サイバーパンク、近未来SFならコイツを忘れないでくれ! ビートたけしがキアヌ・リーブスと共演したハリウッド作品『JM』
- 2016/08/05
- 02:10
突然なんですが、皆さんファックスって今も使っていますか?
先進国で未だに使われている国は日本だけらしくて、海外の人は不思議がるそうです。
確かにこれだけハイテク技術が進んで他に便利な情報伝達手段がある時代に紙媒体のファックスが使われているのは不思議に思えます。
しかし20年ほど前に製作されたこの近未来SF映画を観てください!
セリフの中に「ファックスで送ってくれ」と、主人公が言うシーンが──。
キアヌ・リーブス主演、日系人俳優デニス・アキヤマやあのビートたけしが出演した、一風変わった世界観のSF映画
『JM』(1995年 監督:ロバート・ロンゴ 出演:キアヌ・リーブス、ビートたけし 他)


JM スペシャル・エディション [Blu-ray][→Amazon]
【あらすじ】──西暦2021年。
ハイテク技術の発展に伴う電磁波により、人々は黒震病という病に苦しめられていた。
脳に埋め込んだ記憶装置に機密情報を記憶し運ぶ不正取引人ジョニー・ニーモニック(キアヌ・リーブス)は、多額の報酬と引き換えに、装置の許容量を越える情報を記憶し、運ぶことになる。
彼にも内容がわからないよう暗号化されたその機密情報を期限内に取り出さなければ、彼は死ぬ。
そんな中、情報の持ち主である企業の殺し屋に追われるジョニー。
彼の中に記憶された情報の内容とは。──
優れたVFXを駆使した映画に比べれば大作感はあまりなく、後に公開された、同じくキアヌ・リーブス主演の『マトリックス』からも見劣りするかもしれない。
しかし、企業の陰謀や病気の蔓延、荒廃した世界を派手過ぎない描写で表現しているところに妙な納得がいきます。
ファックスもそうだが、パソコンのような端末も分厚くて逆に旧式に見え、ブラウン管方式と思われるテレビまで出てくるのは、製作された時代的にいたしかたないでしょう。
20XX年なんて時代がまだ永遠のように先の話しだった頃に、未来の世界という物にみんなあれこれと想像を膨らましていました。
そういった中で映画やアニメなどのいろいろな作品で近未来の描写がなされていました。
浮いて走る車。(私たちが小学生だった頃の定番!)
ヒトのような姿でヒトのように話すロボット。(前回のブログでもあげました、はい!)
タイムマシーンに浮いて走れるスケボー。(こりゃバック・トゥ・ザ・フューチャーね!)
空中に投影できる映像。(早く実現してくれ!)
よくわからんがとにかくデカイ装置。(SF映画あるある!)
これらぶっ飛んだわかりやすい表現はこの当時からたくさんありました。
しかし、薄い平面画像のデジタルテレビやパソコン、スマホのように画面にタッチして操作する通信機器など、より日常的で便利な生活に直結した物に関してはかえって想像できなかったのかもしれません。
だからこそファックスに関しても、本当はもっと便利な新しい手段がほかに開発されているという発想に至らなかったのかもしれません。
興味深いのは、電磁波の人体への影響を描いているところです。
携帯を直接耳にあてて通話するのは脳に悪影響という説が話題になった時期がありましたが、
まだ携帯もあまり普及していなかった頃に、電磁波による身体への悪影響という概念があったことに感心させられます。
そして何よりも心に響くのは、この劇中の企業の設立者が、黒震病によって娘を亡くしたヤクザの組長タカハシ(ビートたけし)に向けて発する言葉。
これは今の現実にもありえる問題へのメッセージ性を帯びています。
この作品でビートたけしはハリウッド初出演となりましたが、この作品と同じ年に公開された日本のSFアニメ映画が押井守監督による『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』です。
そして先にも述べた『マトリックス』が後にキアヌ・リーブス主演で公開されて話題になったのは1999年のことでしたが、監督のウォシャウスキー兄弟は『攻殻機動隊』の影響を強く受けています。
ただの偶然でしょうけど、同じSF、サイバーパンクの類いで、これらの話は不思議なつながりよのうな物を感じます。
事実、『JM』も脳にインプラントの装置を入れている描写などがまるで『攻殻機動隊』でいう電脳化の描写と似ています。
原作小説の作者で本作品の脚本も手掛けたウィリアム・ギブスンは何かその辺りで意識したのかどうかはわかりません。
ただ、この映画の中に登場するキアヌ・リーブスのほうが、個人的には人間らしさがあって好きだったりします。
あの後のより進んだVFX技術やド派手なワイヤーアクションを駆使した『マトリックス』も、もちろんすばらしい作品です。
しかし『攻殻機動隊』のような、ハイテク技術に伴う犯罪や陰謀をより現実味あるタッチで描いた作品が好きな者にとっては、むしろこの『JM』のほうが近い世界観を感じられるように思えます。
ところで『攻殻機動隊』は2017年にハリウッド実写版として公開される予定ですが、この作品でビートたけしが荒巻役で出演することになっています。
やはりSFつながりで不思議な縁を感じます。


JM (字幕版)[→Prime Video]
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先進国で未だに使われている国は日本だけらしくて、海外の人は不思議がるそうです。
確かにこれだけハイテク技術が進んで他に便利な情報伝達手段がある時代に紙媒体のファックスが使われているのは不思議に思えます。
しかし20年ほど前に製作されたこの近未来SF映画を観てください!
セリフの中に「ファックスで送ってくれ」と、主人公が言うシーンが──。
キアヌ・リーブス主演、日系人俳優デニス・アキヤマやあのビートたけしが出演した、一風変わった世界観のSF映画
『JM』(1995年 監督:ロバート・ロンゴ 出演:キアヌ・リーブス、ビートたけし 他)

【あらすじ】──西暦2021年。
ハイテク技術の発展に伴う電磁波により、人々は黒震病という病に苦しめられていた。
脳に埋め込んだ記憶装置に機密情報を記憶し運ぶ不正取引人ジョニー・ニーモニック(キアヌ・リーブス)は、多額の報酬と引き換えに、装置の許容量を越える情報を記憶し、運ぶことになる。
彼にも内容がわからないよう暗号化されたその機密情報を期限内に取り出さなければ、彼は死ぬ。
そんな中、情報の持ち主である企業の殺し屋に追われるジョニー。
彼の中に記憶された情報の内容とは。──
優れたVFXを駆使した映画に比べれば大作感はあまりなく、後に公開された、同じくキアヌ・リーブス主演の『マトリックス』からも見劣りするかもしれない。
しかし、企業の陰謀や病気の蔓延、荒廃した世界を派手過ぎない描写で表現しているところに妙な納得がいきます。
ファックスもそうだが、パソコンのような端末も分厚くて逆に旧式に見え、ブラウン管方式と思われるテレビまで出てくるのは、製作された時代的にいたしかたないでしょう。
20XX年なんて時代がまだ永遠のように先の話しだった頃に、未来の世界という物にみんなあれこれと想像を膨らましていました。
そういった中で映画やアニメなどのいろいろな作品で近未来の描写がなされていました。
浮いて走る車。(私たちが小学生だった頃の定番!)
ヒトのような姿でヒトのように話すロボット。(前回のブログでもあげました、はい!)
タイムマシーンに浮いて走れるスケボー。(こりゃバック・トゥ・ザ・フューチャーね!)
空中に投影できる映像。(早く実現してくれ!)
よくわからんがとにかくデカイ装置。(SF映画あるある!)
これらぶっ飛んだわかりやすい表現はこの当時からたくさんありました。
しかし、薄い平面画像のデジタルテレビやパソコン、スマホのように画面にタッチして操作する通信機器など、より日常的で便利な生活に直結した物に関してはかえって想像できなかったのかもしれません。
だからこそファックスに関しても、本当はもっと便利な新しい手段がほかに開発されているという発想に至らなかったのかもしれません。
興味深いのは、電磁波の人体への影響を描いているところです。
携帯を直接耳にあてて通話するのは脳に悪影響という説が話題になった時期がありましたが、
まだ携帯もあまり普及していなかった頃に、電磁波による身体への悪影響という概念があったことに感心させられます。
そして何よりも心に響くのは、この劇中の企業の設立者が、黒震病によって娘を亡くしたヤクザの組長タカハシ(ビートたけし)に向けて発する言葉。
これは今の現実にもありえる問題へのメッセージ性を帯びています。
この作品でビートたけしはハリウッド初出演となりましたが、この作品と同じ年に公開された日本のSFアニメ映画が押井守監督による『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』です。
そして先にも述べた『マトリックス』が後にキアヌ・リーブス主演で公開されて話題になったのは1999年のことでしたが、監督のウォシャウスキー兄弟は『攻殻機動隊』の影響を強く受けています。
ただの偶然でしょうけど、同じSF、サイバーパンクの類いで、これらの話は不思議なつながりよのうな物を感じます。
事実、『JM』も脳にインプラントの装置を入れている描写などがまるで『攻殻機動隊』でいう電脳化の描写と似ています。
原作小説の作者で本作品の脚本も手掛けたウィリアム・ギブスンは何かその辺りで意識したのかどうかはわかりません。
ただ、この映画の中に登場するキアヌ・リーブスのほうが、個人的には人間らしさがあって好きだったりします。
あの後のより進んだVFX技術やド派手なワイヤーアクションを駆使した『マトリックス』も、もちろんすばらしい作品です。
しかし『攻殻機動隊』のような、ハイテク技術に伴う犯罪や陰謀をより現実味あるタッチで描いた作品が好きな者にとっては、むしろこの『JM』のほうが近い世界観を感じられるように思えます。
ところで『攻殻機動隊』は2017年にハリウッド実写版として公開される予定ですが、この作品でビートたけしが荒巻役で出演することになっています。
やはりSFつながりで不思議な縁を感じます。

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