☆それでも平成ゴジラVSシリーズが好き!②──『ゴジラ』(1984年)★
- 2017/01/07
- 20:17
平成ゴジラVSシリーズについて語るブログの2回目です!
ただ、前回にも述べたとおり、始めの2回はまだ昭和の作品になります。
平成ゴジラVSシリーズにつながる前身的作品の2作目ということで今回語るのはこちら!
『ゴジラ』(1984年 監督:橋本幸治 特撮:中野昭慶 出演:小林桂樹、田中健、沢口靖子、宅麻伸、夏木陽介 他)


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★あれから30年!そして『ゴジラvsビオランテ』の前作となる作品
タイトルは前回の作品同様『ゴジラ』なんですが、ちょうどあれから30年後の1984年に公開された作品になります。
そしてゴジラシリーズ通算2作目から15作目をとばして、なぜいきなりこの作品を取り上げるのかというと──
この1984年の『ゴジラ』の劇中の設定では、1作目からの30年間、ゴジラは出現していないということになっています。
つまり昭和に製作された2作目から15作目とのストーリーの関連がないということです。
そして──次作にして平成ゴジラVSシリーズの第1作目となる──、『ゴジラvsビオランテ』の直接の前作になっているのが、この1984年『ゴジラ』です。
【あらすじ】──3ヶ月前に巨大な噴火が発生した伊豆諸島の大黒島近海で、消息を絶っていた漁船「第五八幡丸」
一夜明け、付近をヨットで航行していた新聞記者の牧吾朗(田中健)が、漂流していた「第五八幡丸」の中で、唯一の生存者である奥村宏(宅麻伸)を発見。
そのとき、謎の巨大なフナムシに襲われるが、意識を取り戻した奥村に助けられる。
遭難の際に大黒島でフナムシとは全く別の巨大な生物を目撃したことを語る奥村。
海上保安庁に保護され警察病院に入院した奥村を見舞いに来た、彼の大学の恩師で生物学者の林田信(夏木陽介)は、奥村の証言から、巨大生物の正体はゴジラであると確信。
30年前に東京を襲った悪夢が再び甦る。──
☆"人類にとっての恐怖"としてのゴジラが再び!
それまでの昭和ゴジラシリーズは、途中でゴジラが正義の怪獣として描写されてきました。
鳴き声は甲高く、どこか愛嬌のある軽快な動きで敵怪獣と戦う姿は、当時の子供たちにとってはヒーローのような存在だったでしょう。
しかし、1954年の1作目から30年のときを経て登場した本作は正にその1作目の主旨を復活させた「人類にとっての敵」となるゴジラです。
重々しく低い鳴き声を発し、ゆっくりと歩く様に巨大生物の重量感があります。
30年前にオキシジェン・デストロイヤーによって死んだあのゴジラとは別の個体なのでしょうか。
劇中ではその辺りを明確に示すシーンはありません。
1作目のラストで山根博士が発した「これが最後の一匹とは思えない」という言葉が的中したという見方ができるでしょうか。
初代ゴジラの正式な続編としての復活作品です。
しかしながら架空の兵器を登場させて、空想科学的な表現もあるところは、『メカコジラの逆襲』までの流れも組んでいるようで、おもしろいですね。
その中で物語を盛り上げる要となっているのがスーパーXです。
★陸上自衛隊の頼もしき対ゴジラ兵器スーパーXの活躍
正式名称─「陸上自衛隊幕僚監部付実験航空隊首都防衛移動要塞T-1号 MAIN SKY BATTLE TANK スーパーX」
…ナガい名前です…ハイ!
BATTLE TANKとついてるだけあって、空を飛ぶ戦車という見方もできるのか、そのやたらに丸っこい形は決してカッコいいとは思えません。
ところがゴジラが暴れる新宿のビルの間から光を放ちながら登場するシーンが、音楽も相まって華々しくカッコいいんです!
カドミウム弾をゴジラの口に撃ち込み、ゴジラの体内の放射能を抑制することで一度は動きを封じ込めることに成功するのですが、残念ながら完全にやっつけるには及びません。
それでも、こういった架空の兵器の活躍を見せるところは、──"リアリティ重視"か"娯楽性重視"かの間で賛否が分かれますが──日本のSF映画としてハリウッドに負けない説得力があると思います。
今だったらこんな物を映画に出したら、完全に子供向けの作品として扱われるでしょう。
それをこの当時、リアルな国際情勢も反映させていたようなストーリーの中に普通に持ち込んでいたんですからね!
そういった面で、この頃の日本映画界における発想力や創造性はハリウッドに負けてなかったのではと思えてきます。
『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』ではイカみたいなエイリアンがいて、人類がエイリアンの技術を解析して作ったという架空の兵器なんぞを登場させています。
こんな映画を大人は観ないかといったら当然そんなことはないですからね。
そういうレベルの発想を、VFXの技術やスケール感ではかなわないとはいえ、日本映画でもやっていたのです。
☆美しささえ感じる特撮シーンと大まじめな社会情勢ドラマ
ゴジラの"着ぐるみ"感こそあるものの、破壊される街のミニチュアは作り物とわかっていても見ていて楽しいです。
今ほどCGの技術が進んでいなかった時代ならではのクリエイティビティを感じます。
特に私が好きなのは、やはり新宿でゴジラとスーパーXが戦うシーンでの高層ビルの光景です。
ゴジラの巨大さと破壊される街のスケールを同時に見られる美しさがあります。
そしてそんな特撮のシーンに負けず、作品の軸として成り立っている本編ストーリー。
ゴジラを倒すため、日本に訪れたアメリカとソ連のそれぞれの特使が核兵器の使用をせまるシーンがあります。
『シン・ゴジラ』よりも先に、核兵器を扱った描写が、本作で既にあったのですね。
当時はちょうどアメリカとソ連が冷戦状態にあった頃ですが、この2つの大国を劇中に持ち出すところは、時代を反映させています。
しかも両国とも核実験を繰り返してきた国ですから、すごく挑戦的な風刺表現だったのではないかと思います。
この描写において重要なポジションに立つのが、日本の首相・三田村清輝(小林桂樹)です。
非核三原則を根拠に、日本で核を使うことを断固否定したのに対し「日本のエゴだ」と言われても、──
──「核を使いたがるのはあなたたちのエゴでは」と姿勢を崩さない三田村首相。
こんな総理大臣、現実にいてほしいものです!
いやほんと、核兵器保有の2大大国にここまで挑戦的な風刺表現をたたきつけるとは、製作者側には全くもって敬意を示したいです!
そしてこの辺りの社会情勢の描写を見る限り、ゴジラシリーズ史上で最も、人間ドラマが硬い内容に仕上がっているのがこの1984年『ゴジラ』ではないでしょうか。
昭和シリーズとも、後の平成シリーズともつかない時期と内容だけに、なんとなく存在感が薄い作品かもしれませんが、是非ともチェックしていただきたいですね。
それでは次回からはいよいよ、この記事の主旨となるシリーズに入ります。
今回取り上げた作品の直接の続編にして平成ゴジラVSシリーズ第1作目『ゴジラvsビオランテ』について語ります。


ゴジラ ('84)[→Prime Video]
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ただ、前回にも述べたとおり、始めの2回はまだ昭和の作品になります。
平成ゴジラVSシリーズにつながる前身的作品の2作目ということで今回語るのはこちら!
『ゴジラ』(1984年 監督:橋本幸治 特撮:中野昭慶 出演:小林桂樹、田中健、沢口靖子、宅麻伸、夏木陽介 他)

★あれから30年!そして『ゴジラvsビオランテ』の前作となる作品
タイトルは前回の作品同様『ゴジラ』なんですが、ちょうどあれから30年後の1984年に公開された作品になります。
そしてゴジラシリーズ通算2作目から15作目をとばして、なぜいきなりこの作品を取り上げるのかというと──
この1984年の『ゴジラ』の劇中の設定では、1作目からの30年間、ゴジラは出現していないということになっています。
つまり昭和に製作された2作目から15作目とのストーリーの関連がないということです。
そして──次作にして平成ゴジラVSシリーズの第1作目となる──、『ゴジラvsビオランテ』の直接の前作になっているのが、この1984年『ゴジラ』です。
【あらすじ】──3ヶ月前に巨大な噴火が発生した伊豆諸島の大黒島近海で、消息を絶っていた漁船「第五八幡丸」
一夜明け、付近をヨットで航行していた新聞記者の牧吾朗(田中健)が、漂流していた「第五八幡丸」の中で、唯一の生存者である奥村宏(宅麻伸)を発見。
そのとき、謎の巨大なフナムシに襲われるが、意識を取り戻した奥村に助けられる。
遭難の際に大黒島でフナムシとは全く別の巨大な生物を目撃したことを語る奥村。
海上保安庁に保護され警察病院に入院した奥村を見舞いに来た、彼の大学の恩師で生物学者の林田信(夏木陽介)は、奥村の証言から、巨大生物の正体はゴジラであると確信。
30年前に東京を襲った悪夢が再び甦る。──
☆"人類にとっての恐怖"としてのゴジラが再び!
それまでの昭和ゴジラシリーズは、途中でゴジラが正義の怪獣として描写されてきました。
鳴き声は甲高く、どこか愛嬌のある軽快な動きで敵怪獣と戦う姿は、当時の子供たちにとってはヒーローのような存在だったでしょう。
しかし、1954年の1作目から30年のときを経て登場した本作は正にその1作目の主旨を復活させた「人類にとっての敵」となるゴジラです。
重々しく低い鳴き声を発し、ゆっくりと歩く様に巨大生物の重量感があります。
30年前にオキシジェン・デストロイヤーによって死んだあのゴジラとは別の個体なのでしょうか。
劇中ではその辺りを明確に示すシーンはありません。
1作目のラストで山根博士が発した「これが最後の一匹とは思えない」という言葉が的中したという見方ができるでしょうか。
初代ゴジラの正式な続編としての復活作品です。
しかしながら架空の兵器を登場させて、空想科学的な表現もあるところは、『メカコジラの逆襲』までの流れも組んでいるようで、おもしろいですね。
その中で物語を盛り上げる要となっているのがスーパーXです。
★陸上自衛隊の頼もしき対ゴジラ兵器スーパーXの活躍
正式名称─「陸上自衛隊幕僚監部付実験航空隊首都防衛移動要塞T-1号 MAIN SKY BATTLE TANK スーパーX」
…ナガい名前です…ハイ!
BATTLE TANKとついてるだけあって、空を飛ぶ戦車という見方もできるのか、そのやたらに丸っこい形は決してカッコいいとは思えません。
ところがゴジラが暴れる新宿のビルの間から光を放ちながら登場するシーンが、音楽も相まって華々しくカッコいいんです!
カドミウム弾をゴジラの口に撃ち込み、ゴジラの体内の放射能を抑制することで一度は動きを封じ込めることに成功するのですが、残念ながら完全にやっつけるには及びません。
それでも、こういった架空の兵器の活躍を見せるところは、──"リアリティ重視"か"娯楽性重視"かの間で賛否が分かれますが──日本のSF映画としてハリウッドに負けない説得力があると思います。
今だったらこんな物を映画に出したら、完全に子供向けの作品として扱われるでしょう。
それをこの当時、リアルな国際情勢も反映させていたようなストーリーの中に普通に持ち込んでいたんですからね!
そういった面で、この頃の日本映画界における発想力や創造性はハリウッドに負けてなかったのではと思えてきます。
『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』ではイカみたいなエイリアンがいて、人類がエイリアンの技術を解析して作ったという架空の兵器なんぞを登場させています。
こんな映画を大人は観ないかといったら当然そんなことはないですからね。
そういうレベルの発想を、VFXの技術やスケール感ではかなわないとはいえ、日本映画でもやっていたのです。
☆美しささえ感じる特撮シーンと大まじめな社会情勢ドラマ
ゴジラの"着ぐるみ"感こそあるものの、破壊される街のミニチュアは作り物とわかっていても見ていて楽しいです。
今ほどCGの技術が進んでいなかった時代ならではのクリエイティビティを感じます。
特に私が好きなのは、やはり新宿でゴジラとスーパーXが戦うシーンでの高層ビルの光景です。
ゴジラの巨大さと破壊される街のスケールを同時に見られる美しさがあります。
そしてそんな特撮のシーンに負けず、作品の軸として成り立っている本編ストーリー。
ゴジラを倒すため、日本に訪れたアメリカとソ連のそれぞれの特使が核兵器の使用をせまるシーンがあります。
『シン・ゴジラ』よりも先に、核兵器を扱った描写が、本作で既にあったのですね。
当時はちょうどアメリカとソ連が冷戦状態にあった頃ですが、この2つの大国を劇中に持ち出すところは、時代を反映させています。
しかも両国とも核実験を繰り返してきた国ですから、すごく挑戦的な風刺表現だったのではないかと思います。
この描写において重要なポジションに立つのが、日本の首相・三田村清輝(小林桂樹)です。
非核三原則を根拠に、日本で核を使うことを断固否定したのに対し「日本のエゴだ」と言われても、──
──「核を使いたがるのはあなたたちのエゴでは」と姿勢を崩さない三田村首相。
こんな総理大臣、現実にいてほしいものです!
いやほんと、核兵器保有の2大大国にここまで挑戦的な風刺表現をたたきつけるとは、製作者側には全くもって敬意を示したいです!
そしてこの辺りの社会情勢の描写を見る限り、ゴジラシリーズ史上で最も、人間ドラマが硬い内容に仕上がっているのがこの1984年『ゴジラ』ではないでしょうか。
昭和シリーズとも、後の平成シリーズともつかない時期と内容だけに、なんとなく存在感が薄い作品かもしれませんが、是非ともチェックしていただきたいですね。
それでは次回からはいよいよ、この記事の主旨となるシリーズに入ります。
今回取り上げた作品の直接の続編にして平成ゴジラVSシリーズ第1作目『ゴジラvsビオランテ』について語ります。

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