☆それでも平成ゴジラVSシリーズが好き!④──『ゴジラvsキングギドラ』★

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突然ですが、皆さん!

ゴジラに登場する敵怪獣で一番好きなのはなんですか?

…という質問を前回ブログでやりました。

その質問に、たぶん一番多く答える怪獣の名は、やはりキングギドラではないでしょうか?

というわけで平成ゴジラVSシリーズについて語る記事の4回目はキングギドラが登場するこの作品!

『ゴジラvsキングギドラ』(1991年 監督:大森一樹 特撮:川北紘一 出演:豊原功補中川安奈小高恵美佐々木勝彦土屋嘉男チャック・ウィルソンリチャード・バーガーロバート・スコット・フィールド 他)


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【あらすじ】──突如、東京上空に飛来し、富士山麓に着陸したUFO。

そこから現れたのは、23世紀から来たという未来人、ウィルソン(チャック・ウィルソン)、グレンチコ(リチャード・バーガー)、エミー・カノー(中川安奈)の3人。

彼らは、未来の日本はゴジラにより壊滅状態に陥るということを日本政府に告げる。

ノンフィクションライターの寺沢健一郎(豊原功補)の著書『ゴジラ誕生』の内容に基づき、ビキニ環礁の核実験による突然変異でゴジラになった恐竜を、核実験の影響を受ける前に移動させることで、ゴジラの存在を消滅させる計画を提案する彼ら。

寺沢、国立超科学研究センターの三枝未希(小高恵美)、古生物学者の真崎洋典(佐々木勝彦)は、エミーとアンドロイドM11(ロバート・スコット・フィールド)と共にタイムマシンKIDSで、太平洋戦争真っ只中のマーシャル諸島・ラゴス島にタイムワープする。

ゴジラの基になった恐竜ゴジラザウルスの転送に成功し、元の時代に戻ってきた彼ら。

しかし、ゴジラの代わりにキングギドラが現れ日本を襲撃、更には消滅したはずのゴジラの存在を三枝未希が感知する。──


☆シリーズ史上最もハデ目なSF演出!

昭和ゴジラシリーズでいえば、例えば『怪獣大戦争』でX星人なる宇宙人を登場させ、しかもゴジラを初めて宇宙に飛ばしてしまう展開がありました。

その後もキラアク星人やブラックホール第3惑星人など、なにかと宇宙人が登場する作品がありました。

平成ゴジラシリーズはそこまではいかなかったですが、この『ゴジラvsキングギドラ』においては、なんと未来人を登場させてしまったのだからすごい!

宇宙人にしても未来人にしても、本来はそれ単体で映画のテーマにできそうな素材です。

それをゴジラに持ってくるというところは、こりゃハリウッドリメイクでは成せない技だ…いや、やろうと思えばできるだろうけど、おそらく誰もやりたがらないだろうと思います。

しかし、その未来人の登場、そして彼らのテクノロジーを使って過去の時代にタイムワープする流れは、ゴジラ誕生の秘密にたどり着く足がかりとなっています。

制作者側は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から着想を得たと言っていますが、パロディ的演出であったとしても、一応は展開へのつなぎとして成り立っています。

さらに笑ってしまうのは、その太平洋戦争の時代にいる米軍の中にスピルバーグ少佐なんてのも登場するところ!

台詞のやりとりからして、あのスティーブン・スピルバーグのお父さんということになるでしょうか?

本作は他にも人の姿をしたロボット、アンドロイドM11が登場しますが、涼しい表情で車に追い付く速さで走ってくる様は、当時初めてテレビで観たときから、完全に『ターミネーター2』のパクりだなと感じていました。

公開時期も本作と近い!

走って行くところが早送り再生みたいになっているのは、今観るとシュールですが、当時の邦画界における映像技術の限界、もしくは予算や制作期間の制限だったのでしょう。

そこはどうか許してあげてください。

あとはレーザーガンを使った銃撃戦もあって、なんかもうスター・ウォーズじゃないか!

『007 ムーンレイカー』なみにやらかしてくれてます!

それでも、こんな演出ながら、ミレニアムシリーズのような軽いノリの映画になっていないのは、俳優たちが演じる硬いキャラクターがあるおかげで、ここが90年代らしさを感じます。

(『ゴジラ×メカゴジラ』とその続編『ゴジラ モスラ メカゴジラ 東京SOS』は悪くないと思いますが…)


★80メートルから100メートルに巨大化したゴジラ

先ほど述べた、未来人のタイムマシンで太平洋戦争真っ只中のマーシャル諸島・ラゴス島に行くシーン──。

ノンフィクションライター寺沢の著書にあった、"ゴジラはビキニ環礁の核実験によって、わずかに生き残っていた恐竜が変異したことによって誕生したという説"が間違っていないことを未来人は知っていました。

そしてラゴス島にいた恐竜(通称:ゴジラザウルス)を、核実験の影響のないベーリング海に転送。

しかし、そこは核廃棄物が不法に沈められていた場所であったために、結果としてゴジラが誕生、しかも前よりも巨大化して現れます。

それまでは体長80メートルという設定だったのが100メートルになり、さらにいかつい姿になったゴジラ。

(これが後の作品にも登場するゴジラの姿として定着します。)

「考えてみれば20世紀の地球はどこもかしこも核廃棄物だらけ……愚かな原始人」

グレンチコの発言は、悪者ながら響きます。

そしてゴジラは北海道に上陸し、キングギドラと対決します。


☆19年ぶりに登場させたキングギドラ

通算でいえば、1972年の『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』以来、19年ぶりにキングギドラを登場させたのが本作です。

未来のペットだというドラット3匹を、エミーがラゴス島に放ってしまい、ゴジラザウルスの代わりに核実験の影響を受け、3つ首の怪獣キングギドラになります。

この設定は、昭和のシリーズに登場した"宇宙怪獣"としてのキングギドラと大きく違うところです。

ゴジラに合わせて、こちらも昭和より巨大で、鳴き声はラドンの鳴き声のアレンジとなり、角はまっすぐに伸びているというのも変更点です。

昔から人気のあった敵怪獣を、さらにいかつい姿で登場させたわけなんですが、こりゃカッコいいわ!

未来人が操っているところは、X星人やらキラアク星人やらM宇宙ハンター星雲人に操られていたのと同じ発想です。

このキングギドラが北海道でゴジラと戦うシーンが、怪獣映画としての見所です。

派手なSF演出ながらも、前作『ゴジラvsビオランテ』より怪獣どうしの戦いに焦点が置かれているのが本作です。

さらにこの後の展開でキングギドラはサイボーグの怪獣メカキングギドラとなり、新宿でゴジラと戦います。

ただでさえ、いかつくてカッコいいキングギドラが、さらにいかつい、生身の体と機械の体が合わさった姿になります。

完全にメカというわけではないルックスも、当時なかなか印象深かったです。

(昔、このメカキングギドラのフィギュアが欲しかった頃がありました…)

胴体のどこにそんなもん収納してるんだ?!って突っ込みたくなるような、ぶっといワイヤー兵器でゴジラがUFOキャッチャーにされますが、なにかとゴジラってこういう役回りな気がします。


★タイムパラドックスや現実世界との食い違い

先ほどから述べてるように、平成シリーズの中ではひときわ派手な演出ゆえに突っ込みどころも多い『ゴジラvsキングギドラ』

よく指摘されているのが、太平洋戦争の時代にタイムワープし、ラゴス島にいたゴジラザウルスを転送した後、元の時代に別の形でゴジラが登場してしまうシーンです。

寺沢、三枝、真崎が帰ってきたはずの時代には、体長80メートルだったほうのゴジラがそれまでは現れていなかったということになるわけですが…。

ただ、ここを突っ込み出すと、元ネタ(笑)になっているバック・トゥ・ザ・フューチャーだっておかしいわけですよね?

何人かの物理学者が唱えている多世界解釈(パラレルワールド理論)でこじつければ成立する物語と言うべきでしょうか。

制作者がそれを意識しているわけではないでしょうけど。

さらに高い視点で見れば、ゴジラシリーズを昭和シリーズ、平成シリーズ、ミレニアムシリーズで分けたときに、これら自体がそれぞれパラレルワールドになっていると言えます。

1955年の2作目『ゴジラの逆襲』では、1作目とは別に普通にゴジラがもう一匹いて、それが現れるという話で──

平成シリーズの先駆けとなる1984年『ゴジラ』(→記事参照)では1作目から30年たってから再びゴジラが現れるという内容です。

ミレニアムシリーズでは作品ごとに、それぞれの制作者が1作目に対して独自の解釈を盛り込んだ"続編"のような設定が登場します。

そしてもう1つ──、エミーが劇中で未来の日本について話すシーンの中では、23世紀にはまだソビエト連邦があることになっています。

本作の公開された当時が、まだソ連が崩壊する前だったために、今観たら少しおかしくなるような現実との相違があっておもしろいですね。

こういうところを見ると、なんだか時代を感じます。

90年代前期をしみじみと感じながら、それでは次回はあの守り神が登場する作品について語ります。


ゴジラVSキングギドラ[→Prime Video]


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