☆それでも平成ゴジラVSシリーズが好き!⑦──『ゴジラvsスペースゴジラ』★

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「命あるものとそうでないものの力の差…」

ゴジラとの戦いでメカゴジラが敗れてから1年。

国連G対策センターは更に強力なメカを送り込むが、宇宙から新たな脅威が襲来する──。

というわけで平成ゴジラVSシリーズについて語る記事の7回目です。

今回取り上げる作品は、宇宙から現れた邪悪な破壊神と、G対策センターが造り出した新たなる兵器、そして『ゴジラvsモスラ』以来の彼女たちも登場するこちらです!

『ゴジラvsスペースゴジラ』(1994年 監督:山下賢章 特撮:川北紘一 出演:橋爪淳小高恵美米山善吉柄本明吉川十和子中尾彬今村恵子大沢さやか 他)


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【あらすじ】──メカゴジラがゴジラに敗れてから1年後、国連G対策センターが新たに立てた2つのプロジェクト。

メカゴジラを超える対ゴジラ用新兵器・MOGERAによるゴジラの打倒を目的とする「Mプロジェクト」

そしてテレパシー増幅装置・サイコトロニックジェネレーターと超能力者のテレパシーによってゴジラをコントロールし、被害を最小限に抑えることを目的とする「Tプロジェクト」

Tプロジェクトの支援のため、南太平洋のバース島を訪れたGフォースの新城功二(橋爪淳)と佐藤清志(米山善吉)は、同じくGフォース隊員でゴジラ打倒に執念を燃やす結城晃(柄本明)と合流する。

結城は、ベビーゴジラから成長したリトルゴジラに懐かれながら、ゴジラを倒すためのさまざまな罠を準備していた。

その後、Tプロジェクト実行のため、G研究所生物工学教授の権藤千夏(吉川十和子)と進化生物学博士の大久保晋(斉藤洋介)と共にバース島に到着した超能力者・三枝未希。

そんな中、宇宙からは巨大な宇宙怪獣がすさまじい速度で地球に接近していた。

それはかつて宇宙に飛散したG細胞から生まれたスペースゴジラだった。

GフォースはMプロジェクトによって開発された新兵器・MOGERAに乗り込み出動するが、迎撃に失敗する。

スペースゴジラはバース島に降り立ち、島を安住の地としていたゴジラを圧倒してリトルゴジラを結晶体で幽閉、さらに日本各地を襲撃する。──


☆メカゴジラを超える新兵器!そしてG細胞によって生まれた宇宙怪獣

G対策センターが新たに開発した対ゴジラ兵器・MOGERA──Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-type(対ゴジラ作戦用飛行型機動ロボット)──。

はい…スーパーXの正式名称と比べれば、はるかに楽に呼べる名前です。

しかし「モゲラ」の名前にそんな意味があったとは!

見た目はハッキリ言って、カッコよくないですが、前回のメカゴジラより更に強力な対ゴジラ兵器なんです!

足の裏に車輪を装備し、メカゴジラよりも速く地面を移動できる点は、人が乗り込む兵器としては効率がいいですね!

(それでいて通常の二足歩行が可能なので、ロボットらしさも残しつつ──)

超硬質合成ダイヤモンドの装甲、部分的にはメカゴジラのミラーコーティングより更に反射率の高い新開発の合成ブルーダイヤコーティングの装甲を採用。

そして腹部に"プラズマメーサーキャノン"なる武器を装備しているところは、外観こそかけ離れているものの、メカゴジラの技術を受け継ぎつつ強化された装備となっています。

大きく進化しているのは、普段は2つの期待がドッキングした構造になっており、地中を潜ることもできる陸型のランドモゲラーと、飛行型のスターファルコンに分離することができるところです。

これで、ゴジラやスペースゴジラを相手に柔軟な機動性を発揮する場面が見られます。

こういう様を見ていると、だんだんカッコよく思えてきます。

そんな新兵器・MOGERAが、元は対ゴジラ作戦用として送り込まれながら、新たな脅威として戦うことになる怪獣──。

それがスペースゴジラです。

ビオランテとの戦い、もしくはモスラとの戦いで宇宙に飛散したG細胞がブラックホールに呑み込まれ、結晶生物と"恒星の爆発エネルギー"を吸収。

そしてホワイトホールから放出され異常進化して誕生した宇宙怪獣とのことです。

って、こうして聞くと、これまたどエラい偶然から誕生した宇宙怪獣だなと思うのですが…。

ちなみにブラックホールはよく聞きますが、ホワイトホールはあまり聞かないですよね。

調べてみると、アインシュタインの数式も登場する難しい物理学の話しに発展してしまいますので、ざっくりと「呑み込んだ物を外に逃さないブラックホール」とは逆の性質と理解すべきでしょうか。

そもそも私、ブラックホールがなんなのかさえ厳密には理解していない!

それはさておき、このスペースゴジラは、単なるゴジラの亜種とはいえ、何かとすごい能力を持っています。

口から放つコロナビームはゴジラの熱戦と違って、曲がって放たれるので、隠れた場所にいる敵にも攻撃できます。

そして肩の結晶体からの念力もしくは反重力と思われる、物体を持ち上げる能力。

これでゴジラを持ち上げます。

更にバリアを張り巡らして敵の攻撃を跳ね返したり、結晶体をミサイルのように飛ばしたりと、かなり厄介な敵怪獣です。

見た目の雰囲気からしてなんとなくビオランテに似ている気がするので、やっぱり『ゴジラvsビオランテ』のラストで宇宙へ昇っていったG細胞が基になっているかなと、私は思います。


★どうしてこうなった!?ベビーゴジラからのリトルゴジラ

本作で登場する怪獣で、実は私が一番お気に入りの怪獣がリトルゴジラです。

Gフォースのはみだし者・結城晃がゴジラを倒すために準備を進めていたバース島を安住の地としている、子供のゴジラです。

前作に登場したベビーゴジラが成長した怪獣ですが、まだ小さいながら、身長は30メートルにまでなっています。

ゴジラのような攻撃性はなく、とても人懐っこくて、結城晃が懐かれている場面があります。

また、スペースゴジラが飛来したときも、はじめは警戒するどころか嬉しそうに近づいていくではありませんか!

とりあえずかわいいです!

そこが気に入っているところなのですが…。

前作のあの恐竜らしさがあったベビーゴジラからの変わりよう…。

もはや面影ありません!

まさしく恐竜からの怪獣化ですね。

ただ、鳴き声をよく聞くと、ゴジラそのものよりも『ゴジラvsキングギドラ』で登場したゴジラザウルスに近いですね。

威力の弱い熱戦を吐く姿もかわいいです。

しかし、これが成長していったら破壊力のある熱戦を吐くゴジラになるんだから大変です!

スペースゴジラが現れる前の冒頭において、安住の地であるバース島でのなんとも平和でほのぼのしたシーンが見られます。


☆主役級の活躍!三枝未希の新たな能力と恋愛

以前からも述べてるシリーズ通して登場する超能力者・三枝未希なのですが、本作は今までにも増して活躍の場が多いです。

テレパシー能力で、フェアリーモスラに化身した小美人コスモスと交信し、スペースゴジラ誕生の不吉なメッセージを受けとります。

また、企業マフィアに捕らわれたときの新城たちによる救出のシーンではテレキネシスという力でベッドを浮かせて援護してみせたり──。

そして平成ゴジラシリーズ初の彼女の恋愛が描かれているところも注目です。

初めは対立していた新城と惹かれあっていくのですが、キスや抱擁のシーンなど一斎なく、ラストにはテレパシーを共有しあうといった淡い純愛なところがいいですね。

さすが、そこは超能力者!

いいじゃないですか!

こんな恋愛もロマンチックでなかなかないものですよ。

ただ、次作ではこの恋愛の続きの描写はないので、その後は発展しなかったと思われます。

まあ、あくまで怪獣との戦いが主軸となっている映画なので悪しからず。

キアヌ・リーブス主演の『スピード』だって、あんなに激しくキスと抱擁を交わした2人が、続編で完全に別れてましたからね…。

本作での三枝未希は髪型がショートカットなのも新鮮です。

やはり恋愛を描いているにあたっての1つの演出なのでしょうか?


★正義として描かれたゴジラとリトルゴジラとの絆

MOGERAという強力な新兵器を導入し、2つのプロジェクトでゴジラと戦う姿勢を見せるG対策センターやGフォースですが、スペースゴジラという強敵が現れることによって、最終的には三つ巴の戦いになります。

しかし、明らかにここでの人類にとっての脅威は、日本各地を縦断しながら破壊し、福岡を自分の要塞にしてしまうスペースゴジラのほうです。

同じくG細胞から誕生した怪獣ビオランテとは違う敵意があります。

ゴジラ自信はリトルを助けたくてスペースゴジラに立ち向かい、半ばそれを援護するようにMOGERAを操るGフォース隊員たち。

『ゴジラvsビオランテ』でゴジラに仲間を殺されて以来、ゴジラ打倒に躍起になっていた結城も、最後は「おのれスペゴジめ」と体当たりな攻撃をしかける様が、まさに人間とゴジラによるスペースゴジラ打倒の図になっています。

夕日の中、ゴジラの背中を眺めながら「けっこういい奴だったよな」という言葉を発する新城の姿など、まるで昭和ゴジラシリーズを思い起こさせる描写です。

『ゴジラvsメカゴジラ』で、ゴジラに対する考えが変わった三枝未希が、それまで以上に主役のポジションになっているところは、こういったゴジラが少しばかり正義の怪獣として描かれているストーリーに沿った形にできあがっています。

スペースゴジラの攻撃から、同族であるリトルゴジラを守ろうとするゴジラのシーンがなんとも微笑ましく見えます。

それこそ『シン・ゴジラ』が初めて観たゴジラ映画だという人からすれば、全く別物の怪獣に映るのでしょう。

血の通った生き物としてのゴジラ──。

賛否はあるでしょうが、こんなゴジラにも目を通してみてはいかがでしょう?

それでは次回はいよいよシリーズ最後、そしてあの兵器によって誕生した強敵が現れる作品を取り上げます!


ゴジラVSスペースゴジラ[→Prime Video]


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