SF映画の魅力を再考!アントニオ・バンデラス主演『オートマタ』にあわせて観ておきたいSF映画!
- 2016/02/19
- 08:00
SF映画の魅力というと、現実にはないような世界を描きつつも、やはり現実世界にある科学的な理論や技術、そこから生まれる哲学的問題などをベースにして物語が創造されているところにあるでしょう。
古い描写ではありますが、車が宙を浮いて走ったり、自動運転だったり。
体に身につける高性能なコンピューター、そしてありとあらゆる物事を人間に代わって管理しているシステムなど。
今ではいくらか実現されている
物も、昔はSFの世界でしかなかった物たちですね。
こういった現在の科学技術の発展の延長線の世界を想像力を膨らませて描かれているのがサイエンス・フィクション=SFです。
今頃当たり前といえばそのとおりなのですが、例えば『スター・ウォーズ』なんかもSFとして見られています。
確かにものすごいスピード、それこそ光速度で移動できるミレニアム・ファルコンような乗り物などが登場する様はSFとして見れる部分もあります。
ただ、ライトセーバーなる武器で戦ったり、フォースという見えない力をもった者がいたりといった部分に視点を置くと、サイエンス・フィクションならぬ"スペース・ファンタジー"を略してSFという捉え方が妥当に思えます(もちろん人によって違う意見もあるかとは思います)。
・『ジュラシック・パーク』が正にSF!
ではどういうのがサイエンス・フィクションなのかというと、ジョージ・ルーカスではなく、彼の盟友スティーブン・スピルバーグが監督した『ジュラシック・パーク』がその1つと言えます。
ただ単に恐竜が襲ってくるようなB級パニック映画にならなかったのは、何よりも当時から多くの研究がなされていたという遺伝子操作の概念を前面に押し出していたところにあります。
VFXを駆使したスペクタクルな映像とスピルバーグの創造性もあります。
しかし、マイケル・クライトンの原作小説を読むと、より深みのある遺伝子研究の背景に触れた話もあり、あの『ジュラシック・パーク』という作品のメインテーマがいかにその科学的な部分にあるかを実感します。
恐竜の血を、樹液からできた琥珀に閉じ込められた蚊より採取し、途切れているDNAはカエルなどのDNAでつなぎあわせてプラスティック製の人工の卵で孵化させる。
恐竜を現代に甦らせるということは今のところは実現できていなくとも、こういう遺伝子操作技術を基にして創造された話は妙な現実味を帯びていると言えます。
勝手に繁殖しないよう、メスだけで飼育されているパーク。
しかし、主人公のグラント博士は卵のかけらを発見。
DNAのつなぎあわせに使われていたカエルに単為繁殖をする種類が含まれていた──。
今観ても実によくできた展開です。
・ロボット社会を描いた近未来SF映画
さて、SF映画では何かと多くテーマにされるのがロボットではないでしょうか。
ロボットそのものがテーマじゃなくとも、どこかにそういうのが登場するのもありえます。
とうの昔から実現している技術ですが、近くで見かけるとすれば、例えば今だったらソフトバンクの店です。
さすがに人の姿に限りなく近く
、人のように意思を持ち話すロボットが一般的な身近にいるというのはまだないですが──。
映画の中ではそこまで実現している世界がよく描かれます。
ここが技術の延長線を描いたSFというものですね。
そして、それが身近になった社会で起こる問題も合わせて──。
「人類の終焉、人工知能の時代が始まる」
キャッチフレーズからしてその類いのテーマできているのがアントニオ・バンデラス主演の『オートマタ』(2016年3月5日公開)
18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで作られた機械人形から名前をとっているところがおもしろいですね。
このキャッチフレーズに似たような響きのメッセージが公開当時にテレビCMの予告で流れていて私が印象に残っている作品があります。
『サロゲート』


サロゲート [Blu-ray][→Amazon]
2009年の作品で監督はジョナサン・モストウ、主演はブルース・ウィリス。
日本では2010年の1月に公開され、当時テレビCMの予告では不気味な声で「人間はもういりません」というメッセージが発せられていました。
この当時は私はあまり興味を持てず、劇場では観ていません。
実際、少なくとも日本ではそれほどヒットしたのか微妙な記憶です。
CMで流れていたものの、なんだか素通り感がありました。
『オートマタ』の予告を観てから、最近になってこの『サロゲート』という作品をふと思いだし、Blu-layで観たのですが…。
これがなんとも、思っていたのとは的外れな内容です。
代理人、代行者を意味する言葉であるサロゲート。
この作品は正に人間の代わりに外を出て仕事したり、遊んだり、戦場で兵隊として戦ったりという身代わりロボットを描いています。
ただ、その身代わりロボットをオペレーター=主体となっている人間が遠隔操作しているのです。
オートマタが機械人形なら、このサロゲートは超ハイテクな操り人形といったところでしょうか。
「人間はもういりません」なんてとんでもないです!
とはいえ、この身代わりロボット「サロゲート」に依存してしまった人間社会の問題と、開発者の思惑がストーリーの軸になっています。
こうして観るまでずっと勘違いしていた私ですが、これは"良い意味での期待外れ"といえます。
作品自体はおもしろくて、私は好きです!
社会的、哲学的問題点は別にして、こうして描かれている近未来の光景は見ていて単純にワクワクします。
こんな世の中が訪れるなんてことがあったとしても、実感が沸かないくらい遠い未来の話しでしょう。
しかし実際に今でもいろいろな物が人間の代わりをはたしてくれて便利になっていることから、妙なリアリティもないわけではない。
本編1時間30分ほどで大作感はない作品ながら、サラッと肩を楽にして楽しめる娯楽作としても観ることができます。
ジョナサン・モストウ監督は『ターミネーター3』の監督もしていました。
あちらはそれこそジェームズ・キャメロン監督の頃から人類と"人工知能"をもった機械による壮絶な戦争という、わかりやすい未来像を描いていますね。
パート3は不評だったそうですが、結局のところ核兵器まで投下されてしまう、どこか救いようのないラストはある意味それまでのストーリーを受け継いでいる気がして、個人的には完成度があるとは思うのですけど…。
いずれにしてもこうしてロボットやら機械やらを描いた近未来SFも、それぞれいろいろな視点やアプローチで未来像を描いており、あれこれ見比べるのもおもしろいです。
『サロゲート』のほうも『オートマタ』に併せて先にチェックしてみてはいかがでしょうか。
「人類の終焉、人工知能の時代が始まる」というキャッチフレーズも実は的外れだたったりするかもしれません。
日本向けのマーケティングなら十分にありえそうです。
余談ですが、こうした日本の洋画に対するマーケティングは、敢えてネタバレ感のあるわかりやすいキャッチフレーズでまずは集客を狙い、実は全然違う内容だったという風に、良い意味での期待外れを起こして満足度を上げるように考慮されているのかもしれませんね。
「ここまで言ったらネタバレじゃないか!」と言って、観に行ったら「全然違うじゃないか!」と怒らずに、とにかく観に行って楽しめたら、それがなによりだと思えてきます。


サロゲート (吹替版)[→Prime Video]
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古い描写ではありますが、車が宙を浮いて走ったり、自動運転だったり。
体に身につける高性能なコンピューター、そしてありとあらゆる物事を人間に代わって管理しているシステムなど。
今ではいくらか実現されている
物も、昔はSFの世界でしかなかった物たちですね。
こういった現在の科学技術の発展の延長線の世界を想像力を膨らませて描かれているのがサイエンス・フィクション=SFです。
今頃当たり前といえばそのとおりなのですが、例えば『スター・ウォーズ』なんかもSFとして見られています。
確かにものすごいスピード、それこそ光速度で移動できるミレニアム・ファルコンような乗り物などが登場する様はSFとして見れる部分もあります。
ただ、ライトセーバーなる武器で戦ったり、フォースという見えない力をもった者がいたりといった部分に視点を置くと、サイエンス・フィクションならぬ"スペース・ファンタジー"を略してSFという捉え方が妥当に思えます(もちろん人によって違う意見もあるかとは思います)。
・『ジュラシック・パーク』が正にSF!
ではどういうのがサイエンス・フィクションなのかというと、ジョージ・ルーカスではなく、彼の盟友スティーブン・スピルバーグが監督した『ジュラシック・パーク』がその1つと言えます。
ただ単に恐竜が襲ってくるようなB級パニック映画にならなかったのは、何よりも当時から多くの研究がなされていたという遺伝子操作の概念を前面に押し出していたところにあります。
VFXを駆使したスペクタクルな映像とスピルバーグの創造性もあります。
しかし、マイケル・クライトンの原作小説を読むと、より深みのある遺伝子研究の背景に触れた話もあり、あの『ジュラシック・パーク』という作品のメインテーマがいかにその科学的な部分にあるかを実感します。
恐竜の血を、樹液からできた琥珀に閉じ込められた蚊より採取し、途切れているDNAはカエルなどのDNAでつなぎあわせてプラスティック製の人工の卵で孵化させる。
恐竜を現代に甦らせるということは今のところは実現できていなくとも、こういう遺伝子操作技術を基にして創造された話は妙な現実味を帯びていると言えます。
勝手に繁殖しないよう、メスだけで飼育されているパーク。
しかし、主人公のグラント博士は卵のかけらを発見。
DNAのつなぎあわせに使われていたカエルに単為繁殖をする種類が含まれていた──。
今観ても実によくできた展開です。
・ロボット社会を描いた近未来SF映画
さて、SF映画では何かと多くテーマにされるのがロボットではないでしょうか。
ロボットそのものがテーマじゃなくとも、どこかにそういうのが登場するのもありえます。
とうの昔から実現している技術ですが、近くで見かけるとすれば、例えば今だったらソフトバンクの店です。
さすがに人の姿に限りなく近く
、人のように意思を持ち話すロボットが一般的な身近にいるというのはまだないですが──。
映画の中ではそこまで実現している世界がよく描かれます。
ここが技術の延長線を描いたSFというものですね。
そして、それが身近になった社会で起こる問題も合わせて──。
「人類の終焉、人工知能の時代が始まる」
キャッチフレーズからしてその類いのテーマできているのがアントニオ・バンデラス主演の『オートマタ』(2016年3月5日公開)
18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで作られた機械人形から名前をとっているところがおもしろいですね。
このキャッチフレーズに似たような響きのメッセージが公開当時にテレビCMの予告で流れていて私が印象に残っている作品があります。
『サロゲート』

2009年の作品で監督はジョナサン・モストウ、主演はブルース・ウィリス。
日本では2010年の1月に公開され、当時テレビCMの予告では不気味な声で「人間はもういりません」というメッセージが発せられていました。
この当時は私はあまり興味を持てず、劇場では観ていません。
実際、少なくとも日本ではそれほどヒットしたのか微妙な記憶です。
CMで流れていたものの、なんだか素通り感がありました。
『オートマタ』の予告を観てから、最近になってこの『サロゲート』という作品をふと思いだし、Blu-layで観たのですが…。
これがなんとも、思っていたのとは的外れな内容です。
代理人、代行者を意味する言葉であるサロゲート。
この作品は正に人間の代わりに外を出て仕事したり、遊んだり、戦場で兵隊として戦ったりという身代わりロボットを描いています。
ただ、その身代わりロボットをオペレーター=主体となっている人間が遠隔操作しているのです。
オートマタが機械人形なら、このサロゲートは超ハイテクな操り人形といったところでしょうか。
「人間はもういりません」なんてとんでもないです!
とはいえ、この身代わりロボット「サロゲート」に依存してしまった人間社会の問題と、開発者の思惑がストーリーの軸になっています。
こうして観るまでずっと勘違いしていた私ですが、これは"良い意味での期待外れ"といえます。
作品自体はおもしろくて、私は好きです!
社会的、哲学的問題点は別にして、こうして描かれている近未来の光景は見ていて単純にワクワクします。
こんな世の中が訪れるなんてことがあったとしても、実感が沸かないくらい遠い未来の話しでしょう。
しかし実際に今でもいろいろな物が人間の代わりをはたしてくれて便利になっていることから、妙なリアリティもないわけではない。
本編1時間30分ほどで大作感はない作品ながら、サラッと肩を楽にして楽しめる娯楽作としても観ることができます。
ジョナサン・モストウ監督は『ターミネーター3』の監督もしていました。
あちらはそれこそジェームズ・キャメロン監督の頃から人類と"人工知能"をもった機械による壮絶な戦争という、わかりやすい未来像を描いていますね。
パート3は不評だったそうですが、結局のところ核兵器まで投下されてしまう、どこか救いようのないラストはある意味それまでのストーリーを受け継いでいる気がして、個人的には完成度があるとは思うのですけど…。
いずれにしてもこうしてロボットやら機械やらを描いた近未来SFも、それぞれいろいろな視点やアプローチで未来像を描いており、あれこれ見比べるのもおもしろいです。
『サロゲート』のほうも『オートマタ』に併せて先にチェックしてみてはいかがでしょうか。
「人類の終焉、人工知能の時代が始まる」というキャッチフレーズも実は的外れだたったりするかもしれません。
日本向けのマーケティングなら十分にありえそうです。
余談ですが、こうした日本の洋画に対するマーケティングは、敢えてネタバレ感のあるわかりやすいキャッチフレーズでまずは集客を狙い、実は全然違う内容だったという風に、良い意味での期待外れを起こして満足度を上げるように考慮されているのかもしれませんね。
「ここまで言ったらネタバレじゃないか!」と言って、観に行ったら「全然違うじゃないか!」と怒らずに、とにかく観に行って楽しめたら、それがなによりだと思えてきます。

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