー』です。
人間の醜さと同時に──、人間の良心、強さが前面に押し出されるクライマックス。
心打たれるラストシーン──。
そしてやはりスカッとします!
Blu-lay、DVDの特典映像では、製作者たちが語る興味深い作品の世界観と、豪華に魅せてくれる未公開シーンがあり、これがまたおもしろいんです!
単純なストーリーと銃撃シーン満載のアクション映画という偏見を捨てて、是非観ていただきたい作品です。
ところで劇中、貧困層で前面に登場するのは1作目も2作目も黒人です。
昔のように人種差別はないように思えるし、実際、今は黒人が大統領です。
しかし、生活レベルの格差は別なのでしょうか?
一昨年のCNNの記事で気になるデータがあります。
とあるアメリカの大学の調査では、白人と黒人の資産額の格差が(2014年時点から)過去25年間で3倍に拡大しているとのことです。
昔より酷くなっていますね。
2014年の6月時点でのそれぞれの所得額の中間値は白人世帯で5万9754ドル、黒人世帯で3万5416ドルだそうです。
そして失業率にも差があるらしく、その年の7月時点での失業率は白人が5.3%に対して黒人は11.4%だったとのこと。
こういった黒人にとっての厳しい労働環境が高い貧困率の原因になっているそうです。
オバマさん!どうにかならないんでしょうか。
昔は殺人鬼が襲ってくるアメリカのホラー映画でよく最初に殺されるのが黒人だったと聞いたことがあります。
しかし、この『パージ』という映画はそんな昔ながらのハリウッド映画にあったような黒人差別表現を持ち出したわけではなく、現実に起きている状態をちゃんと反映させているようですね。


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