突然ですが皆さん!
ゴジラに登場する敵怪獣では何が好きですか?
昭和シリーズにさかのぼれば、最初に登場するのがアンギラスです。
あのハリネズミみたいな姿と鳴き声が愛嬌ありますね。
私はモスラも好きなのですが、あちらは敵怪獣というよりは守り神で、悪い感じがしないです!
いかにも悪どい雰囲気を醸しているのであればガイガンなんてどうでしょう。
『ゴジラ FINAL WARS』のなんか、かなり派手なルックスしてます。
とまぁ、いろいろいますが、やっぱり一番人気はキングギドラでしょうか?
黄金のボディに3つの首はインパクトあります!
私はというと、これが一番好きというと言いすぎかもしれないですが、なんだか魅了してやまない怪獣がいます。
平成ゴジラVSシリーズについて語るこの記事の3回目では、いよいよそのシリーズの幕開けとなる作品を取り上げるのですが、ここにその怪獣が登場します。
『ゴジラvsビオランテ』(1989年 監督:
大森一樹 特撮:
川北紘一 出演:
三田村邦彦、
田中好子、
高嶋政伸、
小高恵美、
沢口靖子、
高橋幸治 他)


ゴジラvsビオランテ 【60周年記念版】 [Blu-ray][→Amazon]【あらすじ】──ゴジラ襲撃から一夜明けた新宿。
米国のバイオメジャーは廃墟内からゴジラの体の破片(G細胞)を採取するが、中東サラジア共和国の工作員に奪われる。
サラジア共和国に運ばれたG細胞は白神博士の研究室で、砂漠でも育つ植物の実験に使用されていた。
しかしG細胞争奪戦に破れたバイオメジャーによる襲撃で、白神博士はG細胞とともに娘の英理加(
沢口靖子)を失う。
5年後、三原山で再び活動しはじめたゴジラに備え、ゴジラの体内にある、核物質を食べる細胞を利用した「抗核エネルギーバクテリア」の研究が進められていた。
G細胞を1週間借り受けるという条件で研究の協力を承諾した白神博士。
しかし数日後、芦ノ湖に巨大なバラの姿をした怪獣が現れる。
それは白神博士がバラに娘の細胞とG細胞を融合させた怪獣ビオランテであった。
小田原に上陸し、芦ノ湖でビオランテと対決するゴジラ。
「どちらか勝ったほうが人類最大の敵となる」
ゴジラとビオランテという2つの脅威、そしてG細胞を巡る組織を前に人類の戦いが始まる。──
★平成におけるゴジラVSシリーズの第1作目この1989年に公開された作品からが、90年代中期にかけて6作続く、いわゆる平成ゴジラシリーズとなります。
昭和のシリーズでも、ゴジラが正義の怪獣としていろんな敵怪獣と戦ってきましたが、その頃のシリーズよりもシリアス感のある内容になっています。
この辺りはやはり、1954年の1作目からの流れがあるのでしょう。
それでいて、周辺の組織の陰謀や人間たちのドラマにも多角的に力が入れられており──、
──単なる"人間"対"怪獣"というわけではないところ、そして架空の兵器が登場するところは1975年の『メカコジラの逆襲』までの作品を受け継いでいるとも言えます。
そしてゴジラが人類の敵として描かれていながら、どこかヒーローのような要素も入っているというべきなのか、ゴジラ視点で話を追ってしまう描写でもあります。
ここは逆に、単にいかにしてゴジラを倒すかという概念だった初代と少し違っており、それこそ『
シン・ゴジラ』のように災害や有事に見立てた怪獣とは全く別物のゴジラです。
その概念において重要な鍵となる人物ががこの『ゴジラvsビオランテ』から登場します。
☆シリーズ通してのヒロイン三枝未希余談ですが、ゴジラシリーズでは同じ役者が作品ごとに違う人物の役で登場しているときがあります。
そんな中、本作からこのシリーズ通して同じ役者で同じ人物として登場しつづけていたのが、
小高恵美が演じる超能力者・三枝未希です。
全作品において必ずしも主役級というわけではないのですが、このシリーズを知っている人にとっては印象深い人物だと思います。
劇中に登場する、超能力の研究と養成を行う機関・精神科学開発センター。
そこで最も強い能力を持つ人物が三枝未希です。
ゴジラやその他の怪獣の存在を感知し、時にはゴジラの意思を操る場面もあり、本作に登場する国土庁特殊災害研究会議Gルーム、その後の作品に登場する国連G対策センターやGフォースと共に活躍します。
しかし、次作『ゴジラvsキングギドラ』では、過去の時代にタイムワープした際に、ゴジラの基となる恐竜ゴジラザウルスが瀕死の重症を負っているのを見て憐れむような言葉を口にするシーンがあります。
また『ゴジラvsメカコジラ』ではベビーゴジラとの出会いでゴジラに対する思いの変化が見られます。
ゴジラと意思を交わす能力を持つが故に、最もゴジラに近い人物として、他の人物とは違った視点を持つ存在となっているのでしょう。
この三枝未希という人物の登場によって、観ている側もゴジラに感情移入してしまうのではないでしょうか?
★前作からパワーアップしたスーパーX2と対G作戦を指揮する黒木翔毎回登場しては、
SF描写において盛り上げてくれる架空の兵器たちですが、本作の目玉はやはり前作のスーパーXから進化したスーパーX2です。
スーパーXに使用されたチタン合金の2倍の耐熱性を持つ超耐熱合金TA32が使用され、ゴジラの熱線を受け止めて1万倍にして撃ち返すファイヤーミラーを搭載しています。
そしてスーパーXが有人での操作だったのに対し、──こちらスーパーX2は遠隔操作で、さらには水中への潜航も可能です。
それを操るのが、対G作戦を指揮する黒木翔(
高嶋政伸)で、こちらがまたクールな人物です。
防衛庁特殊戦略作戦室室長、三等特佐という、実際の自衛隊には存在しないポジションを劇中に登場させ、そのポジションにあるのがこの黒木翔なのですが、『ゴジラvsデストロイア』でも活躍します!
まあそれにしても、こういう役を
高嶋政伸という俳優が演じていたことが、今となってはレアな話しに思えます。
テレビドラマでよく見かけるイメージがありますが、スーパーXのような兵器を操る役をまたやってほしいものです(まずはそういう作品を誰が作るねん!)
☆グロテスク!でも美しくもあるビオランテという怪獣さて、この作品に登場するビオランテという怪獣なんですが、基が植物というだけあって、ほかの怪獣とは異彩を放っている気がします。
第一形態はまさしく頭部がバラの花になっており、第二形態は牙をむき出しにした、より怪獣らしい姿をしています。
ゴジラよりもひとまわり大きく、迫力のある姿でありながら、植物というだけにあまり動きません!
そしてこれまた植物だけに熱に弱く、ゴジラの熱線で軽々と体を粉砕される場面も。
とはいえ、その姿はやはりグロテスクで、逆にどっしりと構えた体はゴジラの体当たりには負けなさそうです。
そして酸性の液を吐いてゴジラを怯ませたり、触手でゴジラの手を貫通するという健闘も見せます。
どことなくその顔はゴジラに似ている気がするのはやはり、ゴジラの細胞が入っているからでしょう。
─「いつか砂漠にバラが咲く日がくる」──
─そんな思いを抱きながら研究をしていたが、バイオメジャーの襲撃によって悲しい死をとげた、白神博士の娘・英理加。
彼女の細胞も組み込まれたその怪獣から発せられる鳴き声はどこか悲しくもあります。
そして記事の冒頭にも述べた、私を魅了してやまない理由がそのビオランテという名前の由来。
北欧神話に登場する植物の精霊からとったとのこと。
おおっ!なんとも怪獣ながらに繊細な美しさを感じる!
と、感心させられながら後でわかったのは、北欧神話にそんな精霊はいないということでした…。
ムリヤリ作り出した設定だったとは(笑)
そんなツッコミどころも多々ある、この頃の時代らしい怪獣映画です、ハイ!
★主軸となるのは自衛隊と怪獣、そしてG細胞を狙う組織との戦い!これだけインパクトのある敵怪獣の登場ですが、物語の主軸となるのはやはり自衛隊とゴジラの戦い、さらにはG細胞を狙う組織との戦いです。
ゴジラという、そもそも計り知れない力を持った生物を前に、その存在を自分たちの都合のいいように利用しようとする人間たちの姿が、劇中のバイオメジャーやサラジア共和国の工作員という形で描かれています。
また、抗核エネルギーバクテリアに関しては主人公の桐島一人(
三田村邦彦)が「核兵器を無力化する力があり、世界の軍事バランスの崩壊につながる」という理由で使用をためらうシーンがあります。
そんな社会派な描写は、やはり過去作から受け継がれている部分と見ることができます。
公開当時、興業的には振るわなかったものの、今では平成シリーズを知っている人たちの間では評価が高い本作。
私もこの作品は大人が観て楽しめる本編ストーリーが強みになっていると思います。
VSシリーズのスタートとなったこの作品、本シリーズに足をのばすきっかけにチェックしてみてはいかがでしょうか。
それでは次回はあの人気怪獣?が登場するVSシリーズ2作目について語ります。


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